0話 ひるズバ!転移特集 第一部 後編
後編です。蘊蓄だらけでアレですが、読んでいただけたら嬉しい限りです。
この物語の世界観がよくわかると思います
慕 さて、海野先生。旧日本列島っていうのかな、その周辺の島については順次調査団が入ってますが、聞くところによると動物も似た感じの生き物がいるようですね。
財塔 国土地理院の見解では、旧来の日本列島をそのまま日本列島と呼んで、新たに増えたものに対して都度都度命名していくと言うことでした。ですので日本列島でいいみたいですよ。
五代 昆虫は大きいのがいるって聞きましたよ。アトラスオオカブトより大きいのが沖縄周辺の島にはいたとか。
慕 さすが虫好き(笑)
大川 ええええ。大きいの反対〜。
海野 ははは。南の方は暖かいので、生物が大きいですね。環境的にも中生代の森林といった雰囲気の場所もあります。
さすがに人よりも大きな昆虫は見つかっていませんが、子猫サイズの甲虫や、羽を広げると50cmほどの鱗翅目・蝶の仲間、30cm超の蜻蛉目・トンボの仲間が見つかっています。
大川 怖くないんですか?
海野 ははは。怖がってちゃ生物学者はできませんからね。 なーんてね。
実のところは30cm超える肉食昆虫は流石に危険だと思いました。子供の頃に捕まえたギンヤンマに噛まれたことがありますが、そりゃー痛くて泣きましたからね。
五代 私も学生時代にオオカマキリを飼ってて、カマで指挟まれた上に指をかじられて、血が出てえらいことになったことが(笑)
大川 そこ笑うとこじゃないですよ〜
海野 大きければ大きいほど力も強いですから。30cm超える肉食昆虫は怖がるに値すると思いますね。
五代 10cm越えの大きい蚊とかいたら、危険じゃないですか?
海野 うーん。多分蚊は大きくならないと思います。彼らの生態考えると、大きくなるメリットがないので。大きくなれば羽音も大きくなりますし、見つけられやすくなりますから、血を吸いにくくなり、産卵できる個体が減り、結果滅んじゃうかなと(笑)
慕 ああ、なるほど。じゃ、大きい虫はなんで大きくなったんですか?
海野 生存競争としか言いようがないですが、肉食昆虫は大きくて強い方が捕食するのに有利、バッタなどの草食のものは逆に捕食されにくくなるので大きくなったと。
慕 でも虫が大きければ、それを食べる鳥とかも大きくなって、一緒なんじゃないの?
海野 確かに、そう考えられますが、相対的に大きいものは少ないですから。
大きくなるのには時間もかかるしたくさん食べなきゃいけないし。そうすると大きくなる種というのは少ないし個体数も少ないと考えられます。
慕 なるほど〜。よかったね、珠希ちゃん。(よくはないです、と答えたが音声拾えない)
鳥なんかは大きいのも居る、ぐらいの認識でいいのかな。ね。先生。
海野 まぁ、そうですね。爬虫類や鳥類もいずれも大きいものは大きいですね。もちろん小さいのもいますよ。
慕 (モニターのヤモリの写真を指差して)これとか大きいですね。危険は?
海野 この手の爬虫類は昆虫食ですから大体臆病なんです。これで30cmぐらいの個体ですが、私たちの姿を見るとささっと逃げちゃいます。
慕 (モニターの写真が切り替わる)哺乳類に話を振れと。これネズミですか。(一部から可愛いという歓声)
海野 げっ歯目・ネズミの仲間ですが、サイズは猫ほどありました。少し身の危険を感じましたね。ねずみは雑食ですし、自分より大きいものでも攻撃してくる可能性があるので。ただ、この個体に関していえば我々を見るなり逃げました。
(モニターの写真が切り替わる)
慕 これはカモシカですか?
海野 はい。カモシカの仲間とみられます。こちらはサイズ的には馬でした。牛の仲間なのに(笑)
原始的なサルの仲間も見つかってます。(モニターの写真が切り替わるとかーわいいーという大きな歓声があがる)
慕 これ、猿なんですか? 猫みたいな顔つきですが?
海野 キツネザルとかロリスとかご存知ですか?
