24.学校生活・後期
僕らは学校に戻る。後期の始まりだ。
後期からの入学生はすでに授業が始まっていた。
後期からの学生は基礎学力免除になるくらい頭のいい子たちが入ってくる。
魔物に襲われるってのは、いつだろう?
レッドが戦うってことは学校卒業して、徴兵されてからかもしれない。
どのくらいの範囲で襲ってくるのか、原因も調べなくては。
そしてレッドは死なせない、絶対に。
同じ学校というのは便利だ。
ガル君がちょくちょく情報を持ってきてくれる。
あのピンク髪は他に転生者がいると思わないのだろうか?
あちこちベラベラと予言を話してる。
こっちの学校では「不思議ちゃん」扱いで相手にされなかったから、調子よく話してるそうだ。
貴族の通う王立魔法学園では異変が起こってるそうだ。
それもみなピンク髪絡み。
黒い靄のようなクマが学園の庭園に出てきたので、王子と一緒に倒したり、
貴族にいじめられて噴水に落とされたら光り輝いて新しい聖魔法を手に入れたり。
主人公としてがんばってるみたいだ。
こっちの学校では何も起こらない。
今は王立魔法学園が狙いなのか。
となると狙いは王族か、聖女か。
手紙のやり取りで何となく絞れてきたぞ。
そう言ったのは、できる金髪ガル君だ。
王立魔法学園主催の剣闘士大会もきっとなにか起こるだろうと狙いをつけて、僕らは潜り込むことにした。
潜り込むといっても普通に招待されたガル君にくっついていくだけだ。
ガル君は大会参加なのであまり動けない。
ここは『隠密』のレッドと『俊足』のケイトに頑張ってもらおう。
デイジーにはさりげなくピンク髪のそばにいてもらう。
女子同士ならどうにでもごまかせるとのこと。
まして将来ピンク髪の付き人になる予定だったなら、きっとだまされる。
僕はタマちゃんを頼りに魔物の気配がないか監視する。
同じ魔物同士、わかりやすいのだとか。
◇◇
所変わって、ここは貴族の通う王国魔法学院。貴族の学校だ。
貴族のなかでも特に高貴な人しか使わない特別室の一室だ。
守ってあげたくなるような、ふわふわピンク髪のかわいらしい少女がいる。
付き人の侍女を下がらせて、優雅にお茶を口に運ぶ。
「ふふふ。いよいよだわ。
私が聖女になって初仕事。剣闘士大会で現れた魔物退治よね。
これで王国も聖女が手放せなくなって王子様との結婚を周りも押すようになるのよ」
乙女ゲームには多少の困難がつきまとう。
そうしないとゲームとして盛り上がらないからだ。
「あの悪役令嬢もそろそろ焦って来たわね。でもまだまだよ。
噴水に突き飛ばしてくれたのはゲーム通りで助かったわ。
助けてくれた王子様方も素敵だった。
クールな第一王子か優しい第二王子か。さすがにハーレム展開はないわよねぇ」
一気にぬるくなったお茶を飲み干す。
「勉強はがんばらないとね。
所作がみっともないと王子様の婚約者になった時、恥ずかしいもの」
この聖女、いじわるされて本を破られたときのために教科書や服を大量に持ち込んでいた。
ちゃんとゲーム対策もしてまじめに勉強もしていたのだ。
ショウと違って彼女は日本の元社会人だったので大人である。
ただ、自分がヒロインになったことで調子にのっていたのだっだ。
◇◇
ショウのいる国立技術学校の話にもどる。
剣闘士大会数日前、ぼくらは王立魔法学園へむけて出発する。
ガル君の用意した貴族の馬車なのでやっぱり広い。
さりげなく護衛を多めに連れて行くのだそう。
敵が来ても逃げることができる人員を選抜したのだとか。
あと諜報部員も紛れている。
馬車の中で前日の行動をデイジーが確認をする。
「ガル様の元に連絡係がケイト。レッドは会場内。ショウはその外周り。私は聖女に張り付くわ」
ガル君に注意される。
「僕の呼び方だけど、公式行事以外は学校外でも『様』はつけないでね。敬語もなしで」
「わ、わかりました」
向こうがいいというのだから不敬罪にはならないよね。
◇
夕方遅く王国魔法学院の門をくぐる。
とりあえず今夜は休息をとって、明日は剣闘士大会の前夜準備にまぎれて気配を探さねば。
さすが貴族の学校だ。
設備が段違いにいい。
お風呂も大理石っぽい。鉱物は日本と似てるんだな。
どこもかしこもピカピカだ。
新しくできたばかりのホテルですって言われても、納得してしまう。
疲れていたので軽く軽食をいただいて就寝。
章を切り替えるかどうか悩み中。
次回は木曜あたりに。
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