6話目.違和感
僕は不思議な違和感を覚えた。
それは更科さんが帰るときに人がそこまで居なかったことだ。
朝の事を例にするならば人だかりが出来てもおかしくないはず……
僕は更科さんと一緒に出入口まで行った。
本当に誰も来ない。
僕はその不思議な違和感に少し意識を向けながら、更科さんの隣を歩ける幸せを感じていた。
更科さんと一緒に歩き学校の正門を出る。
「じゃあ、私はこっちだから」
と更科さんはニコッと笑いながら言ってきた。
僕は「わかった」とだけ返事しそのまま家に帰ろうとした。
何故だろう僕の心は不思議な感覚に襲われた。
……
僕は気づいたら更科さんの後ろをついていっていた。
ダメだとわかっているけど……
少しばかり歩いたとき。
更科さんが数人のよく言えばコミュニケーション能力が高そうな、周りから見たらチャラそうなそんな雰囲気の男達に囲まれていた。
更科さんは多少嫌な顔をしながらそいつらと人気の少ない路地に行った。
勿論僕はその後ろについて行った。
その路地へと足を踏み入れる。
ピリピリとした空気が流れている感じがして進むのが躊躇われるような感じだった。
いた!更科さんだ。
更科さんは数人の男に囲まれ、少し高い所に座っているボスらしき男を見ていた。
「お前が更科雅か、噂以上の美人だな」
ボスらしき男が更科さんを真っ直ぐ見て言う。
男はその後にひとつタバコを取り出し、カチッと火を着けた。
「何のようですか?後、タバコ止めてください嫌いなんで」
更科さんは真剣な目で言う。
何時もより多少口調が攻撃的だった。
「そんなつれないこと言うなよ」
男はタバコを吸い更科さんの方にフゥ―とタバコの煙を吹いた。
僕は自然と近づこうとしたが、人が多くびびって後ろに下がった。
僕の意気地無し。
「良いだろう、俺の女になれよ」
男はそう言って、更科さんの頬に触れた。
更科さんは嫌な顔をする。
僕はその顔を見たときに自然と体が動く。
男達の間をくぐり抜け、更科さんの近くへいく。
更科さんの頬に触れている男の顔面を蹴り飛ばした。
男はドスンと尻餅をついて自分の頬をおさえている。
「何だ!?オメエ」
男が僕に言う。
僕は睨み付ける、睨み付ける。
「何だその目は、このクソガキを捕まえろ」
その言葉と同時に周りの男達が僕を捕まえようと掴みかかりにくる。
僕はそこまで運動神経の良くないからだを無理に動かす。
今日は少し調子が言い気がする。
僕は男達の合間を抜ける、抜ける。
更科さんに目配せをする。
更科さんは男達の隙をついて上手く逃げた。
良かった。
僕は何度も男達の合間を抜ける。
男達は僕を捕まえられず、それぞれがぶつかり、倒れていく。
気づいたら山ができていた。
僕はそれを横目で見て、全速力で逃げた。
僕はそのまま走って帰宅した。
危なかった。
今日もまた、夜に出歩こう
そう心の中で決めた。