慕 ご存知です。仕事でワオキツネザルに背中に乗られたことがあります(笑)
財塔 いろんな仕事してらっしゃいますねぇ。
慕 若かりし日には色々ね。(遠い目)
海野 (笑いながら)その仲間です。ただ、旧地球の同種よりも知能は高いと思われます。きちんとしたテストをしたわけではないですが、割ときちんとした社会を形成している感じでしたね。手も器用でちょっとした道具を作ってました。
慕 猿の○星になってるとかは?
海野 進化の過程で考えると無いです。某SFの知能を持った猿は人為的にそうなってたので、そうでもなければ自然発生的にお猿さん文明が出来上がることはないです。
そうなるぐらいなら猫の惑星になってる方がむしろあり得ますね(笑)
財塔 え、知能を持った猫の文明ってことですか?
海野 あはは、まぁちょっと違うんですが、知能の高い食肉目が支配する惑星ってことです。
慕 うーん、想像しにくいですねぇ。にゃあにゃあ可愛いんならいいんだけど、ちょっと怖い感じですよね。
海野 そうですね。ガオガオ言っててちょっと怖い感じです(笑)
五代 こうして拝見してると、見慣れた感じの生き物が多いですよね。地球と違うのに地球に似た生物がいるというのは?
海野 まぁ、神のなせる技としか言いようがありませんが、生物の起源として宇宙が起源であるとする説もありますから、元となるものが同じなのかもしれませんね。
本町田 魚類も地球のと似たようなのがいますな。
以前船に飛び込んで死んでしまったのを仲間の研究者が解剖したのですが、旧地球の魚と同じような器官もありましたが、さっき海野先生がおっしゃった宝石のような鉱物らしきものを内包した嚢胞組織があったりと少し地球のものとは違う臓器もありました。
身の方はアンモニア臭がキツかったので食用にはしませんでしたが、種類によっては食用に向くものもいそうです。
とにかくいろいろな生物が見た目は旧地球のと似ていても色々違ってはいるのだろうと思います。
慕 他にはどのような生き物が見つかってますか?
海野 サメの仲間なんかも見つかってます。(モニターの写真が切り替わる)
一方で旧地球ではとっくに絶滅しているアンモナイトとか、甲冑魚のようなモノも見つかってます。
それに海棲恐竜に似た爬虫類と思われる生物も見つかっていて、この分野では今後もまだまだ新発見がありますよ。骨格的に恐竜に近いものも見つかっているので、もしかすると大型の爬虫類や恐竜類がいるかもしれません。
五代 恐竜がいるんですか?
海野 (モニターの写真が切り替わる。おおという歓声)竜脚種に通じると思われる小型の爬虫類が見つかっています。子犬ぐらいの大きさで二足歩行するものです。
まだ見かけた程度なので、キッチリと骨格などを確認したわけではありませんが、小型恐竜の亜種ではないかとは予想しています。察するに同種の生物でもっと大型の多分2〜3mのものはいると思われます。
それと、未確認ですが翼竜と思われる生物が目撃されています。これは結構大型で翼を広げた大きさが7〜8mあったとか。
慕 ドラゴンとか、ファンタジー生物はどうですかね?
海野 まぁ、何をもってファンタジーというかというのはありますが。私たちの知らない生態系に基づく生物はいないとは言えません。既に私たちの知らない器官を有した生物が見つかってるわけですし。
ですから、ドラゴンはいるかもしれないですね。まぁ、物語に出てくるような体型のものだとあれぐらいの翼ではとても飛べないと思いますけどね。炎を吐くっていうのも難しそうですしね。
慕 グリフォンとかキメラとかは?
海野 キメラっていうのは複数のしかも別種の生物が入り混じった生き物ってことですか?
そういうのはいないでしょう。生物的にちょっと無理があります。ま、そういう擬態をしているというのならいるのかもしれません。例えば蛇みたいな形のしっぽとか、鳥の足っぽい前足とか。生物としてのメリットがよくわからないですが(笑)
五代 ヤマタノオロチとかはどうですかね?
海野 頭が二つとか三つとかっていうのはトカゲの突然変異でいたりしますから、ないとは言えないでしょうが、八岐大蛇とかヒュドラみたいなやたらと頭が多いのはちょっと無理でしょうね。哺乳類の場合は体を共有する結合双生児となりますが、2個体以上のは生きて生まれてくることは難しいかな。
五代 ケルベロスも無理か〜。
慕 ドライアドとかトレントとかの植物系のはどうでしょうか?
