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30.犯人特定

師匠とケサラン、パサラン先輩方が海から戻って来た。

砂浜の魔石は見つからなかったそうだ。


魔石になると水には溶けないが、魔素の状態だと水に混ざる。

もしあったとしても小さな砂粒くらいではそうそう見つからない。

大きな粒はとっくに魚が食べてしまい巨大魚になってるだろう。

あとは大きな嵐が来た時に海岸を探索したほうが効率的ということになった。



海流と魔素の流れは別かもしれない。


海中の調査は船に乗るしかない。

この広い海をやみくもに魔石探索しても見つからない可能性のほうが強い。

なにか魔石ができやすい条件があるのだろうか。


そんな時にポット君を思い出す。

そういえば彼は魔力を感知できるスキルがあるっていってたな。

もしかして魔石の場所もわかるんじゃないか?


港のある貴族領主だし、魔石が見つかれば発展するよね。

よし、聞いてみよう。



パサラン先輩と一緒に学校に残ってるポット君を訪れる。

ポット君は魔石を使って魔道具製作科に在籍していた。


「実は海底に魔石がある可能性が出てきてね。調査したいと思ってるんだ」

「あーそこに気が付きましたか。噂ですがそういう話はよく聞きます。でも、そこにいけないんです」

「どういうこと?」

「港から外は大型海獣の生息域。

 やつらが多いところは危なくて船で近寄れないんですよ」


「大型海獣のいるところが魔石のあるところだというのか」

「その可能性はあるんですけどね。下手に刺激して港を襲われたら困るんです」


それはそうだよ。彼らだって感情はあるんだ。

縄張りに人間がきたら怒るよね。

振り出しに戻ってしまった。がくっ。




金髪キラキラのガル君から連絡が来た。

犯人の特定ができたらしい。すごいな、さすが王族。

やはり第二王子派の魔導士なんだとか。


そのあとにきた執事さんに地図で丸を書いて魔導士の居場所を渡す。

彼らは魔導士研究所の魔導士だった。

ガル君が建物ごと丸焼きでOKと言ってた。



その夜、本当に丸焼けで跡形もなく焼失したそうだ。

街ごと襲われなくてよかった。


剣闘士大会を邪魔しに来た本命は他にいるとのこと。

そちらは関係ないのでお任せした。



◇◇


こちらは王立魔法学園の一室。


香り豊かな花が飾られて、明るい光がカーテン越しにかかっている。

明るく密談が交わされていた。

王弟の子ガルデニア(ガル君)とピンク髪聖女フリル、さらにこの国の第一王子が座っている。


「ガルデニア君、ごくろうさま」

「これも聖女様の未来視のおかげです」

「いいえ。私がみたのは魔物が現れて街が襲われる未来ですもの。それを事前に防ぐなんてすばらしいわ」

「あとはあの悪役令嬢の父、おっと辺境伯のほうですがこちらはなかなか尻尾を出しません」


第一王子は紅茶を一口飲んでから言う。


「まだ裏でちょっかいをだした程度だしな。弟を守るためにもどうにかしたい」

「あのそのことなのですが、側妃が関わってるってことはないですよね?」

「聖女様、それは予言でしょうか?」

「あ、いいえ。何となくありそうだと思いましたの」

「その辺も一応調査しておこう」

「はい」




部屋に戻った聖女フリルはため息をつく。


「これで第一王子が皇太子になりそうね。このまま第二王子を攻略しても贅沢できないのかしら?

 今から乗り換えもできなくはないけれど・・・」


フリルは第二王子推しであった。


「素直だしキラキラ、ふわふわの髪も柔らかくていいわ~♡

 小動物のような可愛らしさがあるのよね」


予言としてなんでも話してしまったけど、ちょっと気を付けないと危ないわね。

よく考えたらイベント回避しまくると、聖女の有用性が伝わらないじゃない。

これでは王室に認めてもらえない。


王族の正妃を輩出出来る下限が伯爵の娘。

聖女は伯爵並みの身分ではあるが、なにせ基盤が神殿だけでは弱い気がする。

民衆を味方につけても、貴族の味方はいない。


だからこそガル様に近づいてみたけどうまくいかないわ。

そういえばガル様の妹と会うイベントがまだだった。

彼女の病気を治してあげると味方になってくれるのよ。


早速手紙を書かなくてはね。




お読みいただき、ありがとうございます。


少しでも続きが気になる、と思っていただけたら、

『ブックマーク』と【★】何卒応援よろしくお願いします。

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