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shadow  作者: 新垣新太
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ep7.植物の都編・5話

バショウに乗り地中を泳ぐ巻はグングンとスピードを上げてウジャウジャ動く蔓の寸前まで近付いた。



巻 「オッケー!行くべ!」



バショウは身体をくねらせ沈み反動をつけるとほぼ垂直に地上へ向かった。



バアァッシャァアア!!!!



力強く地上へ飛び出した巻とバショウは、都フラワーズ店内床から現れ屋根を突き抜けて上空高く飛び上がった。



バキバキバキキババキイィイッッ!!!!



巻は上空から地上にある都フラワーズを目の当たりにする。



巻 「上は空気が冷たいな。…花屋の裏手が拠点か?黒い影がウヨウヨ動いてやがる」



都フラワーズの裏手側にはテニスコートが2面あり、そのテニスコートと都フラワーズの間を挟む道には黒い影の様なモノが揺らめいていた。



ビダンッッッ!!



巻は上空から都フラワーズの屋根に着地するとバショウを影に帰した。




バショウのフンで都フラワーズの屋根を突き破った激しい音に風春は気を取り戻す。




風春 「なんだ?……もしかして巻さん」




巻 「で、、ハルはどこ行った?」




風春 「、巻さん!!!」




巻は遠くから聞こえる風春の声に気が付く。




巻 「ハルかー!?」



風春 「やっぱり。…シャドウ使いいました!今俺棘の植物に全身ブスブスに刺されて動けないんですけど!敵は植物を使う男で!姿を消しました!」



巻 「あぁ…ぁあ?ハル大丈夫かー?」



風春は血が垂れる状態で大声を出したせいで軽い貧血を起こしていた。



風春 「俺は、、大丈夫なんで、、先にシャドウ倒しに行って下さい!」




巻 「待ってろー。すぐ倒して戻ってくる。…花屋にいたのは植物野郎か」




スルスルスルッ



すると細い植物の蔓が巻の足首に巻き付こうと近付いていた。



巻は足首を巻く植物に気が付いた。



巻 「おぉ、呼ばれたみたいだ。探す手間が省けたわ(笑)」



ギュッ!ググンッ!!



巻の左足首に強く巻き付いた蔓が巻の身体を引きずり引っ張る。




ズザザザアァッ!!


ダンッ!ダダンッッ!!!



巻 「強ぇ奴に会わせてくれよ」



巻は足を引っ張られ身体を地面に擦られながら笑みを見せる。





ブウンブンブブブウゥウゥウンンンンッッッ!!!!





その時。

菊川商店街に到着した修栗無連合のバイク集団の先頭を走る西村が都フラワーズの前にバイクを勢いよく止めた。




西村 「……」




西村は暗闇に包まれる都フラワーズの店内を見つめる。



ブンブウンブゥンブンッ!!!!



そして西村はアクセルを吹かして都フラワーズ店内へチョッパーバイクのまま突っ込んだ。




ガバゴオォオォオォオオンンンンン!!!!!




西村はバイクを横に滑らせると都フラワーズの突き当たりのドアと壁の一部を破壊して奥の通路に出た。




滑り込んだ西村の正面に、植物達の棘に刺されて疲れ果てる風春の姿があった。




西村 「…お前。あの水色坊主といた」


風春 「……あれ?」




目を開けてるのが辛くなってきた風春が、目の前に現れた西村の姿を2度見した時。


西村はチョッパーバイクのハンドルから手を離し、銀色の射撃砲を両腕に纏い風春に向けていた。




西村 「´´銀砲(マフラー)´´」




西村が前に突き出す両腕に纏う銀色の筒の先に青い炎が現れる。



するとその炎が一気にオレンジ色に変わると西村の両腕から熱射撃が放たれ風春の両脇にある植物を焼き付くす。




ボボッ!、ボボッブバアァアァアァアッッ!!!!





風春 「…あづっ、、うぐ…」




ドサッ




風春は植物のサンドイッチから解放され前方に崩れ落ちた。




西村の両腕を包む銀砲が形を崩し影の中へと消える。

西村は商店街の通りでバイクから降りて待機をする郁実を見つけた。




西村 「郁実!こっち来い!」



郁実 「…あ、はい!」



郁実は西村の声に驚き急いで都フラワーズの店内を通り抜け西村の所まで走った。

そこには白い薄煙りが立ち、植物の焼け焦げた臭いと風春が痛々しい姿で倒れているのを確認した。




西村 「この男の看病をしろ。全身に植物の棘が刺さってる。無闇に触れるな傷が深くなる」


郁実 「…は、はい」



郁実は風春の側にしゃがみこみ容態を確認し、自分が看病できるだけのモノがないか特攻服のポケットの中を物色していた。



西村 「私は先に行く。郁実も気を付けろ」




郁実が気付いた時には既に西村はチョッパーバイクのアクセルを全快にして焼け焦げた植物達を踏み潰しながら通路を走り去っていた。




・・・



ズザッ!ズザザザッ!


ドッ!ドッ!ガバアァアァアン!!



