38.初心者ダンジョン
今日はチームで貴族の通う学園の方角へ向かう。
王立魔法学園そばの初心者ダンジョンは学生が経験を積むために行くのだそうだ。
ダンジョン入口付近は沢山の露店が軒を連ねており、ちょっとした観光名所だ。
入場料や治療保険・救助保険も地下三階まで完備。
慣れてない冒険者は地下三階から下に降りないようにと注意書きがある。
入場料は学生無料だ。
あ、僕は社会人扱いなので支払った。
やっぱりしくじったな。
まずは地下一階へ。
出てくるモンスターといえば攻撃してこないスライムと棘の生えたトゲトゲだけ。
ボスモンスターはおなじみのゴブリンである。
あっさりたおしてボスの戦利品『ゴブリンの首飾り』をドロップ。
「これ露店でたくさん売ってたわね」
「いらないやつだ」
荷物の袋に放り込んで地下二階へ。
ちゃんと街に戻る魔法陣もあった。
「これはギルドで設置してるみたいね」
「ダンジョンなのに?」
「たまにダンジョンと協力関係な街もあるみたいよ」
!!
まあ、それでタマちゃんは裏切られたんだけどね。
そっとペンダントに触れてみる。
地下二階もさくさくいけた。
数が増えただけで特に問題はない。ボスの戦利品『ゴブリンの指輪』をドロップ。
地下三階は敵も連携してくるようになった。
灰色ゴブリンがクラクラするめまいを起こす魔法を使ってくる。気持ち悪い。
そこに金棒を持ったオークが殴りこんでくる。
最初は魔法をもろに受けてしまったけど、デイジーが浄化をかけてくれる。
僕は多少殴られても平気なので前に出る。
ポコポコとターゲットになってる隙に、皆が倒してくれる。
ボスは吸血タイプのコウモリとやっぱり大きなゴブリンだった。
魔力吸収仕返してやりたいが、皆がいるので我慢。
さくっと倒してボスの戦利品『ゴブリンの腕輪』をドロップ。
ここまでは初心者ダンジョンなので余裕だ。
さていよいよ地下四階だ。
階段に『ここより強くなります。初心者立ち入り禁止』って書いてある。
どんなもんだか覗いてみよう。
念のためシールドをかけてもらう。
階段降りて最初の床板がいきなり落とし穴だ。
階段から最初に踏み出すとこに落とし穴なのか。性格悪いな。
落とし穴に落ちる前にケイトが腕をつかんでくれたから助かった。
試しに見に来た人は落ちた人がいたのかもしれない。
ここは罠がわかるケイトを先頭にしたほうがよさそうだ。
僕が作るより何倍も大きなダンジョントーチがある。
ここのマスター強いな。
ガザガザと現れるモンスターはヘビだ。
壁や天上にもいる。これは厄介だね。
「どうする?」
「いったん戻って情報集めましょう」
デイジーがそういうのならと皆で地下三階へ戻って街までの転送陣に乗ってみる。
初めて利用したけど体が浮いてエレベーターのような変な感じだ。
◇
あっという間に街に戻る。
早速ギルドにいってダンジョン情報をもらう。
どうも地下四階からはDランクではとても太刀打ちできない場所らしい。
「Dランクになったばかりで先に進んでしまうチームがいるんですよ。
『立ち入り禁止』って書いてあるのに困ったものです」
ギクッ!
先に進まなくてよかった。
「最低でもCランク推奨です。あと五階までは有料でモンスターと地図の情報売ってます」
そこまで言われてしまうと僕たちはあきらめるしかなかった。
他のダンジョンで強くなってからまたくるか。
初心者ダンジョンの下層がいきなりCランクなのか。ある意味ワナだよね。
頭のいいダンジョンマスターなんだろう。
人間に裏切られても大丈夫なようになってるんだろうな。
僕らの目的はもう一つ。装備だ。
学園のそばはさすが貴族ご用達だけあって、質のいい高級品がそろっている。
見学だけでもたのしい。
ウインドウに飾られたミスリルの剣は心躍るものがあった。
「いいなぁ~ほしいなぁ」レッドが貼りついて見ている。
流石に買えない。そこから引き剝がすのが大変だったよ。
僕は腕にはめる小手と防具を新調。
レッドはシルバー剣をお買い上げ。魔力付与できるすぐれものだ。
タマちゃん製のダガーはケイトに譲った。
このダガーは特別製で、ほとんど手入れが不要らしい。
それぞれ買い物をして夕方集合。
魔法学園のそばの露店は面白い店が多い。
かき氷もあったりする。
あとなぜか庶民ぽい食べ物。
麺じゃないんだけど小さな餃子みたいな形をしている。
中に具が入ってるのでソースをかけていただく。
見た目は違うけど味が焼きそばだ。青ノリが欲しい。
たこ焼きもある。関西人が転生したのだろうか。
中身はタコじゃなくてオーク肉だ。
まさか噂の勇者じゃないだろうな。
4人並んで腰かけて食べる。
学生をもうちょっと満喫してもよかったかなぁ。
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