勇者と魔王と…
会話文だけで構成した話に、説明文的なものを書き加えた物です。
勇者と魔王がこんな話し合いをしたら面白いな~と考えたのが書き始めた切っ掛け。
駄作でも時間潰しになれば幸いです。
「フッハッハッハッハ!!」
魔王城の最上階で女魔王の笑声が響き渡る。その声を聞いた女魔王に対峙する青年勇者は
「クッ!魔王め!!」
と悪態をついた。
そして、女魔王は青年勇者に問いかける。
「貴様の力はその程度か?」
「そんなことない。『大いなる力を持って闇を撃ち滅ぼせ!限界上昇!』ウォォォ!!!」
青年勇者を煽る様に女魔王が言うと、青年勇者は己の限界を上昇させる最後の切り札を切った。女魔王はそれでも大胆不敵に笑う。
「そうだ!!もっと妾を楽しませろ!!」
青年勇者と女魔王の最終決戦は城を破壊し、地面に幾つものクレーターを作る。
そして、互いに力を尽き果てる最後、
「行くぞ、魔王!!」
「来い、勇者よ!」
互いに最後の一撃を繰り出そうと力を込める。
「「ハァぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」
気合の掛け声と共に両者の一撃が交わる……………………その時。
「そこまでよ!」
空から降って来た『それ』に阻まれる。
止められた青年勇者と女魔王は声を揃えてそのものに問う。
「「誰だ(じゃ)!!」」
この界の運命を決める魔王と勇者、その両名に「誰だ?」と聞かれた『それ』は、ふわりと空中に佇み言った。
「魔王、勇者。あんた達を殺しに来たわ」
世界の運命を決める者達の殺害予告を。
「何じゃと!?」
「へ?ちょっ、君は一体何を言って………」
「問答無用!!」
青年勇者と女魔王の言葉を聞く必要がない!!とばかりに、『それ』は瞬間移動とでも言えるスピードで魔王に接近。
そんなものに反応出来ないのでは、『魔王』を名乗れない。女魔王は『それ』の拳が当たる寸前に魔術式を展開、『それ』の拳を受け止めた。
「くっ!?これは物凄い力じゃ!!」
「魔王が押されている!!?彼女は一体!?」
何者も寄せ付けない魔王の防御術式が、『それ』-彼女-の拳によって押されて始める。完全に防げないと悟った女魔王は、吹き飛ばされる方向を調節して青年勇者に突っ込む。
「勇者!!道連れじゃ!!」
「魔王、僕を巻き込むなぁ!!!」
「どっちでも構わないわ!!!吹き飛びなさいっ!!」
謎の女性に吹き飛ばされた女魔王が、青年勇者を巻き込んで地面に衝突した。先ほどまでの戦いで幾つものクレーターを作り出していた女魔王と青年勇者だったが、謎の女性が吹き飛ばした女勇者によって作り上げたクレーターはそれをも上回った。
大きさとしては青年勇者と女魔王が争って出来たクレーターがテニスボールの大きさだとすれば、女魔王と巻き込まれた青年勇者が地面に衝突して出来上がったクレーターはバスケットボールだ。それを比べれば、双方の力の差が分かるだろう。
しかし、だからといって黙ってやられる程、『勇者』と『魔王』は弱くない。
「のう勇者」
「なんだ魔王?」
二人はクレーターの中心で倒れたまま互いの名を呼び合う。あれだけの力の差を見せられた二人は、互いに言わんとすることが分かった。
故に
「「一時共闘だ(じゃ)」」
共闘の申し出を二人揃えて声に出した。声に出した事で言質を取ったお互いは素早く立ち上がると構えた。
