27.トカゲ
改行の仕方を見直しました。
プレビューの存在に今更気が付きました。
王国魔法学園・剣闘士大会、表向きは無事に済んだので馬車で帰路へ。
馬車の中で反省会だ。
当然金髪ガル君がしきってる。
「謎の石棺があっただけだったな」
「何がしたかったんでしょうね?」
「聖女の発言を思い出してみると、あの石棺で騒ぎが起こせたみたいだな」
さすがガル君。石棺の中身は僕のペンダントの中だけどね。
護衛してたデイジーも言い出す。
「陽動が失敗だったせいで、会場には何も起きなかったから、聖女様は首をかしげていたわ」
「予言が多少はずれてよかったというべきか」
「あくまで予言は予言だ。全部起こるとは限らないのだな」
学校についたので解散だ。疲れてるので話はまたということになった。
それでもレッドが死んでしまう状況が、今回はなかったことにほっとする。
いつその状況になるのかわからないのが気がかりだけど。
デイジーが学校をやめて、ピンク髪に張り付いて情報を集めると言い出したので皆で止める。
レッドが学校にいるかぎり、その状況はないだろうってケイトが説得する。
いつも冷静なデイジーなのに、心は熱いんだな。かっこよすぎだ。
◇
翌日。
休日だがレッドはシゴキ・・もとい補習で学校に行く。
僕は部屋で寝ころんでいたら、ペンダントからピョコンってあのちびっこが飛び出したのだ。
「あああ、ショウさんすみません。こちらでおさえきれなくて」
「あのね、お兄ちゃん。ボクお腹空いたの。お肉が食べたいな」
タマちゃんでも手を焼くのか。相当やんちゃな子だな。
しかたなく学校内にある食堂で肉っぽいものを探す。
串焼きはなかったので肉まんにした。
モシャモシャモシャモシャモシャ。
食うわ食うわ。5個あげても、もっと欲しいと鳴く。しかたなく5個追加で買ってきて口につっこんでやる。
モシャモシャモシャモシャモシャ。
満足したのか僕のベッドで寝てしまう。
うーん。これはやばいぞ。
僕のお財布がもたない。
こうなったらレッドも仲間に入れてカンパしてもらおう。
レッドは案の定かわいらしい見た目に夢中になった。
「かわええ~。いつこんな子見つけたんだよ」
「実は剣闘士大会に行ったときにいたんだ」
「えーまじかよ。お前途中でいなくなったと思ったらそういうことなのか。
こんなかわいいトカゲ初めて見たぞ。でも親が心配してないか?」
「うん。怪我が治ったら山に帰そうと思ってる」
ニコニコしながら猫じゃらしで遊ぶトカゲとむさい男。
絵にならないな。まあ、カンパしてもらえるならいいか。
「で、名前はなんだ?」
「え?すぐ山に帰すからいらないんじゃない?」
「そうだけど、なにかと不便だ」
「じゃあそうだな『リュウ』でいいか」
「おおーなんか強そうだな。リュウよ。たくさん食べて大きくなるんだぞ」
これで体力が回復したら山に戻せると、懐もほっとしていたのだが忘れていたよ。レッドの貧乏さを。
あっという間にデイジーとケイトを巻き込んでしまった。主に金銭面で。
ううう。まじごめん。不可抗力だ。
肩に乗せて歩いても小型犬くらい、ただの大トカゲにしかみえないのが幸いした。
ドラゴンっていってるけど羽ないんだよね。
かわいいので、ぼくら雪の結晶チームのマスコットに任命した。
リュウはレッドの赤い髪がお気に入りらしく、ベッドに倒れこんで寝ているレッドの上に登って寝ている。
「最近溺れる夢をよく見るんだ」と相談されたが「疲れてるんじゃないか」とごまかしておいた。
◇
トマト先生に事情を話して放課後はリュウのごはん調達だ。
学校のそばにも林があって川が流れてるし、角ウサギもいる。
僕は釣り、ケイトはウサギを捕まえてくる。
レッドも来たそうだったが、「おまえは命がかかってるんだからきっちり練習して来い」と追い返す。
