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shadow  作者: 新垣新太
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ep11.ブラックアイズ編・3話

一2023年・1月10日・浅草一


外国人観光客で賑わう浅草。寒風吹きすさぶ街中にSBTが黒スーツ姿で集合していた。



山田 「…おまっとさんでした。ったく小便の切れが悪くてな~。警察のご用件はなんぞや新井!」



強風にさらされ目を細目ながら聞く山田。



響 「はい、台東区内で空き家を狙ったボヤが1月に入ってから約20件発生。死傷者はいませんが、出火原因が不明で空き家建物はほぼ全焼。自然発火は考えにくいと判断した結果、本案件が我々SBTに回ってきた段階です」



山田 「まぁいかにもな理由で何より。今日は人数が揃ってる。ふた手に別れて火災現場の内見に回るぞ。…で鈴見がいねえなぁ?」



響 「鈴見さんはこの間予定していたワインボトルキャンペーンのイメージガールの撮影に行ってます」



山田 「あそぅ、自由にさせた俺が悪かったか…寒いっ!行くぞ~」



響 「はい!」



SBTチーム14名が集まった今日の捜査は山田班7名と響班7名に別れて動き出した。

山田班は駅周辺の現場から、そして蔵前周辺を響班が回る。



ビュウゥウゥウゥウゥゥッ!!



ブウゥウゥウゥウゥウウッ!!!



浅草の街に強風が次々と吹き通る。乾燥した空気にボヤの残り香が混じっていた。

蔵前周辺を歩いて回る響が強風から逃げるように右へ折れる道に入った先に鴉が地面にいた。




道の両側に建ち並ぶ建物。道幅は広く10メートル程。その中央の地面に立つ鴉が8匹。道に入った響はその鴉達とすぐに目があった。




響は左目をウインクする。


響 「´´共有(スコープ)´´」



鴉に違和感を感じた響は瞬時に´´共有´´を発動すると、後続のSBTメンバーが掛けるスコープにシャドウを可視できる様にコーティングした。




ガチャチャチャッ!!



すると、響のシャドウの力で鴉を目視したSBTメンバーが一斉にライフルを鴉に構える。




響 「早い、刺激になるよ」



右手を挙げた響の指示でSBTメンバーはライフルを下ろす。




バササアァ、バサバサァアッ!




すると鴉達が羽を羽ばたかせ始める。




響(心の声) 「…?、上にも」



建物の屋上を見上げた視線の先には縁に立ち羽を羽ばたかせる鴉達がずらりと埋め尽くしていた。




その時。




ズアズアズアァアアアッッッ!!!!!



響 「ライフルからナイフに切り替えて」


響は後方にいるメンバーに指示を送った。



響班の前方5メートル先。建物と建物の間から大群の鴉達が飛び出してきた。




ブアブアブアアアッッッ!!!!




そして大群の鴉達が一気に響班に飛んでくる。




響 「´´波解(ゾーン)´´」



言葉を放った瞬間、響の視界は白黒に変わる。

響は迫り来る鴉達を波動として捉えていた。




響(心の声) 「一匹一匹の波動が弱い…さっき感じた強い波動はこいつらだったのか?」



響は四股立ちで掌底を鴉達に向けて構える。




クワァ、カァア!、カカァ!



鴉達が鳴き声を上げながら響達に襲い掛かる。




響は腕を(むち)の様に動かして鴉達に掌底を食らわせる。




ズパパバババババババババババッ!!!!




黒い粉となって鴉達が空に弾け飛ばされた。




後方にいたSBTメンバーは響の指示によりライフルからナイフでの攻防へ切り替え応戦する。




響が鴉達を蹴散らしたと同時に前方からワゴン車が飛んできた。



ヒュゴォオオオ!!!



響は下に屈み、SBTメンバーは左右に走り避ける。




ワゴン車に空いた大きな鍵爪の跡。



ギャリギャリギュリギュリッ!!!



すると響達の前に大きな三本足の鍵爪でコンクリートの地面を引っ掻き火花を散らす巨大な鴉が現れた。




響(心の声) 「大元はコイツだな…やた鴉」




やた鴉は大きな両翼を広げて風を響達に吹きかける。




ブワサ、ブサ、ブワサァア!!




やた鴉 「ダレダ…オマエタチ…」



雄とも雌ともとれない声を出すやた鴉。




響 「しゃべるなよ気持ち悪い」



やた鴉 「タワケ、ニンゲンゴトキガーーーーーーー!!!」




やた鴉は再び両翼を奮ってねじれ風を吹き出すと、鴉の羽を複数放ち鋭いダーツの様に響を狙う。




響(心の声) 「お前の考えは波動を見れば手に取るように分かる。複雑な風向きも俺には感じとれる」



シュカカカカッ!!



響はやた鴉の羽を横飛びで避ける。

コンクリートに突き刺さる羽の数々。



やた鴉 「コゾウ…」



響はねじれ風の隙間を走り行きやた鴉の懐に近づこうとする。

その時、やた鴉の太い(くちばし)が響を狙い突き下ろされる。




ズガッ、バギィ、ズド、ズゴゴゴゴッ!!!!




響はねじれ風を巧みに使い、やた鴉の嘴を華麗に避けて行く。



何かの境地に達したのか、響はその時から目を瞑っていた。




響(心の声) 「俺の力の源は眼。だが眼を閉じる事でその力を別の部位に移動させる事も出来るのがこの技」




ガッ!、ズダッダッ!



響はやた鴉の後ろに回りこみ羽を掴んで駆け上がり首根っこに移動する。



響 「´´眼流(フェニックス)´´」



眼から流れ移った力の先は、響の右手の掌底に全集中する。




やた鴉 「ワタシヲ…ナンダト、」




ヒュゥォオオゴゴッッ!!!!!




やた鴉の後ろ首に響の掌底が一撃を与えた。




ガグンッ!



ぷらんと折れて垂れるやた鴉の首。響は地面に降り立ちコンパクトナイフを取り出しシャドウの力を流し入れやた鴉の両足の影を切り裂いた。





ブシャァアアアァァ…




やた鴉は黒い粉となって散って行く。それと同時に付近にいた鴉達も黒い粉と化した。




立ち上がる響は消えた鴉達の異様さを感じて眉間に皺を寄せた。




響 「シャドウの消えかたが変わったのか?なんだこの異変は」




・・・


一響達がやた鴉に遭遇する3日前一




パチンッ




焦げ茶色の古びた神社の前で指を鳴らす蔵島の姿があった。



暗闇が蔵島と神社を包む。



蔵島 「そうですか…ここは鴉を奉る神社なんですね…」


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