のんびりと倒れていると追撃がくるはず、むろん無防備で受けるつもりは毛頭ないが、先ほどの威力を見た後だ。自身らが使える最上位の防御魔法を展開しようが、謎の女性の拳は容赦なく防御を貫通して来るだろう。ならば、受けるよりも回避した方がダメージが少ないに違いない。青年勇者が聖剣を携えて一歩前に、女魔王が魔法を展開させながら青年勇者の後ろに。人界最強の前衛と後衛が共闘した瞬間だった。
『人界最強』のコンビ、その姿を見た謎の女性はというと、
「面白いわっ!!…………………………………………………母様の敵を喰らいなさい」
普通なら絶望する状況でも、強気な態度は変わらない。寧ろ、この状況を楽しんでいるようにも見える。
謎の女性は無演唱で魔方陣を構築すると、タイムラグなしで光線を放つ。
青年勇者と女魔王は身を投げ出すようにして避ける。
当たれば命がない事くらい分かる程の魔力を帯びた光線を回避しながらも、青年勇者の耳は謎の女性が呟いた言葉を聞き取った。
「敵?僕が何をしたと言うんだ?」
「妾は心当たりがあり過ぎるのじゃが……」
青年勇者は自分が親の敵と言われて、「自分が誰かを傷つけただろうか?」と首を傾げる。一方で女魔王は魔王らしく幾つもの都市を、人間を殺してきたためか、「一体何処の誰かさんの事だろうか?」と首を傾げる。
そんな二人の疑問に答えたのは、如何やら小声が聞こえていたと悟った謎の女性だ。
「黙りなさい!!覚えてない、分からないと言うのなら教えてあげるわよっ!!あんた達がいろんなところで争うから、私の母様は巻き込まれて死んだのよ!!」
謎の女性が青年勇者と女魔王に怒鳴る様に言い終えると、謎の女性から謎の威圧が二人を襲った。普通の人間なら、戦闘に対して場慣れした者であろうと気絶は免れないであろう威圧。
しかし、流石は魔族の王と人族の最強、女魔王と青年勇者は一瞬意識が飛びそうになるが耐えきった。耐えきった二人はすぐさま反撃の準備に取り掛かる。
「勇者よ、妾の呪文演唱の時間を稼ぐのじゃ!」
「魔王、僕の攻撃の援護射撃を頼むっ!」
「バラバラね」
「「うるさい(のじゃ)!!」」
青年勇者に時間稼ぎを頼むと自身が使える最強の魔法の演唱に入る女魔王と、防御の事を全て女魔王に任せて突っ込む青年勇者。バラバラな二人だったが、青年勇者の猛攻は意図せずに女魔王への時間稼ぎとなった。
「そんなひよっこな攻撃、取るに足らないわ!!」
「クッ!!僕の『千華斬撃』が避けられているなんて!」
勇者による千にもなる数の連撃、『千華斬撃』を見切っているかの様にスイスイと避ける謎の女性。そんな余裕の態度の謎の女性に向かって、女魔王が叫ぶ。
「それはっ、これを喰らってからいうのじゃ!!」
「うぉぉっ!!そ、即死魔法か!?」
女魔王が発動した即死魔法が謎の女性に向かって放たれる。攻撃を繰り出していた青年勇者は即死魔法を本能で感じ取り、ギリギリの所で避けた。避けた青年勇者を見た女魔王は小さく舌打ちをする。謎の女性諸共青年勇者も始末するつもりだったらしい。
しかし、本命である相手、謎の女性には直撃。その結果に女魔王は笑みを浮かべる。
「クックック、喰らいおったわい」
「ふぅ。これでやっと魔王を……………………」
即死魔法が謎の女性に当たり「これでようやく魔王との最終決戦を続けられる」そう青年勇者が口に出そうとした時だった。
その言葉がいけなかった。青年勇者が言いたかったことは、フラグと言う。
「だったらなに?」
「な、なっ!!??」
「直撃のはずじゃっ!!?」
即死魔法が当たった影響で生まれた埃の中から、無傷で宙を浮かぶ謎の女性が現れた。その姿を見た青年勇者が耐え切れずに叫ぶ。
