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17.夏休み

試験も終わっていよいよ夏休みだ。

旅行の準備をしてたらポット君に会った。


隣の部屋なんだから普通に会うよね。


「夏休みは家に帰るの?」と聞いてきたので、

「海にいくんだ」とウキウキしながら答える。

「あーそうなんだ。僕はこっちの山のほうが好きなんだよね。実家が海で飽きちゃってるんだ」


なんともうらやましい実家だ。


「海には昔から癒しの効果がある。僕には疲れた心をいやす時間が必要なんだ!」

「それは聞いたことがあるよ。親せきの子が病気なんで、海へ療養に来てるんだ」

「ほぉ?親せきの子が病気なのか」

「うん。魔力過多っていう症状なんだそうだ。小さい子だと調整できないから亡くなってしまうことも多いらしい」

「お大事に。よくなるといいな」

「うん。ありがとう」


初めて聞いたな。

魔力過多。魔素の取り込みが多すぎるのか。

ストローの先端を吸い込めばあとは自然に流れるように、

体の中の魔素を少し追い出せばうまく循環するようになりそうだよね。




それに関連して僕は気になってるスキルがある。

魔石を吸収するときに使ってた<吸収>だ。


「魔力を吸収するときにも使えないかな?」

「そのままでは吸収できませんが、人間の中にあるのなら固定されてるので出来ると思います」

「試してみるかな」

「生きてる人間で試すのは危険です。その人の魔力すべて吸収するのですから死んでしまいます」

「うへぇ。調節とかできないの?」

「うーんそうですね。できるか試してみます」


「え?できるんだ?」

「派生のようなスキルは調整しだいですので、身体をちょっといじりますね」


なんだって?

僕って人間じゃないみたい。

あ、ダンジョンマスターだった。




結局、<接取>という「外にあふれた魔力を奪うことができる」スキルができた。

ドレインという溜まった水の排出などに使用する管のイメージだ。


実際使ってみないとわからない。

魔力を持ってる魔獣っていないけどどうしようかな?


ふと気が付いた。学校にあるダンジョンもどき!

あそこなら練習にベストだ。


ゴブリンは魔法がないと思っていたら、ゴブリンメイジという魔法を使うボスがいるそうだ。

管理者さんに早速だしてもらって練習だ。

緑色だけど生意気に杖持ってる。


魔法を打ってきやがった。


ぎゃあああああああああああ


黒いシミだらけになりながら<接取>を使う。

一瞬でボスは消えた。

あ、倒しちゃった。


次は土で動けないようにしてからスキル発動。これで半分くらいかな?

よろけている。

魔力を奪うと体力も減っていく。魔力は生命力みたいなものだからね。



魔物の<接取>はわかったが人間はどんな感じなのだろう?

練習台がどっかにいないかねぇ。


「どうぞ魔力を吸ってください」なんてドMな変態っていないよね。


ポット君の親戚を救うのは大人の医者におまかせしよう。





翌日。

茶髪のポット君が部屋を訪ねてきた。あほ毛は健在だ。


「海にいくのなら、僕の住む湾にあるエスピ街に来ないか?どうせ帰るから馬車も用意できるんだ」

「おおーそれは助かる。4人になるけどいい?」

「構わないよ。大勢のほうが楽しいからね」


レッドたちに話したら喜ばれた。

辻馬車だと乗り換えや時刻の調整がめんどうだったそうだ。

知らなかった。


そうなってくるとお世話になるポット君のためにも親戚の子がよくなってほしいな。

祈るだけ祈ってみよう。

フローリア様なら気が向けば聞いてくれるかもしれない。


女神フローリア様ってそもそも豊穣の女神さまの使いっ走りらしい。

元は花の精霊だったんだって。だから神殿にもその像は置いてないんだ。

お姿を見てみたいなぁ。そして絵に・・・おっと、さすがに不敬だね。




いよいよ馬車で出発だ。

幌馬車といってもいい、大きな馬車だ。

テント代わりに使えるくらい大きい。


僕たち4人と、ポット君、ピンク髪にまとわりつかれていた金髪の男の子も一緒だ。

ポット君の親戚なんだとか。

名前は、ええと・・・忘れました。

というか話したことすらない。


「名前長いのでガルと呼んでください。よろしくお願いします」


ガル君か。犬っぽい。

あの『芸術の村』に行く途中にいたワンコたちが「ガルッ」っていってたな。

二文字ならおぼえていけるだろう。




海でどうやって稼ぐのか。

それはもちろん狩りしかない。

海岸のそばにいい狩場がないか確認も忘れない。

地元の友人の情報って大事だよね。



馬車の中で地図を見ながらポット君とどこがいいか話をする。


「エスピ街は漁港で成り立ってる街なんです。なので泳ぐとこはこの辺、あと海釣りならこっちかな?」

「海釣りっ!」僕の目が輝く。

「相変わらず釣りが好きなのね。それで、珍しい魔獣とかいるのかしら?」

「それならすこし奥の砂丘はどうですか?小さい丘なんですがこちらにはいない魔獣がいますよ」


金髪のガル君はおとなしいな。馬車で酔ったのかな。


馬車は進む。


ガタゴト、ガタゴト。

ガタゴト、ガタゴト。


大きなクッションも置いてあるのでお尻は痛くないし快適だ。

さらに馬に乗ってる護衛の人も数人いる。




後で知ったけどガル君もポット君も貴族なんだそうだ。

ガル君の妹さんが病気で、親戚のポット君の家で療養してるそうだ。

おとなしかったのは妹さんが心配で会話に入れなかったみたいだ。



お読みいただき、ありがとうございます。


少しでも続きが気になる、と思っていただけたら、

『ブックマーク』と【★】何卒応援よろしくお願いします。


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