閑話・幕間1に登場した兵器とか用語とか
例によって幕間1に登場した用語やら兵器やらの解説的設定です。
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■帝国
第四帝国と自称する軍事国家。第四帝国は古い伝承に基づく「理想の国家」を指す。単に四番目にできた帝国ということではない。地球でいうところの『第三の国』と同じで、ナチスが初めの頃標榜した「第三帝国」もこれの事である。
帝国は皇帝が変わる都度にその名が変わるので固定の国家名がない。皇帝はこの世で唯一の存在なので家名がない。また、帝国は覇権国家であるので、いずれ全土を統治下に置くので、特定の地域の名を冠することもない。したがって固定の国名が無く、呼称する時には、時の皇帝の名前を冠する。現皇帝はディートフリート7世のため、「ディートフリート7世帝国」または「ディートフリート帝国」と呼ばれる。また諸外国では、現皇帝は「雷帝」と呼ばれるので「雷帝国」という者もいる。なお前皇帝在位時には「メルヒオール4世帝国」と呼ばれていた。
皇族とともに貴族が存在しており、階級のはっきりした社会ではあるものの実力主義であり、優秀なものは平民であっても成り上がることができ、功績のあった者に対しては叙爵することもしばしばである。また、そのような者に対する偏見も少ない。むしろ名よりも功績が尊ばれるため、上級貴族であっても稼業などに勤しむものが多い。
軍事国家のために工業国と見られがちだが、実はかなりの第一次産業国で食料自給率は100%を凌駕している。貴族の中には農業や畜産業で身を起こしたものも少なからずいる。
科学技術の発展度は第二次世界大戦終了前後の地球程度だが、魔法工学なる地球にはない技術が発展している。
■グローセス・ヴァイデンライヒ(偉大なヴァイデンライヒ号)
帝国の第一次東征艦隊の旗艦。グローセス・ヴァイデンライヒ級超大型戦艦の1番艦。同型艦が3隻ある。ヴァイデンライヒは帝国の首都のある地方の名前。ここから帝国は興ったとされる。
旧日本海軍の長弩級戦艦『大和』よりも二回りほど大きい。
基準排水量9万3,000トン。 全長354m、全幅42m。檣楼は約60m、12階建。空母よりも大きい。感覚的は空母ニミッツに大砲を満載したような船。乗員約4,000名。
とにかくデカい。うん、島だね。
三連装主砲塔は前部に2基、後部に1基の計3基。主砲は44口径54cm砲。通常の弾頭の場合、最大射程6万1,000m。
三連装副砲は前後に1基ずつ。副砲は45口径35cm砲。他の戦艦なら十分に主砲と呼べる。
その他の兵装は120mm連装砲8基、30mm三連装機関砲32基、20mm連装機関砲25基、20mm単装機関砲24基。
後部にカタパルトをもち、フロート付きの観測機、並びに戦闘攻撃機を6機搭載する。
■ニッポン国の空母
「大型空母」はジェラルド・R・フォード級原子力空母『コンスティテューション』、「中型空母」はあまぎ型DDVの3隻「軽空母」はいずも型DDHの2隻。対帝特機護衛群の空母はこの6隻のみである。では残りの「軽空母」2隻は何かというと、しれとこ型輸送艦を空母と見間違えたのである。しれとこ型は全通甲板があり、大きさはひゅうが型といずも型の中間ほどのため、パッと見には空母と変わりがない。
おおすみ型も全通甲板があるものの、小さい上に補給物資を積んだコンテナを甲板状に並べていたため、空母と判断しなかった。
■クラインシュミット少佐が見たニッポン国の軍艦
それはDDG-178『あしがら』である。主砲はMk45 mod4 62口径127mm単装砲。概ね1分間に20発ぐらい撃てる。
この戦闘の1年ほど前に、日本と国交を開いたばかりのリュミエール公王国で行われた観艦式に日本の総理大臣がまねかれた。その時にデモンストレーションとして『あしがら』の主砲とCIWSの射撃展示が行われた。
発射間隔が5〜6分とか、遅いと思われた方もいらっしゃるとは思うが、その時の展示では解説に合わせて手動で1発ずつ発射していたので間隔が空いている。
なおクラインシュミットが「急げば2分に1発は打てるだろう」と言うのも自分たちの感覚での話。『あしがら』では照準は自動で人が合わせたりしないが、帝国の艦船の照準は当然手動であるため、どんなに頑張っても2分はかかるのである。
