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shadow  作者: 新垣新太
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ep10.影の英雄編・5話

橘は自室の椅子に座り紫色の芍薬を見つめながら黒い液体の入ったワイングラスに口をつける。



橘 「生半可な気持ちで仲良しこよしの時代は終わる。怒りの力を最大限に利用し、支配の時代にする」




・・




丸茂は病院に植樹された満開の金木犀の花を眺めていた。



丸茂 「怒りを理解し共生して行く、助け合い・共助の時代にする」




・・・


一那覇空港一


風春、巻、拓磨は機内で鈴見と別れると那覇空港の到着ロビーから空港出口まで移動した。そこに風春達を待っているひとりの男がいた。




風春 「あれ?」



拓磨 「俺が呼んだんだ」



そこにいたのは肉まんを食べる人影の太田だった。



太田 「やぁ、元気そうで何より。こう見えて沖縄が好きな人間でね」




拓磨 「風春達のおかげで陽炎のシャドウ狩りが終わったよ」



太田 「…君達が戦ってくれている間に東京で事態が急変してね。ここだとなんだから少し場所を変えよう」




風春 「東京で?何が」



風春達は太田が駐車していた車に乗るため空港を離れた。




・・・


一黒い一軒家(橘の家)一


椅子に座る橘の正面には影の無い男がひとり立っていた。



蔵島白虎(ぞうじまびゃっこ) 「私のシャドウはどこですか?」



高い声に重たさを感じる言葉だった。



橘 「まだ見つかってない。ここに来て聞くことではないだろう」



蔵島 「いいえ、面と向かって伝える事に意味があるんです。それに、あなたの事は既に調べ尽くしました」



橘 「だったら何だ?俺より白虎の方が調べがいがあって楽しいと思うが……特に家族については」




カッ、カチン!



蔵島は手に持ったライターの蓋を開け閉めする。


蔵島 「矛盾、ですね。それはあなたにとって、?」



蔵島は後ろに気配を感じると言葉を切った。



橘 「残念だが時間だ。俺も忙しくてね。続きはまた今度、あったらいいな」




蔵島 「では、裏口から帰らせていただきます」




そう言うと蔵島は部屋に面した廊下を通り橘の視界からいなくなった。





ガラッ



柳田(心の声) 「開いている」



柳田は後ろに重盛と大谷がいるなか黒い一軒家の玄関の引戸を開けた。鍵はかかっていなかった。




暗い家の中。照明はついていない。




柳田(心の声) 「これは、芍薬の香り。空気が重たい。…玄関から全ての床が畳だ。間取りの感覚を撹乱する為か?」



引戸を開けると玄関口と廊下が見えた。人の姿は見えない。ただ廊下側手前の襖が1枚開いているを確認した柳田は重盛と大谷を従えてゆっくりと中へ入る。




すると奥から声が聞こえた。




橘 「畳縁(たたみべり)の位置が1ミリずれている。この1ミリのずれを放置すればいずれ、1ミリは5ミリ、10ミリにと広がり。気付いた頃には部屋全体が歪んだ家になるだろうなぁ。お前達はどう思う?」




橘は部屋の奥から入ってきた柳田、重盛、大谷の3人を視界に捉えた。




柳田(心の声) 「ピンクと紫の芍薬を生けてある全床畳の部屋」



柳田 「お前が、橘か?」




橘はゆっくり椅子から立ち上がる。




橘 「答えになってないな」




シュンッ




重盛(心の声) 「!?、早い!いつの間にテーブルの前に」



橘は瞬時に自身のテーブルの前に移動し立っていた。




橘の右足は畳から30センチ程離れると、畳縁と畳縁の間に強く踏み下ろされた。





ドンッ




柳田達は現象の理解をするまでに1秒間かかった。橘の右足がただ畳に踏み下ろされただけだと勘違いをした。



たったその1秒間。




畳1枚ずつが揺れ、床全体が波打つと、起き上がった畳が次々と柳田達の方へ勢いよく向かってきた。




グラ、グラ、バダバダバダバタバッッ!!!!




柳田 「外へ出ろ!」



重盛 「なんだ!?」



大谷 「っ!!」




ダガアァアァアァアアアンンン!!!!




畳は黒い一軒家の1階部分の壁をほぼ全て壊した。その畳達と共に外へ吹き飛んだ柳田達は広い道路に倒れる。




吹き抜ける1階部分から灯火を手に持つ橘が歩いて出てきた。




ガララ、ガラ


崩れる壁。柳田達は体をなんとか起こし立ち上がる。




トン


橘は手に持っていた直径10センチ、高さ3センチのキャンドルを門扉(もんぴ)前の地面へ置いた。





橘 「この灯火(ともしび)が消えるまでお前達と遊んでやろう」


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