本町田 ドラなんですか? どんなものです?
五代 ドライアド・・・樹木の妖精ですかね。トレントは樹木の怪物で、普通の木に見えているのが人が近づくと動き出して襲うみたいな。
海野 そうですねぇ、まず植物の細胞組織のままだと動物のように動くのは難しいです。体組織として形成されるものが運動するには全く不向きなんですよ。だからもし考えられるとしたら共生体とか擬態ですね。
五代 擬態っていうとハナカマキリみたいな。
海野 そうそう。よくご存じですね。動き出す樹木と言うのは、まず考えられるのは擬態だと思います。
ウミユリみたいに擬態ではなくても植物そっくりな動物もいますから、そうしたものだと思えば樹木そっくりの動物がいても不思議では無いですね。
昆虫ではナナフシやエダシャクのように枝に擬態するものもいますから、巨大なナナフシみたいなのかもです。でも、この新地球の大気の組成では樹木サイズの昆虫は無理だとは思いますが、何がしかのそっくり生物がいても不思議はないんじゃないかなとは思いますね。
もしかするとサンゴみたいな群体かもしれませんが、その場合は素早く動くのは難しいでしょう。
五代 ありゃ、巨大昆虫は無理ですか?
海野 地球の昆虫類のように気門で呼吸するとしたら、50cm以上の体長になるのは難しいです。生きるのに必要な量の酸素を取り込めないので。
私たちの肺のような自発的に呼吸する器官があれば巨大化も可能ですが。それでも1m以上となると難しいでしょう。外骨格の重さを支えきれなくなりますから。
慕 それでも十分大きいですよ。1mサイズのGとか無理なんですけど〜
大川 無理無理無理無理無理無理無理無理 (一同笑)
慕 芝犬サイズのGでもねぇ。もぉ怖過ぎだよねぇ。ねえ。
さて、話はどこまで行ってましたっけ? あ、そうそうドライアドで共生の件だ。
海野 共生は異なる生物がお互いを補完して同居している状態ですね。
クマノミなんかが典型ですが、イソギンチャクと共生するヤドカリやカニもいます。背中に背負ったりハサミにつけたりですね。また、マメ科の植物と根粒菌なんかも典型的な共生ですね。
実は動物のミトコンドリアも元々は細菌の一種で、それが体内に取り込まれて、内生菌として共生していたものが定着したと言われてます。植物の葉緑体も同じく内生菌だったと言われてます。
慕 じゃあ、ドライアドは植物と人間が共生していると言う感じなんですかね。
海野 うーん、ヒト種のような高等生物と植物の共生というのはなかなか考えにくいですが、無いとは言い切れないですからねぇ。
極端な環境下でも行動できるように植物と器官を共有しているとかでしょうか。ちょっと想像つきませんが。
五代 植物でも知能があるものとかはいるんでしょうかね?
海野 どの程度で知能とするかですね。
例えば、粘菌のモジホコリが迷路でする振る舞いについて、判断や記憶を行っているとしか思えない行動を取ることが知られています。
こうしたものも知能とよぶならば、あると言えますね。ただ人のような知性となると、ないと言い切ることはできませんが、かなり難しいと思います。
五代 じゃ小さい人とかどうですか。ノームとか妖精みたいな。
海野 童話に出てくるティンカーナントカみたいな手乗りサイズの羽がはえたやつはちょっと無理でしょうねぇ。そもそもあのサイズであの羽だと飛べないでしょうし。あそこまで小さいともっと丸っこくないと体温の維持が難しいでしょうし、きっと知能も低いはずです。脳に十分な酸素を送れないでしょうから、必然的に脳が小さいはずで・・・。
慕 うわぁ。丸くて頭悪くてのそのそしてたら、それハムスター じゃん(笑)
もうすでにティンカーさんじゃない(笑)
海野 いわゆる小人族、成人しても人の子供程度の身長の種族、というのならあるかもしれないですね。するとノームとかはいるかもですし、ゴブリンみたいな知性のあるモンスターはいるかもしれないです。
慕 獣人とかどうですか。ケモミミ娘とかいますかね?