回転式銃身の対空機銃というのは海自で言うところの「高性能20mm機関砲」、開発元などでは「ファランクス」と称するCIWS(近接火器システム)の事で、こちらは毎秒50〜75発発射できる。
某映画「空母い・・・」で、護衛艦が対空ミサイルで撃ち漏らした対艦ミサイルに対して「CIWSやーっ」と艦長が叫んで使用を指示する件りがあるが、CIWSは他の武器管制からは切り離された完全自動のシステムで、あらかじめ起動していれば勝手に攻撃するので、いちいち叫ぶ必要も指示もいらない。映画ならではのお約束というやつである。
■シュタッヘルシュヴァイン(ヤマアラシ)
帝国海軍の対空戦艦、対空巡洋艦、対空駆逐艦の呼称。またはその艦隊の呼称。かつてのライバル国の航空戦力に対抗するために開発建造された。小口径だがとにかく大量の火砲を装備している艦船。
英語だと「ポーキュパイン」で、響きがなんだか可愛らしい感じになってしまいますが、ドイツ語だとかっこいいですよね。
■ウンベジークバー(無敵号)
ウンベジークバー級対空戦艦の1番艦。同型艦は6隻ある。排水量42,000トン、全長250m、全幅35m、最大速力30ノット超の高速戦艦。武装は23cm4連装砲4基、120mm連装砲6基、120mm単装砲12基、50mm連装機関砲24基、20mm連装機関砲32基、20mm単装機関砲24基。対空目的なので艦の大きさの割には小口径の砲ばかりである。旧ドイツ軍の『ティルピッツ』に小口径の大砲がいっぱい載ってる風、と思っていただくと良い。
名前はスタニスワフ・レムの小説「砂漠の惑星」から。
■ウンターニーメン(冒険心号)
フェアファッソン級空母の2番艦。同型艦は5隻。基準排水量6万2,000トンの大型空母。全長330m、全幅49m。飛行甲板の先端部および中央部に合計3本の蒸気カタパルトがある。エレベーターはアウトボード式のものが前部に2基、後部に1基。アングルドデッキは採用していない。
攻撃機、戦闘爆撃機は72機、直掩のジェット戦闘機を42機搭載。
対空兵装として連装120mm砲8基、40mm連装機関砲36基、20mm単装機関砲40基。
英語名にするとウンターニーメンは「エンタープライズ」、フェアファッソンは「コンスティテューション」となります。まぁ察してください。
■妖精姫
プロローグ後編で超人的な感覚と操縦でミサイルを避けまくっていたエース・オブ・エースの人。姫というからには女性。
近いうちにこの人の話は書きたいな。
■リッペンスナイダーGf107艦上攻撃機
旧ドイツ空軍のフォッケウルフFw190Aに似ている。ただし液冷V12気筒エンジンである。最高速度は約700Km/h。13mm機銃2挺をコクピット前方に、翼内に20mm機関砲4門を装備。翼下、胴体下に爆弾または水雷など合計で1.7トン近い装備が可能である。
全体に頑丈な作りで、各所がモジュラー化されており整備性が高い。
■フォラントWz23艦上戦闘爆撃機
旧ドイツ空軍のユンカースJu 87のような逆ガル翼だがそれを除けばスピットファイアに似ている。こちらもエンジンは液冷V12気筒。最高速度は約650Km/h。急降下爆撃をするのでダイブブレーキが付いている。
空力的に有利なファストバック型を採用したため、後方の視界は極めて悪い。ガルウィングのおかげで下方の視界は良好である。
翼内に20mm機関砲4門を装備。胴体下に爆弾または水雷など合計で1.2トンの装備が可能である。
■フェルトホフJ-4F艦上戦闘機
米軍のF9F パンサーによく似たジェット戦闘機。F9Fと違って翼端増槽はない。装備は20mm機関砲4門。爆装する場合は500kg爆弾2基を翼下に搭載した。胴体下に増槽を搭載可能。
ターボジェットエンジン1機を胴内に搭載し、最高速度は880Km/h。
なお空軍機には後退翼のジェット戦闘機もあるらしい。とはいえ自衛隊と100年の技術的な差がある事に変わりはない。
■四号弾
対空用遅延信管弾。発射後の時間超過にしたがって爆発する。爆発すると内蔵した子弾をばらまく。なお、一号弾が通常の徹甲榴弾。二号弾が水中弾効果を重視した徹甲榴弾。三号弾が対地対空共用の榴散弾。四号弾は三号弾の改良型で対空目的に特化するよう開発されたが、対水雷戦でも効果が認められている。