自分ごと燃やしたら助けるのは不可能だからね。
デイジーは調べものだそうだ。
リュウはお魚もウサギも丸ごと食べてしまう。
うわぁ。さすがの僕も引いたよ。
すぐに体力も回復し、一週間が過ぎた頃には自分で魚を取って食べてくるようになった。
そのあとはカエルとかウサギとか。
身体も大型犬くらいになってきた。完全にワニだな。
そろそろリュウを親のとこに戻すことができそうだ。
「えー!もうちょっと遊びたいのに」
「無断で出てきたのなら心配してるぞ」
「無断じゃないよ。ボク遊んでいたら誘拐されちゃったんだ」
「なおさらやばいじゃないか!親はさがしてるぞ」
「家まで送っていくか。あれ?そういえば家どこだ?」
「捕まって閉じ込められたから。ガタガタしてゆらゆらしてボコボコしたの」
「わからん」
やはりここは『困ったときのデイジー頼み』でいこう。
リュウのことは保護した大人として責任もたないとね。
リュウを肩に乗せて、図書館へいったらデイジーはすぐ見つかった。
「あら、やっぱりここに来たのね」
「なに?やっぱりって?」
「だってショウもリュウの住んでたとこ探しに来たんでしょ?」
うを!図星だ。相変わらずすごい人だ。
「あの学園のそばにはリュウの住めそうなとこはないのよ。それで、不思議に思って調べてたわけ」
「そうだったのか。すごいな」
「トカゲっていえば水のそばにいるんだけど、そもそもリュウは本当にトカゲなのかしら?」
ぎくっ!!!!
まじか?
まじドラゴンってやつだったのか?
「いやわからないけど、見た目でトカゲかなって」
「まあそうよね。それでこの図鑑をみてたのよ」
そこには歴代発見された魔物図鑑があり、当然ドラゴンなんかもある。
ページをめくっていたら、リュウが肩から伸びてきて、赤いドラゴンを指す。
どうやら火ドラゴン系らしい。
うわ~住処は火山かよ。
学園から少し離れてるところに無人の火山島がある。
時々火山から噴煙があがるので、誰も近寄れないのだ。
リュウはトカゲと間違われるくらいだから羽はない。
なのに火ドラゴンだと?
間違ってない?
何度聞いてもリュウは大まじめだ。
言葉がわかってるのは僕だけだけど、皆も「ぴゅいぴぃ」鳴くリュウがドラゴンとは信じられないみたいだ。
どうやって火山に戻そうか?
危険な硫化水素とかあるんだよね。漁船だって危なくて近寄らないはずだ。
はたと気が付く。
あの魔導士たちはどうやってリュウを捕まえたんだ?
王国にいるようなすごい魔導士ならば船ごとシールドをはり、熱耐性をつけて近くまでは行けるはず。
でもあの火山に行くってさすがにできないんじゃないかと。
だとしたらリュウの親と、はぐれたとこはどこなんだろう?
当然、リュウ本人に聞いてみたら、
飛んでいる親の首にくっついて遊んでいたら落ちたんだって。
そのあと人間と追いかけっこして遊んだら捕まった。
怪我の半分は自業自得だった。
さて困ったぞ。
◇
困ったと言えば味覚が変わったのか、師匠のコーヒーの臭みが気になりだした。
獣臭い。
ものすごくおいしいんだけど、なんだろうこの変な感覚。
「ショウ君、人の五感は変わるものだ。病気ということもあるが、だいだいは新しい味を求めるようにと体が訴えてるのだよ」
「そうだったのか!僕はてっきりおかしくなったのかと。ありがとうございます」
「君の夏休みのお土産に変化を感じたまでよ。繊細な香りもたしなむようになったようじゃな」
さすがトマト師匠だ。
気が付かなかったけど今までとは違う香りを求めていたとは。
僕も少しは大人になったということかな。
あのエールすら美味しいと思えるようになるんだろうな。
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