「何なんだその虹の翼は!!?」
「『神の翼』そんなスキルも知らないの?」
謎の女性は虹色に輝く翼に囲まれていた。虹色の翼は『神の翼』と言うスキルならしい。如何やら女魔王が放った即死魔法を虹色に輝く『神の翼』で防いだという事である。
当たればなに構わず「即死させる魔法」それをキズ一つ付かずに守った翼。青年勇者はそんなスキルが使える謎の女性のことが、神々しくも、恐ろしくも思えた。一方で女魔王の方は、『神の翼』と言うスキルに心当たりがあるそうで、手を顎にあてて考える。
「『神の翼』………………聞いたことがあるのじゃ。確か、神界の技術とか聞いたことがあるのじゃ」
「神界!!?じゃあ彼女は神………っ!?」
女魔王は昔、別界の事を調べた事があった。そこで知ったのが今侵略しようとしている人界、神と言われる女魔王達魔族が住む魔界と正反対の存在である神界だ。
神界は正反対故、魔族の弱点である聖なる力が溢れている為諦めた程、力の差があり過ぎた世界だったはず。女魔王は「目の前の女性が神界の人物なのか!?」と驚愕する。
そんな女魔王の表情を見た神界の女性は「やっと力の差が分かったのかしら?」とでもいわとする言葉遣いで、人界最強の二人を罵倒する。
「あんたらなんて、全界から見ればちっぽけな力なのよ」
「もう、妾は終わりなの……………………か?」
「えぇ、今すぐにでも終わらせてあげるわ」
全界、つまり世界は人界、魔界、神界の三つだけではない。まだ未知なる界がある。その幾つもある界を渡り歩いてきたと取れる神界の女性を前に、ちっぽけな存在呼ばわりされた女魔王は全てを諦めた。
女魔王に向かって淡々と歩く神界の女性はまるで神に見える。神は神でも、死神というのが正しいかもしれないが。
そんな諦めた女魔王と死神のような神界の女性を黙って見ていた青年勇者は、声を上げる。
「ま、魔王~っ!!!」
人族を支配しようとしている女魔王は、青年勇者の敵だ。しかし、敵だからといって無造作に殺されてもいい物でもない。
話せば分かるはず。魔王のして来たことは決して許されるべきものではないが、殺すまですることではない。自分も人族の為に魔王と戦って来たが、無意味な殺しはしなかった。魔王との決戦でも、魔王が力尽きて倒れたら自分の勝ち。それで終わらせるつもりだった。
しかし現実はどうだ?自分の知らない未知の者に一方的にいたぶられているだけ。彼女はそれが当然とでもいう態度だ。あれだけの力があるなら、勝負はついたも同然なのに、その先を行おうとしている。
そんな今の状況が辛くて、青年勇者は敵である魔王の死を目前に気付けば叫んでいた。なんで殺す必要があるんだ?話し合えば分かるはずなのに!?と。
「そこまでだ」
静かな声が空間を支配した。気付けば、その声と同時に現れた二人目の第三者が女魔王の首を狩ろうとしていた攻撃を防いでいた。
突然の事態に脳の処理が追いついていない女魔王。一つだけ分かる事があるとしたらそれは……………………
「た、助かったのじゃ?」
「お前が魔王か………」
神界の女性が持っていた武器らしき道具、大麻を鏡らしき道具で受け止めている二人目の第三者である男が振り返って女魔王を確かめた。
「そ、そうじゃが………」
女魔王はらしくもない思いを抱きながらも返事をする。その男は大人びたカッコよさがあった。更に、もうダメだと思った時に助けてくれたのだ。落ちない訳がない。
しかし、神界出身者という常識外れな攻撃をいとも簡単に防ぐことが出来る実力。彼は一体何者なのじゃ?
