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shadow  作者: 新垣新太
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ep10.影の英雄編・10話

橘は胸ぐらを柳田に掴まれて運ばれていた。濃い紫色に変わる空を見つめる橘が呟く。



橘 「俺の…世界だ…」



柳田は車通りの多い道へ出るとタクシーを止めた。運転手が異様な目つきで橘を見たが、柳田の表情を確認するとふたりを乗せた。



柳田 「ここは全員の世界だ」



タクシーは発進する。



暫くタクシーが走ってから、柳田は左耳に痒みを感じて指でいじるとプラスチック片の様な塊が付いていた事に気付く。



柳田 「…被弾してたのか」





公園に残された風春、重盛、大谷、山田は周囲で待機命令を出されていたSBTの車が救援に入り病院へと運ばれた。全員呼吸だけは微かに残る状態で救助された。




SBTのトラックの寝台で眠る山田の隣で鈴見がバニーガールの格好をして座っていた。




鈴見 「…寝てるから聞こえてないかも知れないですけど、報告したという証拠を残しておきたいので報告します。shadowウイルスに関して、陽炎のメンバーの感染源は山にある特定の断層を通過した水分を摂取した事が主な原因だそうです。また我々や人影のメンバーの感染源は陽炎のメンバーや物からによる二次感染だと判明しました」



山田 「……」



鈴見 「…ちなみに、見えてないと思いますけど、私のこの格好は、私が愛するバニーガールボトルのラベルポスターのキャンペーンガールオーディションに応募したら見事合格しまして、それでさっきまで衣装合わせと撮影が行われようとしてたんですが、陽炎の橘が現れた事で急遽撮影を抜け出してここに来たのでこの格好ですすみません」



その時、鈴見達と同じトラックに乗車している新井は物陰から鈴見のバニーガール姿をまじまじと眺めていた。




新井(心の声) 「…これは興奮という言葉では言い尽くせない程の映像だ。白くて丸いなんだかマリモみたいなのを黒いヒールの上に乗せてるぞ。肉質の香る網タイツにハイレグ、おしりから白いマリモがまた付いてる。胸元が開いた黒いドレス?なのか?名前がよくわからないがとにかくおっぱいが美しく谷間を演出してる。なんと言ってもあのウサギちゃんお耳がキュートで良いじゃないか!いつもと違った濃いめのメイクが男心をくすぶらせる…凄い逸材だ…なんで同じ職場にこんなにも神々しい原石がいることに僕は気付かなかったんだ!」




新井は勇気を振り絞り鈴見に声をかける。




新井 「…あ、あの、鈴見さん。後で、写真、」



鈴見 「撮らせねえよ」



新井 「いや、でも、山田さんも好きなバニーガールボトルの格好だから後で山田さんにも見せてあげた方が今後の仕事的にも得なんじゃないかな?」



鈴見 「新井君、お目めをお砂でコーティングされたいのかなー?」



新井 「…気持ちいい。あ、すいません。配置に戻ります」




鈴見は新井を軽くあしらい、再び山田の様子を見守る。



鈴見(心の声) 「…後ろにいる風春って子も大丈夫だろうか。左の肺が潰れてた。私の力で偽造した肺を体内に作ったけど、臓器移植を早くしないと命に関わる状態だし。山田さんが言ってた人影の丸茂先生が名医だから安心しろとは前々から言われてたけど、一刻を争う状況に変わりはない」




鈴見の心配を他所に山田は苦しみながらも眠っていた。

そして山田の寝台とは反対側に横になった風春もまた同じく眠っていた。




新井はトラックの隙間から覗く事を怖れなかった。




トラックが小さな段差を乗り上げて上下に揺れる。鈴見の胸もそれに合わせて揺れる。



鈴見 「新井君。鼻血出てるからね」



新井 「ウブッ!」



新井(心の声) 「あっぶねぇ、スーツに付くとこだったー!」






橘の家の門扉前に置かれたキャンドルの灯火が風に吹かれて消えてしまう。




フッ!




・・・


一12月一


風春は丸茂の研究室に来ていた。



丸茂 「うん。傷口の回復具合は順調だよ。…風春君の具合はどうかな?」


風春 「はははっ。あれからナックルが一切出てこなくなっちゃって…複雑な気持ちで」


丸茂 「うん、、でもね、風春君の抗体の一部となってナックルはずっと生き続けてくれてるんじゃないかな」


風春 「、ですかね」




風春の血液がshadowウイルスの血清として有効だと確実に実証された後。陽炎のメンバーだけでなく、ワクチン・予防接種として人影や国民にまで接種出来るよう動き出した。風春は丸茂のもとで引き続き抗体の情報提供をしている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一3年後一


風春は恵里と公園に散歩に来ていた。恵里が抱える腕のなかには生後まもない赤ちゃんがいた。



風春・恵里の子 「…ゥ、ウ、オギャアァ、オギャアァ」



風春 「お、大丈夫?」



恵里 「よしよし、寒かったかな」



風春と恵里と赤ちゃんの影が地面に映る。


娘が恵里の黒い義手の冷たさに泣いていると思った風春は、恵里の後ろにまわり義手をそっと支える様に腕を回して抱きしめた。



風春・恵里の子 「オギャァ、ウウ、ウゥ…」



赤ちゃんは泣き止んで行く。



恵里 「ありがとう…」



風春 「うん。暖かいね」



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