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ダンジョンマスターに生まれましたが人間やってます  作者: 猫の靴下
二章 成人の儀
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1.王都にいこう

冬服をしまって片づけをしてからレッドと一緒に王都へ行く予定だ。

12~15歳の子はいづれかの年、神殿で『成人の儀』を受ける必要があるのだそうだ。

貴族の人は社交界デビューともいうらしい。


この『成人の儀』をうけないと一人前とはみなされず、ダンジョンへ入ることもできない。

そしてそのあとに最も大事な儀式、『スキル活性化』をしてもらえるのだ。

タマちゃんによるとスキルというものは誰でも持っているけれど、活性化しないと使えないのだそう。

例外でユニークスキルというものがあるそうだが、種族によって生まれたときから使えるのだとか。


『ダンジョン作成』もダンジョンマスターが使えるユニークスキルだそうだが、偽装している今は使えない。


「ショウさんは人間に偽装してるので『スキル活性化』は必要ないのですが、とりあえずうけときますか?」

「うーん。人間の皆と一緒のほうが変な疑いは生まれないよね」

「そうですね。ではそのときに属性は土。『土魔法』と『認識阻害』あたり解放しましょうか」

「うん。お願い」


解放ってことは元々持ってたのか。

『認識阻害』あるなら職業は忍者がいいなー。かっこいいし。

忍び足で誰かにイタズラできるし・・へへへ。ニヤニヤするショウであった。


「あの、一つ言っておきたいことがあるのですが。

私たちの魔力は人の生命力と同じで人の魔力も魂もそう遠いものではないのです。

なのでまだ完全とは言えないショウさんの魂にはもっと魔力の源が必要なんです。

それは魔石で補うことができます。」


ぼくはペンダントをみた。これは『スノードロップ』という魔石だ。ダンジョンコアのタマちゃんが入っている。


「魔素が集まってできるのが魔石です。魔物の体内で結晶化することもあるし、自然の豊かなところにも自然発生します」

「えーとつまりぼくは魔石を集めたらいいの?」

「はい。本来ダンジョンがあれば地脈やそこを訪れたものから魔素がもらえるのですが、ショウさんにはまだ無理ですので」


むむむ。

異世界やっぱり厳しいな。

となるとやっぱり戦わなくちゃだめなのか。やだなー。

ものくさショウ発動である。



ショウに家はない。ダンジョンマスターならダンジョンが家であるのだろうが、ダンジョンを作ってないので家なしだ。

休日はギルドロッカーに荷物を入れて裏庭でだらだら過ごしていた。

ここにいれば誰でも一日1食は食べることができるのだ。


朝は木刀で素振りの練習。ギルド講習会を受けて無料昼飯をいただく。魔法の練習をして屋台で夕食。

講習会で弓を試してみたが、10発中10外すという論外な結果に終わった。

笑いをこらえる周りの受講生。さすがに才能がないなとあきらめた。

魔法もほとんどできない。

「魔力がそもそもマイナス状態なので魔力がたまれば大丈夫」とタマちゃんにやさしく言われる。


魔石がほしいなぁ~。


店に魔石は売ってはいるのだがとてつもなくお高い。

初心者冒険者では手が出せないお値段なのだ。




僕とレッドはギルドにいるジョン爺さんに『成人の儀』の注意点を聞きにいく。


「それでおまえさんたち『成人の儀』を受けるときの服はどうするんだね?」とジョン爺さんは言う。

「へ?服装?」

「普通の服じゃダメなの?」

「あたりまえじゃ。狩りに行く用の汚れてもいい服を着るやつなぞおらんぞ。」


うわー困ったぞ。

そういえばデイジー&ケイトは服の製作が間に合わないから別々の出発にしたんだっけ。


ジョン爺さんに「中古服でもいいから探して来い」と言われてあわてて飛び出す。

レッドと共に古着屋にかけこむが、それでも高い。

肉食べまくって贅沢しすぎたか。


絶対にお高いと思われる『ゴールデン商会』に行ってみる。

ここの商品は高すぎて買えないが、なにかいい情報がないか聞きにきてみたのだ。

ちょうどリリーシュが店にいたようだ。


「あら、いらっしゃいませ。お久しぶりね」

「久しぶりです。えーと今日は買い物じゃないんです」

「お客様でなくても見るだけでも大歓迎ですよ」

「実は『成人の儀』につかえる服を探してますが、初心者なので予算がないんです」言い淀んでいたらレッドが代わりに言ってくれた。

「それは困ったことね。古着屋紹介しましょうか?」

「そこはもう行ったのですがいいのがなくて」


他の店員さんに聞いてもらっても皆よく知らないようだった。



「レンタルでもあればなぁ」とぼくはため息をもらす。

「れんたる?なんだそれ?」レッドが聞き返す。

「僕の国にあったシステムなんだけど、こういう晴れの舞台用に綺麗な服を1日貸してくれるとこだよ。『成人の儀』なんて一生に一度だしもう着ることもないから借りられたらいいなって。」

「ショウさん!もっと詳しく教えていただけない?」ぼくとレッドの会話を聞いてリリーシュがのってきた。


僕は子供だし借りたこともないけど、日本の成人式の話をしてみた。

レンタル料を払うだけで、着付けも一式で当日借りることができるというもの。


「お父様にその話してもいいかしら?うちは王都にも店があるからそこで貸出できるかもしれない」

「え?ほんと?それなら助かる」

「その話なら女性もほしいところよね。平民でも貴族のようなお洒落ができるって素敵じゃない?」


貴族?お洒落できるほど金持ちなのかな?

冠婚葬祭にも使えそうだとか従業員で盛り上がっているようだ。

いやでも日本の成人式も普段着ない派手なのが多かった気がするからそういうものなのだろう。




その後レッドによって、僕らは服一式を借りて王都で歩き回って宣伝してくれたら無料にしてくれると話がついた。

レッドって交渉がうまいな。

もちろんデイジー&ケイトの女性陣にも話をする予定だ。

ああいう華やかな場所は女性のほうが目立つからね。


王都でドレス一式借りることができるときいて銀髪デイジーは大喜びだ。

服はともかく一式揃えるとなると大変なんだそうだ。

さっそくお友達も声をかけてみたら皆乗り気だったらしい。

今回は宣伝なので人数は絞らせてもらったのだとか。


僕は日本の成人式の話をしただけで準備ができてしまったので大満足だ。

今回は初めてなので採寸と着たい色のみを選ぶ。

次回からは街で採寸してカタログで決めておくようにして、

実物を見たい人は王都でみることもできるようにするそうだ。



服一式は王都でそろえるので、僕とレッドはいつもの服装で王都に向かうことになった。



少しでも続きが気になる、と思っていただけたら、

『ブックマーク』と【★★★★★】何卒応援よろしくお願いします。



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