ep9.記憶の森編・1話
風春の持つ銀色のカードに追加事項として日付指定が現れた。
10月10日。
羽田空港第1ターミナルではコロナ規制の緩和により人々の姿が空港に戻り始めていた。風春と巻は銀色のカードに指示された空港の壁掛けベンチに座っていた。
風春 「…」
巻 「…」
スッ
学生服を着た男がひとり、風春の横のベンチに座った。若葉色のマスクを付ける短髪姿だった。
風春(心の声) 「ん?学生、か」
すると学生服の男が風春と巻の方を見ず、正面を向いた状態で話し出した。
赤澤拓磨 「俺の名前は赤澤拓磨、君が風春君?こちらが巻君?」
拓磨は視線だけをチラチラと風春と巻に向ける。
拓磨の登場に少し驚きを感じた風春と巻だったが、見た目が中学生であった事から平静を装っていた。
風春 「はい。指示通りにここに」
拓磨 「呼び方を決めよう。俺は拓磨」
巻 「、俺は巻で良い」
風春 「俺は風春で、」
少しリードする様な拓磨の話し方に風春はまだ慣れていなかった。
拓磨 「決まりだ。今は簡単な説明だけにしておくよ。、今回のターゲットは陽炎の柳生実。サシで戦えば敵わない相手だ。だから今回チーム戦でいく」
風春 「柳生、実」
巻 「ほう、強者か」
拓磨 「決行は明日。14時発那覇空港行きの飛行機の中で柳生のシャドウを狩る。明日の朝、人影カードに現れる指定場所に集合後行く」
タッ
そう告げると拓磨はひとり腰をあげて空港の人混みに消えていった。
風春 「…那覇……沖縄?」
巻 「空中戦か、イカチーな(笑)」
続いて風春と巻もその場を去り明日に備えることにした。




