七回裏 〜三振、三ゴロ、四球、二ゴロ〜
身長百七十センチ、体重五十五キロと細身ながらも中学時代はホームランバッターとして名を轟かせていた長嶋徹は、部活推薦枠で総合高校電子工学科に入学した。名将宅師潤一郎のネームバリューと二学年上の活躍で、総合高校野球部は県内高校野球界の台風の目的存在となっていた。彼は野球部史上初の特待生扱いで、周囲の過剰な期待が嬉しくもあり重くもあった。
そんな中仮入部の時点で頭角を表し……とはいかず、“粒揃い”と謳われる三年生と“少数精鋭部隊”と実力者だけが生き残っている二年生の壁はあまりにも厚かった。更には一般入学である加藤と堀との実力差もさほど無く、特待生扱いで若干調子に乗っていた自身が恥ずかしくなった。変なプライドを捨てると精神的に楽になり、実力者揃いの上級生たちの風穴を開けてやると特待生に相応しい気の強さで加藤、堀と共に背番号を勝ち取った。
「長嶋、センターに入れ」
先発出場をしていた群が代走でベンチに下がったため、県大会決勝戦で試合に出られるという大きなチャンスがやって来た。
「はい」
彼は外野用のミットを手にしてから先輩たちと共にベンチを飛び出し、勢い良く守備位置まで走る。
「練習通りにやりゃ大丈夫だ」
「そうそう、俺より上手いんだから」
右翼を守る依田と左翼を守る小木に声を掛けられ、長嶋は大きく息を吐いて平常心を心がけた。
総合高校|0010012|4
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海洋水産|1320000|6
選手交代③
【総合高校】
①遊 中西勇樹
②投 中西哲
③左 小木凌太朗
④右 依田稔
⑤捕 峰川誠
⑥一 柳原翔汰
⑦三 田村薫
⑧二 松原祥太郎
⑨中 長嶋徹
【海洋水産】
①中 芹澤
②遊 丸山
③右 武田
④捕 塙
⑤左 竜﨑
⑥二 望月
⑦三 八尾
⑧一 戸塚
⑨投 小林
打 広瀬