『ウンベジークバー』が使用した試作四号弾は索敵の魔法陣を組み込んで近接信管化したもの。およそ20m以下で作動するが、敵味方の識別ができるわけではないので、当初は発射直後の周囲の環境に左右されて爆発してしまう欠点があったが、発動を時限化することで対応したのが今回の試作弾である。術式が複雑で刻むのが困難なため量産化が難しいのが今後の課題とされている。
って事にでもしておかないと魔法の万能感がたまらん。
■ウーボート
英語風に言うとUボート。こう聞くと第二次世界大戦時のドイツ海軍の潜水艦の固有名詞と思われがちだが、ドイツ語で時代、国籍を問わず潜水艦全般をウーボート=U-Bootと言う。ウンターゼーボート=Unterseebootの略称で「水の下の船」という意味。
■魔導ブースター
魔法によって推進力を与える装置。54cm砲弾を高度2万7,000mまで上昇させる事ができ、さらに命中精度を上げることもできる。魔法って便利〜。
■『ローゼンクローネ』の艦載機
ドレッセルDS-A2飛行艇。二人乗りの軽飛行艇。全長は9m、翼端幅は10m。ボートの上に後ろ向きのプロペラをつけた主翼を付けて、後ろに尾翼をつけたようなデザイン。最高速は時速400kmほど。
なお「ローゼンクローネ」は「薔薇の冠」の意。
■輸送艦『しもきた』
LST-4002 おおすみ型輸送艦の2番艦。転移事象に伴う装備の延命化方針を受けて改修が行われ、特に医療施設と入院施設の充実、隔離施設の追加などが行われ、輸送艦としての能力よりも、病院船としての能力を増大させた。完全な隔離施設があるので、疫病などにも対応が可能となった。また、捕虜などの収容施設としても利用ができる。
今艦隊においては20,000人分の毛布、非常食、医療品をコンテナに用意しており、緊急時の対応に備えていた。なお、おおすみ型各艦は同じだけの緊急物資を用意をしている。
■ミュンヒハウゼンを救助に来た回転翼機
航空機搭載型護衛艦『あまぎ』所属のUH-60J救難ヘリコプター。こちらも順次SB-2バリアントの救難仕様との代替が進められている。
■空飛ぶアレ
VS-07A無人哨戒機。国産のティルトローター機タイプで製造開発はボクサーエンジンの自動車で有名なS社。開発には米国Bヘリコプター社が協力している。全長7m、翼幅は12m、ローター直径5.5m。Bヘリコプター社のV-247ヴィジラントと似ており、そのままキュッと縮めたような形状である。最高速度は450Km/h。後続距離は2,000kmほど。対潜魚雷、対艦ミサイル、爆弾などを装備できる。ローターと尾翼は折りたためる。
■空をとんでもない高速で飛ぶ飛行機
航空機搭載型護衛艦『あまぎ』所属のF/A-41J バルキリーII艦上戦闘攻撃機。デモンストレーションを兼ねて音速で上空を低めの高度で通過した。
■ヴァイゲルらを迎えに来た回転翼機
原子力空母『コンスティテューション』所属のSB-2 ヴァリアント多目的ヘリコプター。「十機ばかり飛んできて救助活動を始めた回転翼機」も同じくSB-2である。
■ランチ
女子がキャッキャ、うふふ言いながら楽しく食べるアレのことではなく、船舶の搭載艇のこと。ヴァイゲルらが『しもきた』に向かった時に乗ったのは『あまぎ』所属の11m作業艇。ヴァイゲルが艦の間を行ったり来たりしたのに使ったのは12m連絡艇。
■カレイライス
言わずと知れた自衛隊名物の「海自カレー」である。艦艇ごとにレシピが異なり、それぞれ独自の隠し味などがあるらしい。ヴァイゲルたちに供されたのは「コンスティテューション風ポークカレー」である。一つのプレートにカレーライス、付け合わせの福神漬けとラッキョウ、サラダ、小さめのメンチカツと野菜コロッケ、ウサギさんりんごが載ったもの。
海自では毎週金曜日がカレーの日なのだそうで、決戦は金曜日だったのだった。
お楽しみいただけましたでしょうか。
こう言う設定をお話の中にさりげなく入れられるといいんですが、
説明的になるとつまらないですし、難しいですね。
次はプロローグの後日談にするか、全く異なる時間軸の話にするか悩み中です
次回もよろしくお願いします