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39.ご近所ダンジョンマスター

焔さん家のダンジョンは正式な入り口が別にあり、

あまりに広すぎて僕たちが入ったとこは管理されてないようだ。

ドラゴンたちが勝手に出入り口を作ってしまったのかもしれないが、彼らが飛んでるとこから入る人はそうそういないよね。


オーク牧場にでもしてるのだろうと言ってた。

あれだけ倒しても全然減らないらしい。


正式なダンジョン入り口は『ゆきうさぎ村』の山を越えた先にあるんだとか。

それもう他国だよきっと。

それをきいて「懐かしーな」と言い出すレッド。


「それキノ君がいる国かもしれないな。ダンジョンがあるって言ってたから」

「え?キノ君って外国人だったのか」

「前に手紙が来てた。お互い卒業したらまた会おうぜって書いてあった」


「むー僕には手紙くれなかったのか」

「いや、だってショウ住所ないじゃん」

「あああああ、そういえばそうだった」


冒険者同士なら最悪ギルドに送れば届くが、キノ君は冒険者ではないので無理だ。

狩人なのかな。


「じゃあ後でいけるように向こうのダンジョンの事も手紙にしとく」

「僕休み取るのきついんだよね。先輩たちって船の操縦がヘタなんだもん」


予定表をみながら難しい海域は僕が操縦するようにしないとね。

ダンジョン化すると手足のように操縦が簡単になるんだ。

ないしょだぞ♪




つかの間のダンジョン体験をして僕は船の船長に戻る。

本来、ダンジョンを作るにはかなり魔力がいるのだが、既存の物を利用する分には修理するくらいで大して魔力がかからない。

ましてお試しのこれだけ小さいダンジョンだとほぼないのと同じだ。


夕方研究者を船着き場まで送り届けて、僕はのんびり釣りをしていたら突如話しかけてきた人がいる。


「こんばんは。先日ダンジョン地下4階までいらしてくれた方でよろしいかしら?」

「え?ダンジョンなら学園そばの初心者ダンジョンかな?」

「そうですわ。はじめまして、わたくしリリスと申しますの」

「あ、僕はショウです」


どうもこの人、人間じゃないらしいね。

夜なのに大きな帽子をかぶり、足首まで隠れる膨らんだ貴族のドレスを着ている。

瞳がラピスラズリのような濁った青に、亜麻色の髪がゆるくウエーブして妖艶な女性だ。ほっそりとした白い腕が印象的だ。

何と言っても胸にメロンでも入ってるじゃないかとチラ見してしまう。


「ダンジョンマスター同士の交流は近場じゃないと成立しないのでよろしくおねがいしますわ」

「そうなんですか?ぼくまだ初心者なのでよくわかっていません」

「そのようですわね。船のダンジョンなんて珍しいですわ。見学してもよろしいかしら?」

「あ、はい。何もありませんがどうぞ」


リリスは『クラゲ号』の中を珍しそうに見ていく。歩き方も色っぽい。

昔は歩く姿は百合の花といったけど、本当に匂いたつような気がする。

今は停止してるから船首は海の中。クラゲの丸い部分だけが浮いている。

地下の冷蔵庫はいい匂いと言ってた。

透明なガラス張りの室内が気に入ったらしい。


「ふふ。小さいけどなかなか良く出来てるわ。試しに作るには充分ね」

「ありがとうございます」

「わたくし夜しか動けないので長い時間はいられないけど、よかったらまたダンジョン来て頂戴ね。

 できたら人間は遠慮したいけどまた落とし穴に落ちても困るので、一緒でも構わないわよ」


あ、落とし穴に落ちそうになったのばれていた。



こちらの世界にある人間のお菓子を出してみたら、とても喜んでいた。


「こんなの食べてるのね。人間なら全員が作れるのかしら?」

「いえ、たぶん菓子職人と言われる人なら作れます」

「ふふ。そうなの?捕まえた人間に作らせるのは難しいのかしら」

「冒険者だとそういうのは難しいかも。近くの露店でお金出せば買えます」


僕はこの世界の銅貨や銀貨を見せて説明する。

昼間なら一緒にお買い物できるけど、夜だと露店はもうしまってる。

この世界には夜中も空いてるコンビニはないのだ。


「次行くときにお菓子持っていきますよ」

「あら本当?すごく楽しみだわ。先輩としてわからないことがあったら教えるわね」

「はい、そのときはよろしくおねがいします」


リリスさんは海の中を見たことないと言っていたので後で見せてあげたい。

ただ、夜じゃ何も見えないんだよね。

水槽でも作って持ってくか。


アクアリウムってどういう構造になってたっけな?



◇◇


静かな漆黒のダンジョン内に衣擦れのような音がする。

付き人が着替えを持ちながら話しかけてくる。


「リリスさま、視察いかがだったでしょうか」

「んふん。そうねぇ。まだ正式なダンジョンではなかったわ。

 まだまだだからアドバイスしてあげようと思うのよ」

「お優しい~」

「育てないとどうにもできない場所だったわ・・・ふふ」


潮風で傷んだウロコを丁寧に洗い流して一息つく。


「場所ですか?」

「ふふ。海の上に丸く浮いてるだけなの。かわいらしいじゃない」

「はぁ。役に立たなそうなあれですね」

「本格的なのはこれからじゃない?

 魔素は溜まっているみたいだったから、簡単なダンジョンならすぐできそうよ」


まあ、あまり単純なの作られても困るけど。




お読みいただき、ありがとうございます。


少しでも続きが気になる、と思っていただけたら、

『ブックマーク』と【★★★★★】何卒応援よろしくお願いします。


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