女魔王が自分の心を抑えて男を観察していると、神界の女性が大声を上げた。
「あ~~!!!なんであんたがここに居んのよ!!?」
「こっちのセリフだ、バカが」
お互いにため口、しかも女性の方は男がいることに驚いている様子。一方で男の方は呆れた様子。少なくとも友人以上の関係と分かる。
青年勇者が耐え切れずに、男に質問した。
「君は一体?」
「ん?勇者か」
質問された男は青年勇者を見るなり、女魔王と同じ様に青年勇者を勇者だとみ破った。自身について尋ねられた男は神界の女性と被る様に正体を話す。
「俺は、あいつの……」
「私は、そいつの……」
「「兄(姉)だ(よ)」」
揃って正反対な事を言う二人。女魔王と青年勇者が改めて二人を見比べてみると、髪の色、瞳の色、女性らしい身体つきと男性らしい身体つき、そんな違いを除いて殆ど全く同じ姿をしていると気付く。
兄妹(姉弟)にしては態度に上下関係が一切感じられない。二人が思い至ったのは、双子。しかし、普通は双子でもどちらが上かは決まっている。
「……………………なぁ魔王」
「……………………なんじゃ勇者」
「あの二人、真逆の事を言っているんだが………?」
「そうじゃな…………」
曖昧な上下関係に青年勇者は、この気持ちを共有してくれる相手はいなのか?と女魔王に話を持ち掛ける。
しかし、その話は禁句であった。
「一体どっちが正しんだ?」
「「俺………………っ!?」」
青年勇者の一言で、少しずつ収まりそうだった空気が一転した。先ほどの女魔王と青年勇者に当てられた殺気よりも強い殺気が場を支配する。発生源は勿論、天界の双子だ。
「やるのか!?」
「えぇ、良いわよ!」
天界の男は優し気な態度が一転して、好意的な態度になってしまう。一方で片割れの女性の方は、元々の狙いである青年勇者と女魔王が眼中に無くなった様子だ。
そんな双子に青年勇者は取り敢えず狙いが逸れたことに、ほっと安堵の表情を思い浮かべる。そんな青年勇者に女魔王がある提案をして来た。
「なぁ勇者よ。今のうちに女の方を後ろから殺ないか?」
「後ろからっ!?流石魔王、考えることが卑怯だ」
女魔王の魔王らしい卑怯な考え方にドン引きする青年勇者。そんな青年勇者の態度に女魔王がしかし、と続ける。
「だがのう、勇者よ。今の所大丈夫そうに見えるが、もしあ奴らの矛先が妾達に向いてみろ、勝てる訳がなかろうぞ?」
「た、確かにそうだが…………」
「こ、このままだと、余波だけで吹き飛んでしまうぞよ」
青年勇者と女魔王が話している内に始まった天界の双子の衝突。その戦いはお互いの実力が均衡している為か、空中で幾つもの衝撃波を出しながらぶつかっている。
一般人なら既に体がバラバラになっているであろう余波に、女魔王と勇者は障壁を展開して身を守っているが、壊れるのも時間の問題。
だからこそ、この状況を打破しようと女魔王が青年勇者に「天界の女性を後ろから殺う」と提案したのだ。
因みに、同じ天界出身らしかぬ男の方を手助けしようとしてるのは、そちらの方が話が通じてそうだから。自分たちを助けてくれたのだから敵意はなさそうだから。そして……………………………恋に落ちてしまったから。
「……………………………仕方が無い。卑怯なことはしたくなかったが……」
青年勇者が自身の障壁にかかる負担を見て、女魔王の提案を承諾する決断を取ろうとした。
勿論、後ろから不意打ちで攻撃することにはギリギリ賛成だが、天界の女性を殺すまでは賛成できない。何処まで行っても不殺生を重んじている勇者様であった。
しかし、それは知性のあるヒト型に限定していることだと、青年勇者自身でも気づいていない。
青年勇者が渋々、女魔王の提案を半分だけ受けようとしていた、その時だ。
「『神の剣罰』ハァぁぁ!!!」
「『鏡の守り』………ッ!!」
巫女服をまとった天界の女性が、何もない空間から生み出した巨大な剣で男性の方を攻撃した。男性の方もただでやられるはずがない。一見、魔法で作り上げる障壁と見間違える『壁』を展開、攻撃を受け止めた。
大技と大技。先ほどの余波とは比べ物にならない威圧が女魔王と青年勇者を襲った。だが、それだけなら規模は違えどこれまでも受けてきた物。先ほどと明らかに違ったのはここから。
今まで防御をキッチリとしていた男性が『壁』で巨大な剣を受け止めた後、数秒間競り合い受け流したのだ。