五代 慕さんお好きですねぇ。
慕 いやいや、そういうわけでは。
五代 お嫌いですかぁ?
慕 お好きですぅ。(一同笑)
財塔 関西人かーい。と言うツッコミは置いといて、リアル獣人とかエルフとかってどうなんですか?
海野 真面目な話、外的な身体的特徴が異なるヒト種というのは考えられないわけではありません。髪や目、肌の色とか、手足の長さとか、目鼻立ちとか、そもそもの体躯の大きさとかね。
でも頭のてっぺんから耳が生えてるとかってなると、そもそもの骨格の発達状況が違うのでねぇ。全く無いとは言えませんが、この世界にいるかどうかはわからないですね。
五代 竜人族っていうのかな、爬虫類系の人間はどうですか。
海野 ああ、それはディノサウロイド、恐竜人間のことですかね。トロオドンという頭脳がかなり発達した恐竜がいたことがわかってまして、それがそのまま進化したら恐竜人間になったんじゃないか、という仮説を真面目に立てた古生物学者がいます。
カナダだったかに想像模型がありますね。私はその模型みたいな姿にはならないと思いますが、ヒト並に頭脳が発達した恐竜種とかはいるとは思います。
もしかするとものすごく頭の良い鳥みたいな感じに進化してるかもしれませんが。
慕 そうですよね。鳥類は進化した恐竜ですもんね。ケモミミメイド無理かなぁ。
本町田 無理ではないと思うんだけど、アニメなんかで見るような普通の女の子の頭に猫耳がついてるみたいなのはないでしょうなぁ。多少の場所の上下とか前後とかあるにしても側頭部に耳はついてるでしょうし、猫みたいに耳にも毛が生えてるとしたら、体全体が毛深いと考えた方が自然でしょうな。
慕 えー、まぁそれでも可愛ければ〜
本町田 可愛い可愛くないは主観ですからねぇ。海野先生なんかハエトリグモ可愛いとか言って愛でてましたからな。
海野 えー。アンダスンハエトリは可愛いですよぅ。
一同 えー。
海野 ええっ(不満げ)。
それはさておいて、本町田先生のお話し通りで、ケモミミであっても側頭部に耳がついているのはほぼ間違い無いでしょう。
猫だって犬だって脳の入ってる頭蓋の部分が小さくて、それに比べて耳が大きいから上についてるみたいになってますけど、耳の穴は横についてますからね。
人の頭蓋の大きさで同じ比率にしたら顔より大きい耳になっちゃうでしょうねぇ。
慕 それはちょっと可愛く無いかも。それで、頭の横ちょに猫耳がついてる娘がいるとして・・
財塔 女の子限定ですか、そうですか。
慕 いや、ケモミミおっさん想像してもねぇ、と思ったんです。すみません。(土下座する)
それで、そういうケモミミさんがいたとして、尻尾はどうでしょうか。
五代 えええ、それ重要?
慕 セットですから。そりゃ重要でしょう。(一同笑)
海野 猫みたいな長い尻尾とか、ヒョウやらチーターみたいな太っとい尻尾とかは無いでしょうけど、パンツに隠れちゃうぐらいの短いのとか、そこに馬みたいに長い毛が生えているとかはあるかもしれないですねぇ(笑)。
慕 長いの無理かぁ。そうかぁ・・・。
え、そろそろケモミミはいいから次行け(ディレクターの方を見ながら)。はいはい。
それでは動物の話が出たので、今度は植物の方はどうでしょうか。新しく発見された島々で、今までの農作物とかは作れるものなんでしょうか。また、新しい作物とか、その辺りを本町田先生からお話しいただきたいと思います。
本町田 植生は旧地球とよく似ているようです。ただ全体に以前の日本に比べて温暖な地域にあるので、なんでも大きいと言いますか。南側についてはほぼ亜熱帯から熱帯のジャングル。北側でも温帯のブナの原始林のような広葉樹の森が広がっていて、樺太あたりの緯度でようやく針葉樹の森が広がっている感じですね。日本の周辺について言えば針葉樹林は少なく広葉樹林が多いです。
新硫黄島列島には四国の3分の1から半分くらいの面積の真っ平らな島がいくつか在って、こちらも火山活動でてきたようですが、自生していたのが燕麦に似た植物でしたので、小麦栽培に適していると考えられました。これらの島々には大きな栽培プラントが作られて無事稼働を始めました。来年には相当量の小麦、大豆などの収穫が見込まれているので、当面食糧難という事態は避けられそうですね。まだまだいろいろ足りないのは確かですが。
