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21.お茶会と不意打ち

翌日はギルドに寄って討伐金を受け取って、丘サソリを倒す。

デイジーは帽子をかぶって水筒も常備。

僕はみんなの休憩用に前日の木陰を広めに改良して土で作成。


そして大量の袋を持ってギルドにもどったら、受付嬢がもうやめてと半泣きだ。

仕方ない。

別の依頼をさがそう。


僕ら『雪の結晶』チームはDランクになったので、ダンジョンに入れるようになった。



次の日は午前中からポット君のお屋敷へ。

お茶に招かれたのだ。


顔合わせ程度の会なのでお気軽にっていわれた。

僕は貴族に合わせた服なんて持ってない。

馬車に乗ったときのそれなりに綺麗な服を着ていったが、貴族のお屋敷に入ると場違い感が半端ない。


お茶飲んですぐ終わるだろうから我慢しよう。


ポット君が迎えに来てくれる。あほ毛は健在だ。

金髪のガル君とバニラちゃん兄弟だ。二人の金髪がまぶしすぎてつらい。


僕らは庭の木陰へ案内されて、ガーデンパーティのようなお洒落なレースのテーブルを囲む。

家の中だったら緊張でこわばってた気がする。


「みなさんようこそお越しくださいました。簡単なものを用意しましたので、つまみながら話をしましょう」

さすが貴族だ。優雅にお辞儀をしてメイドさんに合図を送ると早速飲み物が出てきた。


そわそわしてたバニラちゃんが僕に話しかねてきた。


「あの、ショウさん、貝殻ありがとうございました。」

「いえいえ、その後具合はどうなの?」

「はい!おかげさまで調子がいいというか、なんだか治ったような気がしてます」

「無理はしないでね」


もじもじと本当にかわいらしいな。頬がバラ色で緑色の瞳もお人形みたいだ。

兄貴のガル君もうれしそうに話しかけてくる。


「妹がショウ君はお医者様なのかってずっと気にしてたんだ。」

「え?まさか」

「いずれにしてもバニラの調子がよくなったのは君のおかげだよ」

「いやいや、ここの気候がよかったんだよ。ほんと気持ちが明るくなる」


ポット君が地元をほめられてうれしそうな顔になる。

皆も妹さんの具合が良くなって安心したと言い、恥ずかしそうにお礼をいう姿もいい。


「いいなーこんな妹がほしいぞ」ハーレムの妹枠認定だ。

「やらん」と本物のガル兄に即、否定される。

なごやかなお茶会だ。



この世界で初めてのサンドイッチが出てきた。

辛みのあるキュウリと卵、カリカリに焼いたベーコンとチーズ。

こっちにきてからお魚づくしだったので新鮮だ。


濃厚なスープも出てきた。赤くてとろりとしており、ほんのり甘さもある。

これがあの丘サソリだと聞いてびっくり。

あいつらこんなにおいしいのか。


ポット君にお茶の購入先を聞き出す。

当然師匠へのお土産だ。




「そういえばピンク髪の子は聖女になったんですか?」

「いやまだ正式発表はないな。でも未来が見えるそうだから確実だと思うよ」


ほほお。未来って乙女ゲームの未来だよね。


「やはり王子様とラブラブなのかな」

「え?どうしてそれを?ラブラブというより今のところまとわりつかれてる感じだったよ」



ぼくらはちゃっかり数時間居座って話まくった。

お昼ご飯はいらないね。

昼寝をして海でおよぐ。


ケイトたちはカニを捕まえてあそんでいるようだ。

さすがに泳げないかな。

あの水着じゃむりか。





夜、浜辺で花火がしたいなーと思いつつ、涼んでいたらデイジーがやってきてじーっとこちらをみている。

彼女の瞳は青色なんだよね。

何で気が付かなかったのだろう。夜みるとアクアマリンよりも濃い、ブルーダイヤモンドあたりだろうか。


「ねぇショウ。私たちに隠してることないかしら?」

「なにいきなり?」

「亀の時もあんた亀に何か話してたでしょ?そのあと亀がいなくなったのは偶然?」

「え?そっ、そうじゃないかな」

「ならバニラ様に会ったらなぜ急に病気が治ったのかしら?」


ぎくっ!!!

するどすぎるぞ。


「彼女の病気は光魔法でも治せない病なのよ。治せる薬もない。

 本人が魔力を扱えなければどうしようもないものなのよ。

 それをショウは治した。」


やばい。

やばい。

やばい。


こんな不意打ち勘弁してよ!


どうしよう。本当のことを言うべきか。

『吸収』スキルって人間使えるの?魔物だけだったらどうしよう。

正直僕は彼女たち3人にうそをつきたくない。

でも、僕の正体がばれたら・・きっとお別れだよね。



やだ。いやだ。いつか別れてしまっても今じゃない!



僕が混乱して黙っていたら、ため息をついて彼女は言う。


「病気を治す方法があるのなら教えてほしいの。」

「えっと・・えー・・ブルーの瞳が宝石・・あ、じゃなくて・・」

「もう。私が綺麗なのは当たり前なんだから言わなくていいわ」

「あ、うん」


「言いたくないのならしょうがないけど、いつかは教えてくれるかしら?」

「あ、うん。いつかね」

「わかった・・・・じゃあ、おやすみ」


そういって去っていった。


うわーあせった。何言ってるんだ僕。


まだ皆に話す勇気も覚悟もないんだから不意打ちはなしだ。

いつか別れるそのときまで、僕は皆と楽しくすごしたいんだ。


そしてその時が来たら・・・。

僕はどうするんだろう?



お読みいただき、ありがとうございます。


少しでも続きが気になる、と思っていただけたら、

『ブックマーク』と【★】何卒応援よろしくお願いします。


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