ep4.赤い刀編・6話
三条は猿橋組ビルの階段を登っていた。ビルの1階駐車場では新井が路上でだらけている鈴見を引きずりながら陶郷の横に運んでいた。その頃、巻は鈴見がいたファストフード店で腹ごしらえをしていた。
2階の開いたドアからは風春と玉が戦っている姿が暗闇の中でも三条は確認出来た。
そして
3階へ向かう階段の途中で、上から誰かが降りてくる足音が聞こえた。
カン、カン、カン、カン
キャップを後ろに被り、柄シャツに黒いスラックス。赤黒い鞘を左手に持った和仁が上から降りてきた。
和仁 「やる事無くなって暇だ暇。猿橋の親父がいると思ったらいなくってよ。そしたら何や、外から賑やかに暴れてる音がするから俺が見に来たっての」
和仁と三条が初めて視線を合わせる。
和仁 「なんかどっかで見たことある顔かな?」
三条 「いや、俺は覚えてない」
和仁 「そっかそっか!俺の記憶違いか。でもあんた確か、浮島組にいなかったか?」
ガササッ!
和仁が右手に持っていた白いコンビニ袋が足に当たり音を鳴らす。
和仁 「あ。これな、さっき買ってきてもらった唐揚げ串。食べる?」
ブンッ
と言うと和仁は唐揚げ串が入ったコンビニ袋を三条の方へふわりと投げ渡す。
三条が見上げる視界中央に浮かぶコンビニ袋。すると、その袋を破って和仁の長い刀が三条に向かって突き出された。
ブスッ!
三条 「フン!」
三条は狭い登り階段の端に寄り和仁の攻撃をかわす。直ぐに和仁との距離を離そうと階段を5段程降りた三条は和仁に両手の平を向けて親指と人差し指を合わせて三角形の窓を作った。
三条 「´´乱気水´´」
三条は両手で作った三角形の窓の中心に和仁の喉元を合わせる。すると、和仁の喉元にある空気が突如分子配列を変え出すと、水素と酸素が結び付き何もなかった喉元に水分が生まれ水が生成される。
三条 「´´湿度100%完了´´」
和仁 「!?、っかはっ!」
瞬時に生成された液体で喉元を埋め尽くされた和仁は、喉を手で抑えながら酸素を求めた。
和仁は強引に何とかしようと、三条に向かって刀を縦一文字に振り下ろした。
ブウゥオォワァアアッ!!
すると和仁の振り下ろした刀から赤黒い斬撃が三条へ向かって飛んできた。
ズバキバキキイッ!!!
三条 「強引な野郎だ」
三条が避けた階段には和仁の斬撃がぶつかり一部が激しく割れた。
場所が悪いと判断した三条は階段を素早く掛け降りるとビル前通りまで戻った。
和仁 「…んん!っへへ!、ほう。よう避けたな」
喉元の液体を吐き出した和仁は、笑いながら階段を降りて行く。
夜の街灯が猿橋組ビル前通りを照らす。ビルの中から走り出てきた三条は、黒塗りの2台の車を横切り幅5メートル程の通りで待ち構えた。
カ、カ、カ、カ、
和仁 「話が違うなー。浮島組は俺らを支援するって言うてくれてたのに。何で応援に来てくれないんだろ」
三条 「…教えてやろうか。浮島組は猿橋組に次いで2番目の規模と力を持つ組織だ。そこでお前達赤羽組から猿橋組解体の支援依頼を聞いたとき。浮島組は、漁夫の利を得ようとお前達に協力するフリをして最終的には弱った猿橋組と浮かれたお前達もろとも壊して勢力拡大を考えてるんだよ」
和仁 「…ほう。まぁありがちな展開だな。でも、だとすれば何で浮島組のあんたがひとりでここにいるんだ?」
三条 「俺は、暴力団組織に潜む十色を探している」
和仁 「は?十色?、いきなり色鉛筆の話かな?文房具屋さんに行ってらっしゃいよ」
三条 「おかしな話だと思ったよ。お前みたいな中身空っぽで歩いてるような奴が、その刀から斬撃を放った。間違いなくシャドウの力だ」
和仁 「誰が中身空っぽや。ぎっしり筋肉と内臓が詰まってるわ!」
三条 「お前はここで終わりだ。残念だな」
和仁 「ハッ!じゃあ、答え合わせしよかー…カタナ・ビオ・リリック」
和仁は左手に持つ鞘を地面に向かって縦に向ける。
バシュシュウウッ!!