運悪く、受け流した先にいたのは、
「なっ!―――――――クッ!ガハッ!!」
「魔王~~!!!だ、大丈夫か!!?」
「妾の防御障壁がこうもあっさり破られるとは……」
女魔王は威圧を耐えてる中、己に危機が迫っている事を察知し顔を上げると、巨大な剣が目に入った。威圧に耐えながらも、なんとか防御障壁を展開するも結果は大敗。
通常攻撃ですら耐え切れなかった女魔王の防御障壁はあっさりと破壊され、再びクレーターを作り上げた。
防御障壁で勢いを殺したといえ、大技の直撃を受けてなお生きているのは、魔族の王たる強靭な肉体故の賜物であろう。
普通の肉体ならば確実に体が消し飛ぶ。いや、その前にこの場にいるだけで肉体が持たないだろう。そのような場所なのだ。この、元魔王城跡地は。
「『反鏡剣』いい加減に、しろ!!」
「『分身』はんっ!!その程度なの!?」
「ちょっと!!今度は俺かよっ!!?」
又しても、大技と大技。今度は攻守が反対して、男性が日光反射を受けて炎をまとった剣で女性を攻撃する。それを、女性が分身を使い攻撃の直撃をよける。女性が避けた為『反射剣』の炎は、大技の直撃を受けた女魔王の下に向かっていた青年勇者に、矛先が向いた。
咄嗟に手に持つ剣を使いガードを試みるが、あっさりと弾かれてしまい直撃を受ける。
「ぐはぁっ!!」
「勇者~!!」
「クソッ!もはやこれまでなのか……」
「諦めるな勇者!!」
流れ弾をことごとく受け、心が折れそうになる青年勇者に、女魔王がガッツを入れる。いつの間にか、立場が反転しているが、気にしないでこう。それくらい青年勇者は心がズタボロにされているのだ。
女魔王の慰めにより、青年勇者はほんの少しだけ活力を取り戻そうとしたその時、又しても乱入者が現れた。
「ねぇ!!ワタシも混ぜて混ぜて!!それっ『混沌世界』」
「「――――――――ッ!!!ギャーァ~~!!」」
乱入者が現れた瞬間、世界が壊れた。何処からともなく竜巻が発生し、マグマが空から降ってくる。大津波が真横から襲いかかり、幾千もの落雷が轟く。終いにはドス黒い『何か』が形成され、辺り一面を覆いつくした。
勿論、被害を一番受けたのは、青年勇者と女魔王だ。この天地開闢にも等しい攻撃をボロボロになりながらも受ける。普通なら死ぬ。普通どころか人間界最強の二人でも生きているのが奇跡と呼べる状態。女神に愛されているから生きていられるのか、はたまた愛されていないから生きていられるのかは、女神本人にしか分からない。
「邪魔、」
「するんじゃないわよ!!」
普通では無い者が二名。双子だからこそ出来るコンビネーションで、乱入者の攻撃を悠々と回避、防御、競り合う。
そんな天界出身者を見て、女魔王と青年勇者はもう呆れるしかない。
「これでも喰らいなさい!!『神の暴食』」
「『概念鏡』…吹き飛べ」
やられたらやり返す。それを体現したかのような攻撃が双子から発せられる。得体の知れない口が空間そのものを喰らい尽くし、薄い膜のような鏡が触れた『モノ』の概念を壊す。
先ほどの攻撃が遊びに思える程の攻撃。それを見た乱入者は口元をほころばせて、笑う。
「やったなぁ~!!」
乱入者は楽しそうに天界の双子の攻撃を回避する。ギリギリだ。後ほんの少しでもズレていたらその存在ごと消去されてしまうと言うのに、目を大きく開き狂った様に笑う。いや、本当に狂っているのかもしれない。
正に手が付けられない状況とはこのことであろう。
双子の女性が女魔王と青年勇者の決戦に横やりに入り絶望し、片割れの男性が助けに現れた事で希望を見つけるも双子の戦いが別レベル過ぎて浮き飛ばされそうになる。ここまででもガリガリと削られた心。追い打ちをかけるように現れた狂人。
二人は折れれた、心が。
故に叫ぶ。
「「もう、どうにでもなれ!!!!」」
この三人を止められる者はいない。自分たちがあがいてもどうにもならない。ならばもう好きにしてくれ!!
人界の運命は青年勇者と女魔王から、天界の双子と狂人へと強制変更させられた。
コンテニューしますか?
はい
はい
はい
はい
……
……
強くてニューゲームへ行く
色々な設定が出てきましたが、一応構成はある。が、いちいち説明していると面倒なので割愛させていただきます。
技名とかは凝ってないので気にしないで下さい。
ご観覧ありがとうございました。