表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
shadow  作者: 新垣新太
92/100

ep11.ブラックアイズ編・1話

一2023年・1月・東京一


寒空から落ちる線状降水体が、開いた黒い傘に当たり地面に滑り落ちる。その傘を握るSBTの新井はビルの屋上から冷たく静かな東京を眼下に見下ろしていた。




・・・


一2023年・元旦・大阪一


ホテルの一室。資料をテーブルに広げて話し込んでいる丸茂と盾仲がいた。丸茂がコーヒーカップの底を確認しキッチンへ向かう途中、小さなノック音が入口の扉から聞こえた。



コッコッ



車椅子に座る盾仲と目線を合わせた丸茂は持っていたコーヒーカップをキッチンに置いた。




丸茂は声を出さずに人差し指を胸に当てて自分が行くと盾仲にサインを送った。盾仲は小さく頷き少し緊迫感のある面つきに変わる。



部屋の入口の扉に近付く丸茂。


丸茂(心の声) 「…真っ暗だ。除き穴を塞いでる」



ズズズ…



丸茂は自身のシャドウを自分の真後ろに現しておく。金色のドアノブを握り、チェーンを掛けて鍵を開けた。



ガチャ




少し開いた隙間から入る外の空気の匂い。

丸茂は訪問者をゆっくりと確認した。




丸茂 「…あれ?雫君?」



そこに立っていたのは銀色の傘を持った新井雫だった。




雫 「先生、」



右目に黒い眼帯を付ける雫は丸茂に微笑みを見せた。

丸茂は一瞬だけ驚きの表情を見せるがすぐに柔らかい笑みに変わると部屋の中に雫を招き入れた。



丸茂 「明けまして、おめでとう」


雫 「先生、盾仲さんと一緒でしたか?」


丸茂(心の声) 「うん。相変わらずのスルースキル…」



丸茂 「いるよ、隼人、雫君だったよ」



盾仲は奥の部屋から車椅子を動かし丸茂達の方へ移動する。



盾仲の姿を確認した雫は表情を微動だにしなかった。



盾仲 「雫、久しぶりだな。、何の用だ?」


雫 「眼を取りに来ました」


丸茂は少しだけ緊張の糸が緩んだ。


丸茂(心の声) 「そう言う事ね…」


盾仲 「俺は眼帯の方が似合ってると思ったが…」



そう呟くと盾仲は前屈みになり車椅子の影に手を入れるとカードケースを取り出した。



カサッ



そしてカードケースの蓋を開け中からカードの束を出した。盾仲はカードを1枚1枚ずらしながら何かを探していた。カードにはそれぞれ違ったデザインが施され、カードの中央部分には鍵がカードと一体となって取り付けられていた。



盾仲 「新井…雫……あったぞ」



盾仲はカードの束から傘の絵柄が描かれたカードを1枚取り出すと残りを影にしまった。




盾仲 「雫、鍵を取り出して良いか?許可をくれ」



雫 「許可する」



盾仲 「了解」



そう言うと盾仲は傘の絵柄のカードの中心に親指を当てて力をかけてゆく。カードが少ししなり始める。カードの中央部分に切り取り線で縁取られた鍵がカードから分離しようとしていた。




パキンッ




盾仲はカードから外れた鍵を掴んだ。



盾仲 「ラスト・ロッカー。新井雫のボックスを解錠する」




ズズズウゥ…




すると、盾仲の左側の床からルービックキューブ型のボックスが涌出(ゆしゅつ)してきた。



盾仲はそのボックスを左手で掴み、右手に持った鍵をボックスに突っ込んだ。



盾仲 「´´解錠(オープン)´´」




ガチガチャッ




複雑な解錠音が鳴ると、直ぐにボックスの上蓋(うわぶた)が口を開いた。




トッ、トッ、トッ、




無言で作業を見ていた雫が盾仲に近付き口の開いたボックスを手に取った。




盾仲 「状態に変化はないか?何もなければ鍵は雫が管理しろ。ここでは付けるなよ」



雫は手に持ったボックスの中を見ていた。

透明な液体に浮かぶ黒い瞳の義眼。



丸茂 「雫君、用事は済んだかな?」



雫 「あと、´´奇錠(イリュージョン)´´の箱を見せてもらえますか」




ガチャガッ!スピイィイィンン!




´´奇錠´´と雫が言葉を発した瞬間、丸茂と盾仲はシャドウを現して臨戦態勢を取った。



鋭いナイフと鍵剣が雫を狙う。険しい丸茂と盾仲の表情とは裏腹、雫は凛とした表情で立ったままだった。



丸茂 「雫君、」


盾仲 「何を言っているのか分かってるのか?」



雫 「勿論。好奇心じゃありません。話には聞いていましたから、ただこの眼で確かめておきたかっただけです。一応、父親のシャドウなんで」




雫が左手に握っている銀色の傘から黄色い電気が一瞬散った。



盾仲は丸茂に目線を送る。


丸茂は首を横に振った。




盾仲 「……3秒だけだ。触らせないぞ。いいか」



雫 「どうも」




ズズズ…ズズズ…



盾仲は右手を背後に回すと、ラスト・ロッカーが涌出した´´奇錠´´の箱を掴んだ。雫から目を離さずにそれを前に持ってくる。箱の両側を指で持ち雫に見せた。



雫の瞳孔が開いた。



丸茂(心の声) 「あぁ隼人、君はいつも詰めが甘い…」




盾仲はカウントを始めて瞬きを一度した瞬間だった。




丸茂達のいる30階建てのホテルの一部の窓ガラスと外壁が外へ吹き飛んだ。




ドドバアゴオォオォオッッ!!!!




雫は銀色の傘の先端を´´奇錠´´の箱に向けて´´銀傘光(シルバーヴォルト)´´を放った。放たれた黄色と黒色の稲妻が箱を突き破ると空に黒い影が飛び出した。




その黒い影は一瞬にして何処かへ姿を消す。




盾仲は無事だった。丸茂のシャドウの複数の腕が盾仲の身体だけを引き抜き丸茂が受け取った。粉々となった部屋の物達の塵を被り、丸茂と盾仲の全身は灰色となっていた。




トッ、ザッ、トッ、ザザ




雫は一変した部屋を何食わぬ顔で立ち去ろうとする。




丸茂 「雫君…」



ザ、


丸茂の声で雫が足を止めた。



雫 「わかってます。でも、私がやらなきゃダメなんです」




丸茂が言葉を言い出そうとした時には、そこに雫の姿は無かった。




盾仲 「…ぁぁ、すいません秀さん…もらったワクチン、すぐ打っておけば」



丸茂 「それよりも…驚いてるよ。…雫君が父親の事を口にするなんて」



盾仲 「…どうしますか、」



丸茂 「…目の前のシャドウ消滅に専念しよう。雫君にも考えがあっての行動だろうから、万が一の時は我々も動くよ」




盾仲 「、でも……はい、」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