びちゃびちゃびちゃっ
和仁がシャドウの名を呼ぶと刀の柄と鞘の間から赤黒い液体が飛び出す。
三条 「ウォーター・パレード」
ズオズオズオズオッ
三条もシャドウの名を呼ぶ。三条の背後には人型となった水の塊が現れる。
三条(心の声) 「あの独特の匂い…あいつは十色だ」
和仁 「あんた水使いか!そうだよな、さっき水で俺を窒息させようとしてたもんな!…オラァッ!」
和仁は鞘から刀を抜くと、両手で振りかぶり縦に振り下ろし斬撃を飛ばした。
和仁 「´´動脈´´!!」
ズバアアアッッ!!
赤黒い斬撃が物凄い速さで三条に襲う。
三条 「くっ!」
三条(心の声) 「さっきよりスピードが速くなった」
斬撃を右に避けた三条は、その足で和仁に向かって走って行く。そして再び両手を和仁に向かってかざす。
三条 「´´水呼吸´´」
三条は両手で作った三角形の窓に和仁の足元にある地面を入れた。
ボゴッ
三条 「´´水分含有量98%除去´´」
和仁 「おぉ何だ?」
すると三条が狙いを定めた和仁の足元2メートル圏内の地面が粉々に砕けて和仁の身体が腰元まで落ちた。
和仁 「面白い技使うのう。痛くも痒くも無いわ(笑)」
和仁は地面のへりに体重を掛けると足を掛けて穴から出ようとする。
三条 「チッ、思ったより沈まなかったか」
三条は走りながら両手で作る三角形の窓を和仁の周辺をなぞるように構える。
和仁 「そう言えばアンタ何も持っとらんのー!´´動脈´´!」
落ちた穴から出た和仁は走ってくる三条に向かって斬撃を放った。
ズバアアアッッ!!
すると、和仁の周辺地面から水分が徐々に溢れ出ると薄い水の膜が地面表面に生まれた。
三条 「´´水分含有量100%増量´´」
和仁が放った赤い斬撃を三条は濡れた地面に滑り込む速さで避けると和仁の後方へ移動する。
ズザザアァァァァ!!!
三条は片膝を付いて和仁の後方7メートル付近で止まった。
三条(心の声) 「即興だがこの狭い空間だけなら条件は整ったか」
和仁は三条の方へ振り向きながらサングラスを外す。
和仁 「ちょこまかと逃げながらしか戦えんのか?おもろうないの~」
すると三条は再び両手で作った三角形を和仁に向けると、三角形の窓をグイと思い切り外に広げた。
その瞬間。三条の作った対象範囲内の空気中に存在する分子配列に変化が起きる。和仁の周囲7メートル圏内の空間に小さな水滴が所々に生まれ始めた。
和仁 「なんや、寒いなー」
三条は両手で作った三角形を細かく上下に振りながら円を描くように動かして行く。三角形の窓の中に現れた水滴達が振られる事によって冷却が始まる。本来規則正しい分子配列で固体となる通常の氷とは違い、ランダム構造の水がそのままの状態で冷却される事で非結晶のガラス水を作り出した。それは正に氷ではなくガラス構造に近い形で固まった水なのである。徐々に三条の作る空間上に固く生成されたガラス水が空に浮かび、幾つかの水の礫となって粒を大きくしていた。
すると
和仁の全方位に冷たく固い水の礫が配置につき始める。
和仁 「聞かなくても判る。俺を蜂の巣にでもしようって事だろ?…リリック!」
バシュシュウウッ!!