植物の蔓に足首を巻かれて引きずられる巻は、大きな古びれた一軒家の中に連れ込まれ壁に身体をぶつけた。




シュルルッ




巻の足首から蔓が離れる。




巻 「あぁ…良い準備運動だったぜ。…ここか?強ぇ奴がいるのは」




巻はムクッと身体を起こして立ち上がる。

家の中は薄暗く、微かに2つある大きな窓ガラスから差す街灯の光が中を照らしていた。





? 「ギャアァアァアァアアアアオォオオオオオッッッ!!!!!」




巻 「!!?」




突然。

薄暗い一軒家の中にナニモノかの叫び声が響き渡った。

巻は指で両耳を塞ぎ暗がりの中に蠢くナニかを確認する。




巻 「おいおいおい……納豆でも食べやがったか?」



ジジジッ、ピカー。



暗い一軒家の天井に明かりが弱々しく灯った。

巻の前方5メートル離れた位置に全長4メートル程の大きな植物が赤と黄色の花びらを開きその中央に無数の歯がギザギザに並んで粘り気のある唾液を吐き出しながら息を吐いていた。


一軒家の中は屋根裏に吊るされた幾つかの電球を残して全て吹き抜けの巨大なワンルームと化していた。




巻 「臭ぇなお前ナニ食ってんだよ…」




巻の鼻に巨大化した植物の息がかかるとその臭いに鼻を曲げた。





宇栄原 「人間だよ…」



巻 「あ?なんだお前喋れんのか?」



巻からは宇栄原の姿は確認出来なかったが、植物の影に隠れた宇栄原が続けて話し始める。



宇栄原 「虫を食べる植物がいるだろ?、その植物に人を食べさせて食人植物に進化させたんだ。だから残念、アンタも他の人間と同じ様に、俺の作った´´バグズ´´に食われるんだよ」



巻 「なんだお前が喋ってんのかと思ってちょっとテンション上げちまったじゃねぇかよ。…隠れて喋んなチキン野郎」




宇栄原 「アンタ俺より強いの?強がんなよ…」




巻 「あぁカチンだ……とっとと終わらせてやるよ!」




宇栄原は植物の影に隠れていたが、いつの間にか植物の蔓に姿を変えるといなくなってしまった。




ウネウネと太さの違う(つる)を動かし始めた´´バグズ´´は、雄叫びと共に先端を尖らせた蔓を幾多にも巻へ向かって伸ばした。




ズビッ!ズビッ!!

ズビュビュビュ!ズビュビュンッッッ!!!!




バグズ 「バギャアァアァアァアッッッ!!!!」




巻 「うるせえ赤ちゃんだな(笑)」



そう言った巻は右手を開き右腕を右に伸ばした。

すると床に映る巻の影から赤い色をした銛がズズズッと伸びると巻の右手に握られた。




巻 「´´赤い(レッドライン)´´のお出ましだ」




グゥッ!




巻はレッドラインを力強く握るとバグズから伸びてくる鋭い蔓を眼で捉えた。





すると幾多の数で向かう蔓が束となってグルグルと三つ編みの如くねじれると太く鋭い1本の蔓となって巻に向かう。




ブンブンブブブブブンンッッ!!!



巻は両手を使いレッドラインを巧みに回すと、向かってくる太い蔓のど真ん中を狙って地面を蹴った。




巻 「どっちが強ぇかなっ!!!(笑)」




ブックウゥンッ!!



巻が右手に持つレッドラインが太さを倍にした。

そして血管が脈を打つようにして先端だけが太く鋭く変化した。




巻(心の声) 「ブルーラインが折れてから次にどんな相棒にしようか悩んでた。そんな時にあの美術館で見た伝説の漁師に目を奪われた。逞しい身体に握られた赤い銛は正に俺の中の強ぇ奴が使う相棒に相応しい存在になった」




レッドラインの先端がバクズの放った蔓の先端とぶつかる。




ブシュワアァアァアァアッッッ!!!!




裂ける蔓にどんどんとレッドラインが突き進んで行く。

巻は笑っていた。



巻 「躊躇しちゃいけねえ。漁師だった親父がよく言ってた台詞がよく分かる!相手だって必死に生きてる、、だから一瞬でも血迷ったら刺されるってなーーー!!!」





ブシシュウゥウゥウゥッッッ!!!!



蔓をレッドラインで引き裂きながら飛び進む巻が、蔓を左に凪ぎ払い全長4メートル程の巨大なバグズの開けた口の正面を狙いレッドラインを構えた。




巻 「ハッハーー!!(笑)気持ち悪りぃなお前の口!」




バグズ 「ギャアァアオォオォオオッ!!!!」




巻に雄叫びを上げたバグズは新たな蔓を2本伸ばすと巻の胴体をぐるっと巻き付けた。




巻 「腕1本ありゃお前なんか十分だ!」




ググッ!、ブヒュュウゥウゥンッ!!!



巻はレッドラインを強く握り右腕を振りバグズの開けた口の中に投げ飛ばした。




バグズ 「アアァアアァアッッ!!!」




巻 「おぉい…」



グンッ!!



巻の身体を強く引き寄せたバグズはそのまま口に放り込んだ。



ドボォオォンッ!!



バグズの口から喉元を通り過ぎた巻は、その先に膨らんだ消化液の入った袋に落ちる。




ガッ!




消化液に落ちる間際に巻はバグズの喉元に刺さるレッドラインを引き抜いて共に落ちていた。




巻 「ブクブクゥ…ブクブク…」




巻の全身がバグズの消化液に包まれる。


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