15.学校生活 前期
生活担任の先生の紹介。
教科ごとの先生の紹介。
各教室の場所。イベントなどの年間行事。
ここは専門校なのでイベントはほぼないそうだ。
ついでにいうとクラスメートも基礎学科以外はばらけている。
うん。いつものごとく名前を覚えてない。
そのうち覚えるだろう。開き直りは大事だよ。
この学校は専門技術の学びたいとこだけを選べるようになっている。
僕は一年で卒業しようと思っていたが、成績があまりにひどすぎたため前期は基礎学力を集中的に学んだほうがいいと言われてしまう。
なぜ受かったんだ。
ギルド長からの推薦で、獣人の特性としての「おつむの弱さ」から試験の得点が甘くなったのかもしれない。
『急がば回れ』
昔の人はいいこと言うな。
ちくしょう。基礎学科でまたボツリヌス菌と格闘するのかよ!
いやあああああああああ
◇
そんな中、出会ったトマト教授はすごい先生だった。
図書館でうろうろしてたら確保されてしまったんだけど、僕が「魔素をとりこむ方法を探してる」と言ったら食いついてきた。
今でも方法はないわけじゃないが、効率が悪すぎるのだそうだ。
先生もそれに近い研究をされているそうで、話がもりあがった。
「君は新入生かね」
「はい。僕はショウといいます」
「なかなか面白い着眼点だね。今度私の部屋に遊びに来るといい」
僕は先生の名前をすぐおぼえたよ。
トマトだし。
通常の授業を涙目でこなし、終わると先生のとこに入り浸るようになったんだ。
先生のとこでだされるコーヒーがものすごくおいしくてお気に入りだ。
特別製のコーヒーで香りが独特なんだ。
独特のせいで嫌がる人も多い。
先生は仲間が増えたと言って喜んでいた。
そういえば僕ってお茶の味や香りって気が付いたことなかったな。
「さすが師匠だ。僕の知らないことを何でも知ってるんだ。」
「いやそれは違う。私は知ってることしか話してないんだよ」
ぼくはそれから先生のことを「師匠」と呼ぶようになった。
レッドは通常授業のあと、鬼教官の元で魔法の威力制御を教わってるそうだ。
ノーコンよりもそっちが先なんだね。
地味すぎて嫌になるそうだ。がんばれ。
炎系のスキルは何種類かあるそうで、スキルもいくつか生えてきたそうだ。
努力するとスキルって生えるのか。
部屋では毎日ヘロヘロになってベッドに倒れてる。
僕ら一般人に被害が出ないように頑張ってくれ。
◇
さてさて、ひとつびっくりしたことがある。
学校にはダンジョン体験形式の建物があるのだそうだ。
モンスターとよばれる魔物もちゃんと出てくるらしい。
どうやってつくったんだろう?
まさかお仲間が学校創立に関係あるのかな。
デイジーとケイトに誘われて、僕とレッドも体験しに入ってみる。
学生なら誰でも入れるので、学生証を提示して建物の中に入ってみる。
「なんだよ、完全に教室そのままじゃないか」
「モンスターってまさか人間みたいなのじゃないでしょうね?」
「あ、あれ」
ケイトが指さすほうに机に隠れた緑色の魔物がいた。
ゴブリンだ。
懐かしいな。こんなとこにいたのか。
ゲームでは一番弱い魔物だよね。
「あいつあんまり動かないのか」
「攻撃するとアクティブになるのかしら」
学生が入れるくらいだからそんなに強くはないだろうと判断し,デイジーが氷で攻撃してみる。
「あ、倒れた」
「え?消えちゃった」
弱すぎるし、倒れたら消えちゃうのか。
ダンジョンの疑似体験みたいだ。
1階は単純で、一部屋ごとに数が増えたり、動き出したりはあったけど全部ゴブリンだった。
ワンパンで消えちゃうので好き勝手に蹴とばしたりして倒す。
ボス部屋らしきものはあったけど何も出てこないので飛ばして階段を上っていく。
2階はさすがにワンパンでは無理だったが、何度か攻撃すると消える。
いきなり魔法がとんできた。逃げ遅れるのはやっぱり僕で、当たった右腕に墨のようなシミがついてしまった。
うううう。
なんだかわからなかったので入り口へ戻って聞いてみた。
やっぱりというか攻撃を受けた証拠で、管理者さんに「本当は怪我してましたね」っていわれた。
ちなみにシミは一日で消えるそうだ。
『油断大敵』
昔の人はいいこと言うなぁ。
1階のボス部屋は戦いたい敵を設定できるんだとか。
面白がってミノタウロスをお願いしてみたら、強すぎて4人とも墨だらけになった。
全く魔法が効かない。さらに硬すぎて刃も通らない。
力自慢の僕でさえ押され気味で、本当にミノタウルスの持つ斧を受け止めただけでじりじりと壁際に押されていく。
さらに角から魔法まで使ってきやがるんだ。
これは手ごわい。
僕ら話にならない弱さだよね。
皆やる気になったようだ。
特にレッドの奴がはりきっている。
でも炎系スキルはやめてよね。あの狭い部屋で僕ら全員炭になっちゃうから。
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