すると和仁の真後ろにカタナ・ビオ・リリックが赤黒い血の人型となって黒い刀を持ち現れた。
三条 「´´水礫´´」
その一声で和仁の周囲に浮かぶ水の礫が一斉に動き出す。
ヒュン、ビュン、ビュ、ビュビュビュビュビュンンンッッッ!!!!!
その水の礫はゴツゴツとした形で加速と共に熱エネルギーを含みながら和仁とリリックへと飛び出して強く弾ける。和仁とリリックは刀を乱舞させながら水の礫を弾き壊そうとする。
ドガバキ!バキバキ!ドッドッドッド!バガキバガキバキンッ!!!!
和仁 「もっとかかって来いやーー!!!!、グッ!、ヘヘ!」
全てを防ぎきれない和仁は片膝を地面に付いてしまう。身体の所々に水礫がめり込み口から血を垂らす。
和仁 「…ぁあ!、遊びは終いや!!」
その時。怒りを顕にした和仁は左目から赤い涙を一筋流した。
三条 「終わりだ…」
和仁 「´´豪血涙´´」
その途端。リリックの姿が変わり、赤と青の2色の液体となって和仁の持つ刀の周りにとぐろを巻くようにぐるぐると回り始めた。
和仁は重心を低くすると、強く地面を踏み切り三条に向かって飛び出した。真横に構えた和仁の刀に螺旋状に動く赤と青の液体が、襲い来る水の礫を砕き弾いて行く。
バシュシュウウウッ!!!!
水の礫の攻撃をなぎ払い三条の目の前に現れた和仁が豪血刀を三条の腹部に斬りかかる。
ガバキイィッッ!!
三条(心の声) 「!?、俺の水礫を無理矢理乗り越えて来やがった!…くっ…そ!?」
三条は和仁に斬られる前に、自分の腹部をガラス水でコーティングし固い鎧を作り出していた。
だが、和仁の螺旋に動く豪血刀が、あらゆる物体にぶつかるとガリガリと削り取り続けるシャドウの力で、三条の腹部の鎧はバキバキと音を上げる。
和仁 「悪あがきかぁあ??」
バキッ!バキバキバキッ!!!
三条 「ぐはぁあっ!!」
和仁が豪血刀をさらに腹部にねじ込むと、三条の腹部の鎧は砕け、肉をえぐり取られながら吹き飛ばされた。
ズザザザザザザアアァァァァ!!!!
和仁は両目から血の涙を流しながら豪血刀を振るうと鞘にしまった。
和仁 「どうだった?俺の螺旋刀は。俺の血と汗と涙の結晶や!……もろにくらって息も出来んか」
三条は熱い腹部を感じながら、ムクッと身体を起こした。そしてズボンに手を突っ込むとライターと黒い煙草ケースを取り出した。
三条 「あぁ…あ、あー。…煙草吸わせてくれよな」
和仁 「ええよええよ!死ぬ前に思いっきり吸っとけ!」
三条は痛く熱い腹部を一瞬でも忘れられるかと思いながら煙草に火を付ける。
和仁 「ハハッ!3本も吸うんかい!」
三条は左手に持った3本の煙草に口を付けながら話し始めた。
三条 「なぁ。…浮島組が元々何の組織だったか知ってるか?」
和仁 「そりゃ、火薬組だろアンタの所は」
三条 「あぁ…半分は合ってる。!?…(だが本来の生業は煙草屋だ。それから花火の火薬を扱う様になって、今となっては強面の輩が揃った商社もどき…)」
フッ!
