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九回裏 〜左安、四球、投併殺、遊直〜

 中学卒業までは東側に隣接するD県に住んでいた大岩雄星(おおいわゆうせい)は、母方の祖母が病気になって介護が必要になったためA県M市へ移住することになった。野球激戦区のA県への移住は本人にとっても願ったり叶ったりで、宅師潤一郎が野球部監督として就任すると決まっていた総合高校への受験を決めた。

 初めは寮のあるA大学付属高校へ進学しようと考えていたが、母子家庭であるため学費等の負担を考えるとなかなか打ち明けられずにいた。祖母の病気でというのは寂しさもあるが、そちらに世話になりながらであれば賛成してもらえるかもという甘い算用も視野に入れていた矢先での決定事項であった。

 いざ入部してみると、野球激戦区のA県と野球が盛んではないD県との県民性による実力差が浮き彫りとなった。依田や二階堂といったスター選手がチームメイトになって浮足立ったりもしたが、クラスメイトとしての依田のお茶目な性分を知ると一気に取っ付きやすくなって仮入部の段階で部に馴染んでいった。

 ポジション争いでライバルになった柳原は、野球未経験ではないものの中学時代は体操選手であった。身長が百九十センチほどあるにも関わらず柔軟性に長けており、体の硬さがネックであった彼は経験でカバーしきれず背番号三はライバルの手に渡った。


 それでも試合時間が長くなればチャンスは必ず巡ってくる……夏に強い大岩はいつでも守備に着けるよう準備を怠らず、宅師も基本は柳原の交代要因として度々途中出場をさせていた。

「大岩、一塁(ファースト)入れ」

 九回裏の守備から同点(タイスコア)という緊迫した試合(ゲーム)の中に飛び込んでいく。三人目の打者が放った打球が投手(ピッチャー)ゴロとなり、勇樹と自身にボールが渡って併殺打(ダブルプレー)を獲ることができた。


総合高校|001001211|6

ーーーーーーーーーーーーーーーー

海洋水産|132000000|6


選手交代⑤

【総合高校】

①遊 中西勇樹(なかにしゆうき)

②投 中西哲(なかにしてつ)

③左 小木凌太朗(おぎりょうたろう)

④右 依田稔(よだみのる)

⑤捕 峰川誠(みねかわまこと)

⑥一 大岩雄星(おおいわゆうせい)

⑦三 田村薫(たむらかおる)

⑧二 松原祥太郎(まつばらしょうたろう)

⑨中 長嶋徹(ながしまてつ)

【海洋水産】

①中 芹澤(せりざわ)

②遊 丸山(まるやま)

③右 武田(たけだ)

④捕 (はなわ)

⑤左 竜﨑(りゅうざき)

⑥二 望月(もちづき)

⑦三 八尾(やお)

⑧一 戸塚(とつか)

⑨投 平田(ひらた)

 打 阿部(あべ)

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