ep11.ブラックアイズ編・2話
一2023年・1月・東京一
新井の持つ傘に当たる雨音が小さくなる。傘を持つ手がかじかんでくる中、新井の背後に透明な傘をさす雫が近付いていた。
雫 「響、感じるか」
新井は呼び声に振り向く。
新井 「おっぱい、いや姉さん、まだ何も感じない。あいつ、今までの戦いを何処かで見てたんだ。そんな簡単に気配を出しはしないよ」
雫(心の声) 「お前さん、さっきまで何考えてた」
雫は弟・響の隣に立ち屋上から東京の景色を傍観する。響は少し頬を赤らめていた。
響(心の声) 「久しぶりだな、姉さんの香り」
雫 「元旦に´´奇錠´´の箱を壊した。あいつにシャドウが戻ってるはず。今は風春と先生、皆のおかげでかなりの数のシャドウを消滅できたと思う」
響 「そうだね、」
雫 「私達が最後の膿を出す時だ。…余所見なんかさせないぞ、響」
雫は響の前に立ち、目を合わせる。その雫を見た響はごくりと唾を飲み込む。
雫 「やり残した事はないか?」
響(心の声) 「姉さん、おっぱい、大きくなってる?、この距離、僕のゾーン。ワンチャン、ある!?」
響 「、んぐっ!」
その時、雫が銀色の傘を現して柄の部分を響の顎に素早く当てた。
雫 「…思い残しはないか?」
わずかに上げられた響の両手はだらんと垂れる。
新井 「…ないよ」
雫 「では、親父のシャドウ狩りに行こうか」
・・・
一1月・東京一
都内のコンビニ前に、蛇柄の上着と黒い綿ズボンを着る蔵島が立っていた。ライターを開け閉めしながら干しスルメイカを噛る。
ズグンッ!
後ろから押された様に前へつんのめった蔵島は足元を見る。
蔵島 「…??」
無くなっていた蔵島の影が足元から伸びていた。
義手となった蔵島の左手に黒い影が入り込む。うなり声と共に体のあちこちが強く揺れ動く。
そしてピタリと蔵島の動きが止まると、口を大きく開け首を傾げる。
タッタッ、タッ
蔵島はコンビニを離れ街道を行く。
蔵島 「…橘さんに協力したにも関わらず。…残念です。影が戻れば私ひとりで十分」
蔵島は自身のシャドウとの融合を完了した。