煙草を吸った三条は、持っていた3本の煙草を前に放り投げた。
・・・
その頃。浮島組の副組長室にいる桐山は、鍵付きの棚に置いてあるはずの黒い煙草ケースが消えている事に気付く。
バババンッ!(浮島組・覚田のスマートフォンの通知音)
覚田 「うるっせぇ!…ん?珍しい全体メールで桐山さんが」
三条の部下である覚田は、三条に言われて今日に限っては自宅待機をしていた。覚田がスマートフォンのメールを開くと、浮島組のグループメールからの通知で´´副組長室に保管してある黒い煙草ケースが紛失した。何か知っている者は至急桐山まで連絡しろ´´との文面が表示されていた。
覚田はメールの内容を読んで、考えると少し心当たりがあった。それはついこの間、三条が桐山に頼まれて副組長室の掃除を行っている所をチラ見していた。
覚田 「まさかー、三条さんが…」
嫌な予感を感じた覚田は急いで家を飛び出すと、自分のバイクに跨がりエンジンを掛けた。
覚田(心の声) 「その前に来た連絡からするに三条さんは猿橋組の所に行ってるに違いないだろ」
ブウンブウンフブブウウウウンンンン!
覚田はエンジンを吹かしながら夜の道を走り出す。
・・・
一1週間前一
三条は、ようやく副組長室に入れてもらえるようになった時に、たまたま桐山から昔話を聞いていた。浮島組が発足して火薬を扱う様になった頃に、大人達の悪ふざけで作ったと言う2段階式のロケット煙草。その煙草の先端に火を付けると、まず1段階目は咥える部分から控えめの火花が口中を火傷させる、そして2段階目を迎える前に口から離し前方に投げ捨てれば煙草の中間部から火薬が爆発して複雑な軌道を描きながら先端が銃弾の様な威力で噴射すると言うモノだった。未だに誰もこんな悪ふざけのオモチャを作ってもいないし恐くて使ってもいないと桐山は笑いながら話すのを三条は覚えていた。
それを三条は最後の切り札として持ち出していた。
・・・
3本の煙草の吸い口から出た火花を口で受け止めた三条は、前方に煙草を投げるとそのまま真後ろに倒れて行く。
三条(心の声) 「桐山さん……最高にうめえ煙草だ、この野郎…」
半分気絶しながらも軽く微笑んだ三条は地面に倒れる。
ドサッ
すると
投げられた3本の煙草の中間部分から火花が散った。
バチバチ!バチチ!
そして
赤黒い火炎を噴射すると、3本の煙草は蛇のような軌道を描きながら猛スピードで和仁に向かって行く。
ブッブブッ!ブシュシュヒューヒュヒューヒュンビュビュンッ!!!!!!
和仁 「やりやがったなアイツっ!…」
三条の奇襲に急いで刀を抜くと豪血涙を発動して向かってくる3本の煙草を落とそうとする。
ビスン、ビスビスンッ
和仁 「アガッツッ!?」
遅かった。和仁が煙草を見切って斬り落とすよりも先に、3本の煙草は和仁の首脇、左胸、右太腿の付け根を貫通した。
ドッ
ガッ!
和仁は右膝を崩し地面に付けると、豪血刀を突き立てて何とか倒れまいと踏ん張った。
ギリギリ、ギギギ
アーチェリーの矢がワイヤーを引っ張り強く軋むような音が鳴る。
和仁が3本の煙草をくらう少し前に、負傷した吉村を病院に届けてから三条に車を返しに溝口が戻ってきていた。
その溝口が今、和仁に向かってアーチェリーの矢の先端を向けている。
溝口(心の声) 「あの強面の人が車を貸してくれたお陰で、何とか吉村さんの怪我が早く治療してもらえた。…何も出来ないけど、今私に出来るのは、助けてくれたあの人を守る事に集中する」
溝口は大きく息を吐く。アーチェリーの矢がデザインされたマスクが少し息で膨らんだ。
溝口には和仁と三条のシャドウの姿は見えない。だが、和仁の背後から人型に揺らめく陽炎の様なモノは見えていた。人とは違う明らかに変な空気を感じた溝口は、和仁の背後にある陽炎に標準を定め呼吸を整える。
溝口(心の声) 「刀を持ったあの男。あの頭の後ろ、陽炎が濃い部分を狙って…」
フッ
溝口が短く息を吐く。
右手が震えていた。
溝口 「…勇気」
小さく口元で言葉を呟く。
豪血刀を支えに前を見つめる和仁。
和仁 「フー…フゥー…リリック、融合だ」
和仁の背後に現れている人型のリリックが和仁に一歩近づこうとした。
その時
ズドッ!
