ep10.影の英雄編・4話
丸茂は顕微鏡を覗き風春の血清研究を行っていた。風春の細胞はシャドウウィルスに一度破壊されるとゆっくりと壊れた細胞が分裂して再生を始める。すると、その分裂した細胞達が近くにいるシャドウウィルスに触手の様なものを伸ばす。さらに触手はシャドウウィルスの外膜を突き抜け中へ侵入した。
丸茂 「これは…興味深い現象だね」
コン
深田は丸茂の手元に暖かいコーヒーを置いた。
深田 「ちょっと休んだらどうですか?」
丸茂 「、ありがとうコーヒー」
深田 「なんか進展ありげな顔」
丸茂 「第二段階クリアって所かな。…僕はね、使命と言う言葉が好きでね。誰かのために命を使うと、本来自分が持っている以上の力を発揮することが出来ると思っているんだ。今は、シャドウウイルスに効果のある薬を見つけることが僕の使命だ。」
深田 「早くしないと私死んじゃいますよ」
深田は丸茂の作業台に寄りかかり、両手に持ったコーヒーカップに唇を付けた。
・・・
一渋谷スクランブル交差点一
柳田は静まり返る交差点を暫く眺めていた。
柳田 「残穢の様なものが空気中にいるのか…」
歩き出した柳田の視界には、黒い霧が空気中に濃く現れ、そしてすぐ消える。その霧の行方を追った。
歩き出して15分。黒い霧は一本の筋の様に空気中に現れる様になっていた。
そこへ、りんごを噛る男と冷徹な表情の女が道脇から現れた。
柳田 「、重盛。相子。…前よりも気配が強くなった。橘かもしれん」
重盛 「加勢します。丸茂さんからの指示ですぐ集まれたメンバーは俺と大谷だけです」
重盛(心の声) 「柳田さん。胸部に傷が、ここに来る前に戦闘か何か」
人影の重盛は柳田と並び、その3メートル後ろから大谷が歩いていた。
柳田 「急な招集にしては充分な人員だ」
重盛 「すいません。大谷、お前も早く付いてこいって」
後ろにいる大谷に強く声をかける重盛。
大谷 「私に指示しないで」
重盛 「ったく大事な時に何で大谷と組むことになるかなー!」
柳田 「黙れ。…そこだ」
一瞬で緊張感が増した柳田の声に重盛と大谷は集中力を上げた。
重盛 「あの黒い一軒家ですか?」
柳田 「あぁ」
3人が目視出来る距離で止まった。約10メートル先に佇む一軒の黒い家。柳田の追っていた黒い霧はその家に入り込んでいた。
・・・
一丸茂の研究室一
横長のスクリーン画面に映し出される2枚のレントゲン写真。丸茂は椅子に座りその写真を見つめていた。
丸茂 「肺が真っ白だよ柳田さん」
左側に映るレントゲンの両肺は白く映っていた。
丸茂 「対して風春君。点々と斑模様が肺に散っている。柳田さんの前の状態と似ている。一口に癌とは言い難いけど。…これは柳田さんと風春君が様々な細菌やウイルスに対抗できる特異な抗体体質の持ち主だと考えるか。2人が現した化身の姿や能力が、己の中に持つ決してブレない正義心が陽炎組織の悪行に対する怒りによって強化されたものなのか」
丸茂はレントゲン写真の画面を消すと眉間を指で押さえた。
丸茂 「…ジャスティス」