また多くの島々で食用となりそうな植物の採取も行なっています。年内には市場にも出回るようになるかもしれないですね。
慕 新しいフルーツとか楽しみですね。
財塔 なんか珍しいフルーツがあったという話を伺ってます。
本町田 りんごと桃を足して割ったようなのとか、見た目はイチゴなのに味はスイカみたいなのとか、バナナそっくりなのに味は芋とか、色々ありましたよ。
まぁ、中にはいかにも美味しそうなのに毒があって食べられないとかもありましたな。
ナッツ類も変わったのがありましたしねぇ。クリみたいなイガの中に100個ぐらいのアーモンドみたいなのが入っているのやら、ものすごく甘いピーナツみたいのとかね。
五代 危険な植物とかはなかったんですか? 寄生しちゃうとか、食肉植物とか。
本町田 熱帯のジャングルには食虫植物の大きいのがいましたよ。昆虫がでかいですから、相対して大きくなっとしまったんでしょうが、ネズミみたいな動物なんかも捕まってましたな。
私が見たのはウツボノカズラの大きいやつで、子供ならすっぽり入るぐらいの大きさでした。
私は入ってないですが、ジャングルの奥にはもっと危険なものもいるのかもしれないですな。
海野 探査隊が持ち帰ったサンプルの中に高濃度の酸素を吐き出す蔓植物の仲間がいたのですが、これなんかは獲物を酸素酔いさせて捕らえるのかもしれません。
小動物ならすぐに酩酊状態になるような濃度でしたから、これの巨大なのが居たら人間もやられてしまうかもしれないですね。
旧地球同様に毒を持った植物は普通にありましたから、そういう意味で危険な植物はたくさんいそうです。毒や麻薬成分みたいなのを撒き散らすのとか、刺やなんかに毒があるのとかサンプルの中にはありましたしね。
菌類で動物に寄生するものは旧地球にもいましたから、こちらにもいるんだろうとは思いますが、まだ未発見です。
慕 ドライアドはキノコ人間かも
五代 そこに話戻っちゃうんだ(笑)
海野 菌類は豊富でしたよ。温暖で湿度が高いせいでしょうが、ある島では森の最奥部がキノコとコケだらけでしたね。毒物検査をして幾つか食べてみましたが美味しかったですよ。こちらも早々に食卓に並ぶんではないでしょうか。
慕 キノコ人間・・・マタ・・
海野 あながち無い話ではないですが、昔の某恐怖映画のようなものはちょっとないかな。胃酸に勝てる菌類なんてまずいないですから。
慕 海野先生、真面目か。
本町田先生、話戻しますが、その栽培プラントの話をもう少し詳しくお願いできますでしょうか。
本町田 新硫黄島群島のプラントはすでに実証実験段階は終えて、生産に取り掛かっていますな。玉ねぎ、人参、かぶ、カボチャ、キャベツ、ねぎ、ゴボウ、パプリカ、じゃがいも、ニンニク、大根などの根菜類、ブロッコリー、レタス、白菜、アスパラガス、トマト、セロリを主に生産します。
慕 それらは輸入の多かったものですか?
本町田 ええ。年間の輸入量が1万トンを超えるもの、またはほぼ1万トンのものですな。
慕 生産量はその輸入量とくらべて十分な量なんでしょうか?
本町田 まだ8割程度ですな。来年度は100%達成を見込んでいると聞いてます。
慕 それで足りるんですか?
本町田 けっこうな量がいわゆる「食品ロス」になっていると聞いてますから、8割程度でも不足はしないとは聞いています。
五代 家庭や外食産業で消費する分の不足は出ないでしようが、加工に回す分が賄えるかどうかという話ではないかと?
慕 そうなの?
財塔 そうみたいです。この他に慕さんの大好きなビールの原料の麦芽も9割が輸入ですが、こちらも国産への切り替えと、新しい耕作地での栽培分とでなんとか賄おうとしており、メーカーによればやはり5年後ぐらいには目処が立つんじゃないかという話でしたね。
五代 小麦やとうもろこしはどうなんですか?
