八回裏 〜二ゴロ、三ゴロ、死球、敬遠、三振〜
高校野球を題材にした某人気漫画の主人公から名前を頂いた堀達也には、その作品と同じく和也という名の双子の弟がいる。もちろん堀兄弟は漫画のシナリオとは違った人生を歩んでおり、弟は子供を助けて事故死していないし新体操をするヒロイン的幼馴染もいない。両親の影響で自身が生まれる前からあるその漫画はひと通り読みはしたが、それがきっかけで野球を始めた訳でもない。
『弟と違うことをしたい』
野球を始めたのは一卵性双生児にありがちな“間違えられる”没個性感から脱却したい気持ちからであった。高校も違う所を選び、敢えて違う環境に身をおいて“双子の片割れ”ではない“堀達也”そのもので勝負をしてみたかった。決して有名選手ではなかったが、下級生から背番号一を付けて地方大会までは勝ち上がっている。
県庁所在地にあるJ中出身で、依田は二学年先輩にあたる。直接一緒に試合には出られなかったが、彼のとって依田は憧れの先輩であったため、こうして共にベンチ入りできたことが嬉しくて仕方がなかった。
八回表、相手校の投手は平田という名の一年生左腕であった。彼は堀と同じ左腕でサイドスローという投球スタイルで、それが目を惹いてつい観察するように見つめてしまう。身長は恐らく百八十センチ以上あって高校一年とは思えぬくらいに体型は出来上がっていた。
「平田かぁ、すっげぇ身長伸びたんだな」
同じく一年生でベンチ入りしている加藤が呟いた。
「えっ? 知ってんの?」
「うん、隣の中学だったから練習試合で対戦してる」
二人はグラウンドに視線を移すと、依田のバットから快音が聞こえてきた。
「おっしゃあ!」
憧れの先輩が大勝負で本塁打を放ち、ベンチ内も応援団席も歓喜の声に包まれた。これで一点差まで詰め寄って試合展開が読めなくなり、展開次第では逆転が可能な状況であった。後続は断たれたがベンチの雰囲気は良く、守備に付く前に主将哲を囲んだ円陣で気合を入れ直した。
総合高校|00100121|5
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海洋水産|13200000|6




