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ダンジョンマスターに生まれましたが人間やってます  作者: 猫の靴下
二章 成人の儀
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12.君は人間なのかね

勉強の合間に僕はギルド長に呼び出されていた。

今回はきれいな花も飾られている応接間だ。テーブルの中央に魔法を帯びている四角い石板が置いてあった。


「おう、きたか。まあ座れ」

ギルド長と一緒にふかふかのイスに座る。


「実はショウ君。君についていろいろ調べたんだが、謎は深まるばかりでね。

 一度君に直接聞いておこうと思ったんだ。」

 前回のひょろいとはいえ大人を軽々持ち上げる力は何だろうかとかね。

 歴代の戦士ならともかく『成人の儀』を受けたばかりの子がおかしいと思うんだよ。」



ギクリ!


ギルド長の目が「君は人間なのかね?」と問うている。




タマちゃんは僕の力は冒険者の平均だといったがその基準がおかしかったのか。

さてどうする。『身体強化』の魔法が使えるといってごまかすか?

僕がどうしようかと考えていたら、続けていってきた。


「この石板は嘘をつくと反応するようになってるんだ。あと安心してほしいがこの部屋の会話は漏れないようになっている。

 王国に危険があるなら報告をするのもギルドの仕事なんだ。

 話してもらえないだろうか」


「えっと、僕は自分自身がよくわかってないんです。気がついたら助けられてこの街に行くように言われました。」

嘘じゃない。僕はダンジョンマスターなんてよくわかってないし、タマちゃんに助けられたのも本当だ。


「解体屋のボブさんは知ってるね?髭ズラの男だが、彼が言うには君が魔獣を何頭も担いで持ってくるのに驚いたといってるんだ。

これはオレの予想だけど、君は獣の国から来たんじゃないかと思ってる」

「獣の国?なんだろう?」


ちらりと石板をみてギルド長が続ける。


「知らないらしいな。獣の国には獣人と呼ばれて力が強くて魔法が苦手な生き物がいるんだ。

 そうなら君の強さも理解できるんだ。」


お?なんだかよくわからないが獣人と間違われてるってことか?


「国交はないが、獣人ならよく商人が雇ってこの国にくることもあるからこちらも危害を加えたりしない。安心してほしい。

 ただその、獣人なら見た目がもっと動物っぽいのが普通なんだ。」


「そうなんですか?僕は獣人を見たことないのでわからないんですが、そう言われてみるとそうかもしれません」

「ほう?では何か心当たりがあるのかね?」

「はい、まあちょっと毛深いかなとは思います。見えるとこは気を付けてますけど・・」

髪の毛は多いほうだと思う。割とボサボサしててゲームにあるツンツン頭だ。


「そうか。君はたしか『ゴールデン商会』の知り合いでもあったね」


うを!?

どこで調べてきたんだ。


「商人なら獣人の知り合いがあってもおかしくないな。君が危害を加える生き物でなくてよかったよ」





ギルド長はほっとしながら石板を片付ける。

あれ?これだけでよかったのか。


「内緒の話はこれでおわりだ。そういえば学校にいくのかね?

 学校で獣人を学んでおくのもいいかもしれないな」


その後、美味しいお茶を出されて、獣人のことを知ってる範囲で教えてくれた。

僕みたいな人間っぽい姿はまれで、だいたい尻尾や耳が獣そのままなんだそうだ。

物覚えは悪いが一度覚えると忘れない。

「あれ?名前忘れるとこはそっくりだ」と言ったらやっぱりそうなのかと納得された。




獣人にしては珍しい姿なので、学校の研究者たちは喜びそうだと推薦状を書いてもらえることになった。

珍獣入荷のパンダのような存在なんだろうか?

いやでも、試験勉強が減るならありがたいぞ。


喜んだのもつかの間「『基礎学力の試験』だけは合格しないと推薦状の意味がないからな」とくぎを刺された。



ぎゃあああ。

やっぱり歴史問題あるのかよ!


いやああああああああー-----




よく異世界転生でいい成績出すって話あるけど、あれは元が優秀な人だったんだな。

社会人になってから転生とか、もう大学卒業してるだろうし。

僕みたいな中学生が転生って間違ってないか?



馬鹿主人公が転生しちゃったよって題名になりそうだ。

いやほんとやめて。





ギルド内部。ギルド長とその秘書が書類を片付けている。


「ギルドマスター、結局ショウ君は獣人だったんですか?」

「その可能性が一番高いな。」


「ですが、獣人は魔法を使えませんし、見た目も人間なのが気になりますね」

「それについては一部の獣人は魔法を使えるそうだ」

「えっと、獣人王族は完璧に魔法が使えるっていう話ですか?ウワサだけですが本当でしょうか」


「わからない。石板に反応はなかったから彼は嘘をついてないようだ。」

「王族なら何かの陰謀に巻き込まれて記憶を消されたとかありそうですね」

「学校の専門家たちが彼を助けてくれるといいがな」






ショウはここからしばらくお受験モードになって、涙目どころが魂が抜けたような顔になって勉強するのであった。



お読みいただき、ありがとうございます。


少しでも続きが気になる、と思っていただけたら、

『ブックマーク』と【☆】何卒応援よろしくお願いします。


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