リリック 「…んぐっ…だ、れ、だ」
和仁 「早くしろリリック!…なんだ?」
和仁が顔を少しだけ動かし後ろを確認すると、リリックの頭部にアーチェリーの矢が突き刺さっていた。
和仁は三条の方ではなく、アーチェリーの矢が飛んできた方向へ目線を送った。そこには、長い髪を一本に束ねたジャージ姿の溝口の姿があった。
和仁 「…あの女邪魔しやがって!!」
和仁は豪血刀を力強く握りながら身体を動かそうとする。
タッタッタッタッタッタッ!
そこへ軽い足音で走ってくる姿が和仁に近づいて来た。
口に板チョコを咥える鈴見。
鈴見 「´´砂爪´´」
足音の正体は鈴見だった。和仁の背後に走り込むと鴉の爪の様な鋭く大きな砂の爪を右手に作り出し、リリックの両足首を切り落とした。
ズズババアアァッッ!!
和仁 「ぐふっ…!!」
ドタン
和仁は豪血刀と共に前に崩れ落ちた。
鈴見は板チョコをモグモグと満足気に味わいながら、ズボンの前ポケットから白い紙を出すと和仁の影に落とした。
黒く染まる紙。
影移しを終えた紙を鈴見が回収すると、後ろから来る新井に顔を向けた。
鈴見 「新井君コレ美味しいゾッ」
新井 「僕が猿橋組の横山さんにご褒美に貰ったレモンチーズケーキの期間限定チョコなんですよソレー。もうー楽しみに取っておいたのに鈴見さんがチョコくれチョコくれ煩いからー」
羨ましそうな顔をする新井に、ニヤニヤしながら板チョコを食べる鈴見だった。
ブ、ブゥウゥウゥブンブンブンブー!!
猿橋組ビル前通りにエンジンを吹かしながら走り込んでくる1台のバイクがあった。
ガチャン!ガガガアァッ!
そのバイクは三条のすぐ側で雑に乗り捨てられると、ヘルメットを外して三条の元に走って覚田が近付いてきた。
覚田 「やっぱり!!三条さん!!大丈夫ですか!!覚田です!俺です!!」
三条 「…痛ぇ…痛ぇよ」
事情を知らない覚田は、三条の身体を叩いたり揺すったりを繰り返し、さらに大声で三条の耳元で騒ぎ立てた。
三条(心の声) 「…覚田か…覚田だな…治ったら、覚えてろよ…」
覚田 「病院、病院だ!どこの病院がいいすか?」
三条 「…日本…女子…医学付属…に…連れてけ」
タッタッタッ!
そこへ溝口が三条の元に近付いても大丈夫だと判断しすぐに覚田に話しかける。
溝口 「あのこれ!この方に借りた車の鍵です!急いで病院に、」
覚田 「誰だてめぇは!!、鍵!…たしかにコレは三条さんの車の…何なんだよあんた!車は!?」
溝口は車を停めた所を指差した。
覚田 「あそこだな!あんたも三条さん車まで運ぶの手伝え!」
溝口 「…あ、はい!」
覚田は三条の脇を抱え上げると足を溝口が持ち上げて、三条の白い車の所まで運びに動いた。
瀕死の三条は覚田の耳障りな声を感じながら、ふわふわと意識が行ったり来たりを繰り返す。
その時。三条の脳裏には過去の記憶が途切れ途切れに蘇ってきていた。