本町田 そちらも試験農場での生産が始まりましたから、いずれ本格的な生産が行われるでしょうな。こちらについては一般流通用よりも加工用が先に回されるとか聞いとりますな。こちらも5年を目処に国産化100%を目指すようですな。
慕 食料問題はなんとかめどが立ちそうということで、ひと安心と。でいいのかな。
さて、火山活動という話も出ましたので、その辺りをすこし掘り下げてみましょう。財塔くん、よろしく。
財塔 では。(モニターの活火山が記された日本地図を指し示しながら)日本列島そのものについていえば、以前よりも火山活動は活発になっています。
すでに有珠山、浅間山、阿蘇山、雲仙岳、桜島が小規模噴火を繰り返しており、先日は十勝岳、御嶽山が小さな噴火を起こしました。20年前の御嶽山の噴火事故のような突然の噴火が起きる可能性も高まっています。
富士山も例外ではないので、火山のそばにお住いの方やレジャーで訪れる方には十分気をつけていただきたいと思います。
ですが、これはこの星そのものの地下活動が活発なためで、日本がプレートの端っこにあるからということではないようです。
慕 そうなんだよね、日本海溝がなくなったって騒ぎになってたもんね。南海トラフが浅くなったーって。じゃあなんて呼ぶんだみたいな話がついこの間あったよね。
本町田 転移自体のメカニズムがわからないので、なんでこうなったのかはよくわかりませんが、比較的安定したプレート上の中央あたりに日本列島は乗っているようですな。
ただ、大きなマグマ溜まりが日本の地下に横たわっているので、火山活動は逆に以前より活発化しています。富士山も噴火するかもしれません。いわゆるホットスポットなのかもしれませんな。
新硫黄島の火山はハワイ式噴火で、地下の溶岩だまりは粘性の低い玄武岩質とみられています。ですから大爆発ということはないと思いますが、元々の日本の火山が安山岩で構成されているので溶岩が地中を通る中で粘性を得て小規模な爆発噴火を起こす可能性はあります。
五代 箱根で大爆発とか、草津白根山大噴火とか、ありますかね。
慕 五代さん、温泉宿の株でも買ったの?
五代 いや、そういうんじゃないけど、近隣の観光地だから気になるじゃないですか。噴火したら東京まで被害はありそうだし。
本町田 江戸時代の富士山の宝永大噴火では江戸市中まで火山灰が降ったとありますから、ひとたび噴火となれば、東京も火山灰などの被害はあるでしょうね。先ほども申しました通り、溶岩の粘性から大規模な噴火というのはないと思われますが、それでも生活に支障がある程度の噴火が起こる可能性は否めません。
慕 噴火とっしょになんか出てきちゃうとか。ほら空の大怪獣とかさ。
財塔 また、そこ戻るんですか?
海野 元々いないものは出てきようがないですよ(笑)
慕 え〜、そんな真面目に答えなくても。ねぇ〜。
五代 同意求めないでください(笑)
財塔 元々の日本の地下の下の、新地球の層に新しい生物がいるとかないんですか?
本町田 まぁ、そんな怪獣みたいな大きな生き物が棲みついてる余地はないでしょうな。それこそ昆虫類とかならいるかなぁと思いますよ。まぁ、そいつらも噴火があったら死んじゃうと思うしねぇ。
海野 200度ぐらいの温度に耐える生き物はいますが、600度超えるとちょっと無理ですねぇ。真面目な話、怪獣よりガスの方が脅威でしょうね。
本町田 以前の日本より(地下活動が)活発ですから、火山ガスが噴出しやすいと考えてもいいでしょう。
火山が近い地域では要注意です。これまで以上に濃度が濃いとか、毒性が高いとかないとは言えませんから、これまで以上に注意していただいた方がいいでしょうな。
慕 お話途中ですがお時間のようです。本町田先生、海野先生ありがとうございました。
ではニュースを挟んで少しばかり経済の話をしましょう。
ひるズバは今後もちょいちょい出そうと思ってます
今後の予定 第1話 双腕重機大地に立つ 来週ぐらいにアップできたらいいなと思ってます
第2話 美味は正義と女王陛下は言った 3月中頃にアップ予定
来月は入院したりするのでそれ次第です
よろしくお願いします