ep10.影の英雄編・2話
柳田の砕散々によってケビンの持っていた2本の刀は粉々に砕けて地面へ落ちた。柳田は立て膝でしゃがみ元の姿へ戻った刀を鞘へ収めた。
左肩が剥き出しになり傷を負ったケビンは、痛みながらも直ぐに立ち上がった。
柳田(心の声) 「私の砕散々を寸出の所で避けたか…」
柳田 「ングフッ!?」
柳田の背中から入った刀は胸から刀身を見せていた。柳田は自身に突き刺さる刀を見や否や、ケビンを睨んだ。
ケビン 「´´乱´´ヲダストキヲズットマッテイタガ、アンナオオキナオトガナッテクレタカラ、ゼッコウノチャンスダッタネ。ワタシノゴージャスガハカイサレタシュンカン。スチーム・ロックから9ホンノカタナヲランシャシタ」
柳田 「9本?、残り8本は」
柳田の上空から8本の刀が切っ先を柳田へ向けて浮かんでいた。
柳田 「うぅん…痺れるねぇ」
カチャ、ザクンッ!
すると柳田は万物刀を抜刀すると地面へ向けて垂直に刺し込んだ。それは刃元まですっぽりと入り込む。刀から手を離した柳田は両手を地面に付き深呼吸を始めた。
ポタ、ポタッ、
柳田の血が突き刺さる刀の先から地面に落ちる。
ケビン 「ソノクビモラウヨ」
ダダダッ!
ケビンは柳田の状況を見ると直ぐに走りだし、目の前に滑り込むと突き刺さった万物刀を握った。
グッ
ケビン 「イッポオヨバズダッタナ。テイコウシナケレバキレイニソノクビオトス」
ケビンは手に握る万物刀に力を入れるも、なかなか刀身が姿を現さなかった。
グッググ!
万物刀に集中するケビンの耳に柳田の声が入る。
柳田 「罠にかかったのはお前の方だ」
ケビン 「ナニ?」
柳田 「熊刃´´熊蜂´´!」
柳田の言葉が響くと、ケビンの握る万物刀が恐ろしいほどに軽く抜ける。だが、その刀身からは体長7センチ程の熊蜂が幾匹も姿を現した。
柳田(心の声) 「自然に触れる機会が減った人間は、こんなに大きな熊蜂を見る事も無いだろう。素晴らしい羽音だ。恐ろしいか?いくら肌を硬質化させても間に合わない」
ブブブブブブブブブブンッ!!!!!!!
ケビンの首から下の体は一瞬にして熊蜂に覆われた。
ケビン(心の声) 「ムシ!、コノフトイハリデワタシハコロサレルノカ!?」
ブスブスッ!
2匹の熊蜂がケビンの体を刺した瞬間、ケビンは死を悟り勝手に気絶してしまった。
ドシャアァ!
ケビン 「オマエモ、シネ…」
虫の息でケビンが言葉を吐いた。すると柳田の上空で浮遊していた8本の刀が一斉に柳田へ向かって飛びかかった。
カチャン
柳田はケビンから万物刀を奪うと立ち上がり、ちらと空を見る。
柳田 「陳腐な小細工よ」
そう呟いた柳田は万物刀の刃先を指で摘まむとアルミのような柔らかさで刀がしなった。
指を離した、その瞬間。
キャリギャリンギャリギャリキャリギャリリイィイィイインッ!!!!!
凄まじい速度の刀さばきで8本の刀を全て弾き返した。
ピュッ!
柳田の血が再び飛び散る。
柳田 「ウゥッ…余り激しくは動けんな」
柳田(心の声) 「ケビンと名乗る男がシャドウから一刀を放ったのは確認出来ていた。あえて知らぬ振りをして刀の起動を読み、私の肺と心臓の間に刺さる様に動いた。少し傷が付いたのは修行がまだ足りないせいか」
柳田のシャドウが消え、ケビンは肩に担がれた。その時に柳田はケビンの足の影を刀で切り裂き影移しの紙を落とした。
その時だった。
ゾクンッ!
柳田の心臓が急に脈拍数を上げた。腕に鳥肌をたてる。
柳田 「なんだこの胸騒ぎは?…」
ジジリリリリリリイイイインンンン!!
小屋の中からけたたましい黒電話の音が鳴り響いた。
柳田 「珍しい…」
柳田はケビンを担いだまま小屋へ向かった。
ドスッとケビンを小屋のゴザの上へ転がす。柳田は体に刀が刺さった状態で黒電話の受話器を持ち上げた。
柳田 「もしん…」
丸茂 「出た!よかった、柳田さん渋谷で強力なシャドウの反応がありました。すぐ向かえますか?」




