23.ピンク髪の来訪
夏休み中、僕らは遊んだり狩りをしたりを思い切りやり切った。
疲れすぎて、帰る馬車ではぐっすり眠ってしまう。
僕ら4人は学校ではなく、メルクル街で降ろしてもらう。
ジョン爺さんへお土産を渡して話をするためだ。
ギルド長に紹介状をかいてもらった恩があるので、お土産を渡しに行く。
その時に話したんだけどあのピンク髪が不思議発言をしていったらしい。
『鏡のダンジョン』の情報が欲しいと来たのだそうだ。
「ダンジョンが崩れる前に鍾乳洞がくずれてしまって、ダンジョンコアは助かるのよ。
そしてダンジョンマスターを教育して前のダンジョンと鏡のようにそっくりなダンジョンを作るはず。
出来てないってことは、まだ時期が早かったのね。
ダンジョンができたら知らせてほしい」
なんだそれは?
「ダンジョン後にダンジョンができるのはよくあることだ。
それにあの聖女様は未来がみえると評判でな。ギルドでも渓谷あたりを警戒してるんだ」
「といういことはあそこに別のダンジョンができるんですか?」
「聖女はそう言ってるな」
「そっくりなダンジョンってことは初心者ダンジョンなのかな?僕もいってみたいです」
「出来たら調査して連絡するよ」
「お願いします」
楽しみにしてるのは僕らだけではない。
ジョン爺さんも年甲斐もなくそわそわしてた。
同じところに同じダンジョン作っても攻略されるだけだよね。
ってことは何か仕掛けがあるに違いない。
なんだろうね、タマちゃん。ちょっと楽しみだね。
◇
僕らは知り合いにお土産を配りつつ、散策する。
ちょっとお高いレストランに集合。無事戻れたことに乾杯だ。
店内をみまわしたら、いたよピンク髪。
見ちゃダメなやつだな。
向こうは強そうな騎士と聖職者たちと一緒に食事にきていたようだ。
モブの僕らにはかかわらないだろう。
こっちはこっちで食事を楽しむ。
やっぱり出てきた丘サソリ。ゆでるとロブスターのように赤くなって甘くて美味しい。
山間部にまで持ち込めるなんて日持ちするんだな。
夏は山で山菜も採れる。コリコリとした炒め物に、ピリッとした夏の香りがいっぱいだ。
分厚いピザもある。下の土台がやたら分厚いな。パリパリしてて食感がいいね。
夢中で食べてると誰かが話しかけてきた。
ピンク髪だ!
「こんにちは。あなたデイジーさんよね?ゲームでみたことあるわ」
「はい。ゲーム?・・・聖女様の記憶にあるとは光栄ですわ」
「デイジーさんって未来は私の護衛になるのよ。
学生なら推薦はこれからなのかしら?待ってるわね」
「え?護衛・・・私が聖女様の護衛になるんですか?」
「今のところその予定ね。ちゃんと勉強してちょうだい」
「は、はい。わかりました」
なんだなんだ?僕らは彼女とかかわるのか?
「あら、もしかしてこっちは『爆炎』スキルの人ね」
「え?俺もなんか関わってるのか」レッドも振り向く。
「大丈夫よ。あんたは奇跡的に『爆炎』スキル発動成功させるの。
襲って来た魔物を焼き尽くして意識はなくなるけど、この国の人を救うのだから英雄になれるわ」
会計が終わった騎士様が声をかけてくる。
「聖女様、そろそろ戻られないとお時間でございます」
「あらそう。じゃ、二人とも待ってるわね」
手をふってピンク髪たちが帰っていく。
いやいや、なんかさらっと怖いこと言ってなかった?
デイジーが聖女の護衛でレッドが英雄になる?
いやいやそれよりスキルで意識がなくなる?
これって戦争か何かが起こるってことじゃないか。
デイジーも不服そうだ。
ケイトも「調べてみるね」と言ってる。
レッドだけは「英雄かぁ」と嬉しそうににやついている。
こいつ天然なのか?
◇
デイジーとケイトは実家へ戻ってお土産を渡してくるそうだ。
レッドは実家へ戻るのを渋っていたが、早く行けと尻を蹴とばしてやった。
お世話になってる人、一人くらいいるだろ?
宿屋に一人もどって考える。
その乙女ゲームとやらは戦争でも起こる設定なんだろうか。
未来を変えることってできるのかな?
久しぶりにタマちゃんから話しかけてきた。
「ショウさん。新しいダンジョンは出来ないと思います。
あの聖女様が『生き残ったダンジョンコア』って言ってましたよね?」
「そういえば言ってた。生き残ったってタマちゃんのことかな」
「その可能性が高いです。
新しいダンジョンコアが生まれるのはかなり年月がかかりますから、私しかいませんよね」
「えー!ということは僕がダンジョンをあそこにつくるの?」
「そういうことかと」
「やだよー。ぼくはもっとタマちゃんと旅をするんだ。この世界を見て回らないとね」
「ショウさんに元の世界の記憶があったせいで、未来が変わってるのかもしれません」
「どういうこと?」
「未来は変えていけるということです。お友達を助けたいのでしょう?」
そうか!
タマちゃん!なんていい人なんだ。あ、人じゃないけど。
とりあえず情報を集めなくては。
◇
僕は手紙を書く。
あの金髪少女あてだ。
金髪兄弟は現王様と兄弟の子供だそうで、れっきとした王族だ。
ちなみに現王様の奥様、王妃は子供がいない。側妃が2人いて、王子がそれぞれ一人ずつ。
ドラマでは相続争いが起こりそうな設定だ。
まあそんなことは割とどうでもよくて、僕はお茶会のお礼状をもらっていたので返信したら、そのまま手紙が続いている状態だ。
これ文通っていうのか?
かわいい少女と文通。
青春してるぞ。うへへへへ。
内容はいたってまじめで、聖女のことを書いた。あと戦争になりそうな気配があるのかどうか。
当事者ならきっと詳しく知ってるよね。
この手紙のせいで後日、金髪兄貴ガル君に怒られてしまうのだ。
「病み上がりの妹にそんな不安な手紙を渡すんじゃない!」
「ごめんなさい。じゃあガル君に聞いてもいい?」
「うぐぐ。嫌だけどしょうがない。妹に手出しされるよりいいか。話していい範囲で教えるよ」
そんなこんなでガル君を味方につけたんだ。
お読みいただき、ありがとうございます。
この世界は「命よりも名誉」という教育になってると思われます。
でなきゃ戦争なんて起きるわけがないですよね。
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