第6話 またもや戦闘開始だがあっけなかった
式神の情報から敵将の位置と様子が確認でき、こちらの迎撃態勢を整え始めていた。
「敵将の生け捕り作戦は、レイとエイミーが敵陣に乗り込む、エイミーが本陣をかく乱するさなか、レイが凍結魔法で敵将を凍らせ捕縛したのちに転送、二人が離脱したと同時に、僕(勇者)が谷を進軍中の敵軍めがけて、セントブライトファイヤー(重量子ビーム砲)をぶっ放す。あらかた片付いた状況の敵軍めがけて谷の上で待機していた、友軍により弓や矢、投石で敵をせん滅し、最後に、いかだで川を下った歩兵部隊により残党をしとめる。」とぼくは、老師から教わった作戦内容を、王とその重臣達に説明した。
しばらくして、レイと偵察に行っていたエイミーが返ってくると、ほとんどの兵は、ヒューマノイドで、血の拘束で操られている事がわかり、エイミーの持つ吸血鬼の始祖の能力によりその拘束を破ることができる事が分かった。
「洗脳を解けば、兵は烏合の衆だから、渓谷に入る前に兵を離散させて、本陣付近の防御壁を薄くさせてしまえば、効果的な攻撃が出来るわよ。」とレイが助言をしてくれたので、幾つかの部分を修正して僕(勇者)は作戦を発動した。
作戦発動から半日程度でケリがついていた。凍結された敵将は大きな鳥かごに入れられ城の広場に晒されて、拘束を解かれたヒューマノイドは9割がたがちりじりに敗走していき、本陣を守っていた、精鋭部隊は、ぼくのセントブライトファイヤーで消し去った。この世界のミッションとしては最高難易度のレベルの物だったが、攻防戦があっさりと終わってしまったことで、この異世界の管理者からクレームが入ってきたが、これは、統合次元体としての医療行為の一環であり、この行為を妨害するようなら、この異世界ごと消去するぞと脅すと、沈黙した。(老師の入れ知恵だけれど。)
僕らは、敵将をエイミーの固有空間に引き込んでから凍結を解き、尋問を始めると、
敵将は、エイミーのただならぬオーラに圧倒され、素直に尋問に応じていた。話のないようから、本拠地は、この大陸の西側にある魔王城との事で、そこにこの世界の吸血鬼のラスボスが居るようで、たどり着くにはかなりの障害があるとの事だったが、敵将の意識情報から抜け道を探り出し、一挙に魔王城の核心に突入した。突然の襲撃で魔王軍はほとんど反撃できないまま、時空凍結され、魔王もあっさりと捕縛された。ミッション終了のエピローグが始まっていたが、
「なんだがつまらんかったのう。」と元の姿に戻った老師が言うと
「私も、一つ世界を貰って、協力してくれる生命体を探し、眷属を作り吸血鬼の生命パターンを引き継いで行くことにしますわ。」とエイミーが返したので
「少しはお役に立ちましたかね。」と僕の感想みたいな言葉で応答していた。