16.学校生活 前期②
国立専門学校はその名の通り、それぞれの特性をより効率的に発揮できるように指導を行う。
僕の特性は当然この物理的な力持ちってことになるけど、土魔法も見逃せないのだとか。
たとえば耐熱煉瓦。
土をこねて高火力で焼けば立派な城壁の元になる。
そういった産業分野でも生かすことができるんだ。
土と行ったけど、石魔法も派生魔法として取得できそうだ。
考えてみたらダンジョン作るのに石やレンガとか必要だもんね。
タマちゃんに聞いてみたら、
「魔力があればできると思います。地下通路に必要な灯りなどもワンセットで造れるはずですよ」
あ、やっぱり問題は魔力なのか。
僕って本当はすごいんだ。魔素をためる方法があれば・・・。
◇
トマト師匠に野外の自然魔石研究遠征へ連れ出してもらう。
吸収できるかなと期待もあったのだが、虫眼鏡で見るような本当に小さいものばかりだった。
タマちゃんは外の景色、何もかもが珍しいらしくウキウキしてるようだ。
ダンジョンの石にずっと籠っていたんだもんね。
最近会話がないけど楽しい気分は伝わってくる。
普段は省エネモードでおとなしくしてるのだそうだ。
自然にできてる場所など調査するのはなかなか興味がわく。
自然豊かな大きな滝があって、魔石絶対あるだろって思っても見当たらなかったり、
砂漠の何もない岩場にできていたりする。
関連性がわからない。
風の吹き方とは別に、魔素の流れがあって吹き溜まりみたいなのが出来ているというのが先生の考えだ。
魔素の流れシュミレーションもつくってあった。
こういうときに演算の得意なパソコンが欲しい。
きっと日本の大学生ならわかるんだろう。僕は日本の小学校卒。無理だ。
◇
レッドを巻き込んでレンガでも作って稼ごうかと思ったが、毎夜ベッドに倒れてるのでさすがに声がかけられない。
それならと魔力で石を削っていろいろ作る。
鉄板の代わりに焼き肉を焼く板にしたり、石焼き芋を焼くように細かく砕いてみたりする。
魔道具ではないが、アイディア商品として学校で取り扱ってもらえる。
遠赤外線というのかわからないけど、いい感じに食材が焼けて保温性が高いのでポツポツ売れたようだ。
僕は先生との遠征でたくさん使ってしまうので、お小遣いが足りなくなってきた。
お小遣いが少ないといえばレッドも同じである。学費などは出してもらえても、お小遣いは自分で稼ぐ以外にない。
夏休みは稼ぎ時だ。女性陣も巻き込んで火山帯か海に遠征しようと思う。
夏休みなので暑いからと海一択になった。
この辺は山が多くて海がない。
3人+タマちゃんは海を見たことがないそうで、ものすごくはしゃいでいる。
僕も久しぶりだ。
水着ほしいな。泳ぎたい。
◇
浮かれてはいられない。期末試験が待っていた。
あの『基礎学力』試験だ。
ぎゃああああああああ。
結果は聞かないでほしい。
師匠と一緒に遠征してたせいもあって、僕の学力は遅れに遅れまくっていたのだ。
トマト師匠にも「誰にも得意不得意があるのだから、君は得意分野を伸ばせばいい」と慰められた。
師匠!一生ついていきます!
海に行くにあたっては課題もだされた。
海流・潮の流れについてだ。
星の自転と赤道で温められた熱が海流となっている。
地球で、潮の満ち引きは月が関係している。
ここには月がないが、太陽のそばにたまに大きな天体が見えるので、きっとこいつの影響だな。
金星よりもこの星に近いのだろう。
僕は見たことがないけど、星食という真っ暗な時間があるのだそうだ。
それはちゃんと計算されていて『闇の日』と言われて休日になる。
祈りの日なんだとか。
こういう迷信的で中世っぽいかと思うと、魔石を使った冷蔵庫のようなハイテクがあったりして驚く。
不思議すぎて面白い世界だ。
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