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第138話

「だけどさ」


 俺の神子になったヴェデーレは、首を傾げた。


「死物の世界へ、どうやって行くんだ?」


「そうなんだよなあ……」


「おい、そこはノープランだったのか?」


 呆れたようなベガの声に、俺は困り果てた。


「最初はエンドから行こうと思ってたんだよ。一度行ったし、【聖域サンクチュアリ】の魔法を使ったしな。だけど、あそこを通って死物の世界に行くってのは一旦結界を解くってことだ。多分、エンドの向こう側は結界が破れるのを待っている魔族や魔人、下手をすれば魔神が待っている。結界を破ってその目の前に出るのがまずい」


「シンゴの判断は正しかったと思うが、こうなるとそれが痛いな…。自在雲はサーラたちに預けたままなのだろ?」


「ああ」


「我が真の姿を現して空を飛んでもいいが、この人数を乗せるとなるとな……しかも死物の世界へ行こうと言うのに」


「ん~」


 ヴェデーレは顎に手をやって天を仰いだ。


「ぐるるぅ」


 グライフが俺を見上げた。


「え? ヴェデーレを連れてく? なんで?」


「ちょっと援軍連れてきます。ベガさんが天馬ペガサスでグライフがいたとしてもちょっと厳しいかもしれないし」


 ヴェデーレはグライフの背に飛び乗る。獣使師ビースト・テイマーの才能に目覚めて二ヶ月経ってないはずなのに、完璧にグリフィンと意思疎通ができている。生神の俺やフェザーマンが頼まない限り背に乗せないグリフィンにまたがって飛び上がる。


「大した獣使師ビースト・テイマーだ」


 ベガが感心したようにその姿を見上げる。


「正式な訓練を一度も受けたことがないのだろう?」


「ああ。昔から動物が好きだったけど、仕事中の猟犬に噛まれたことがトラウマでずっと動物に触らず我慢してたらしい。動物に二度と触れない、けどグリフィンに礼を言ったら懐かれて、神獣なんて触る機会がないから存分に触ってたら、グライフも気に入ってブラッシングに腹まで見せる感じだ。神獣と親しくしたことで、獣に対する影響力が増したんだな。ほとんどの魔獣を説得して退けることができる」


「なるほど、神獣を従え魔獣を退ける獣使師ビースト・テイマーならば、守護獣の気配を辿れるかもしれん」


「でも、あの兄ちゃん、何の為に空に行ったんだ?」


「空を飛べる獣を連れてくるのかな……でも下手な獣じゃ無窮山脈は超えられない」


「だが、彼がグライフと共に行ったということは、何か策があると言うことではないか?」


 いつの間にかグライフの姿は見えなくなっている。


「ていうか兄ちゃんが飛べる神獣を作ればいいんじゃ?」


「それは俺も考えたんだけどなあ……二つの理由があって、空飛ぶ神獣ってのは難しいんだ。そもそも神獣って特定の種族を手伝うために生み出されたものだし」


「今空飛ぶ神獣創るには、それを預ける種族がいるってこと?」


「個人でもいいけどな。ただ特定の種族に、その種族と関係性の低い聖獣を創ると、役に立たないんだ。だからフェザーマンの神獣はグリフィン」


「預けられる人間がいないってことか」


「そう言うこと」


 と、空を影が過ぎった。


 空飛ぶ魔獣はいない、そしてさっきヴェデーレがグライフと飛んで行ったことを思い出して、戻って来たのかと見上げて……絶句した。


 空を覆う巨大な影。


「でっ……か……」


 原初の神殿を覆うほどの翼。


「なるほど……聖鳥か」


 ベガが感心したように息を漏らす。


「無窮山脈に住み、巨象までもさらって食べると言う聖鳥、巨鳥ルフ


「ルフぅ?!」


 大分できるようになった端末なしのヘルプ検索で、頭の中にルフの情報を広げる。


巨鳥ルフ:無窮山脈の山中に住む聖鳥。大きさは最大でケファル街の塀が囲っている範囲程度あり、南海端諸島まで飛び、そこに住む巨象を餌としてさらってくる。人間に対しては敵意はなく(食料にならないと見なしている)、無人島に流されたドワーフがルフの足に己を縛りつけ、無窮山脈まで帰り着いたと言う話がある】


 ……いや、神獣と意思疎通できるんだから聖鳥に言うことを聞かせることができてもおかしくないと思ったけどさあ。


 こんなデカいの連れてくる?


「シンゴー」


 その背から小さな影……いやルフが比較対象だから実際には俺と同じ位なんだろうけど……とにかくルフより小さい影がこっちに向かって下りてきた。


「この子が乗せてってくれるって」


「ヴェデーレ……」


 俺は名前を呼んだきり、絶句してしまった。


 デカい。デカすぎる。


「ヴェデーレ兄ちゃん、こんなの、何処で見つけてきたの!」


 ヴェデーレは着地したグライフから下りて、巨影を見上げた。


「こいつ、雛なんだって」


「雛て……」


 中学校の時、動物好きの友達の家に遊びに行って、「可愛い子犬がいるんだ」と連れてきたのがグレート・ピレニーズの子犬(当時中学生として平均身長だった俺の肩に前脚が届いた)だった時のことを思い出した。


「親はどうしたのだ?」


「はぐれたって」


 無窮山脈の力が失われて、何かあるまで避難しようと親と一緒に逃げる途中で、どうしても生まれた場所に戻りたくて親に内緒で戻って来たとか。


「話を聞いて、無窮山脈の守護獣を奪うなんて許せない、戦うって」


「いや、援軍はありがたいんだけど……」


 いくら何でもデカすぎる。海外に行くのにセスナ借りようと思ったらエアフォースワン来たみたいな雰囲気だ。


 だけど……。


 デカい戦力でもあるんだよなあ!

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