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珈琲と……  作者: 勇城 珪
3/3

殻がないやつ

「伝票にサインを」

 はいはい、と段ボールの山を見据えてSato、と書く。

 中身は産地直送の野菜。

 マスターも出かけているので、とりあえず倉庫に入れる。


「カラン、カラカラ」とドアを全力で開く音がすると、声が先に飛んでくる。

「段ボールすぐ開けてくれた?」

 マスターが寝癖だか急いだのか分からない髪型で叫ぶのだから、びっくり。


「倉庫に入れましたよ?」

 入れてから15分も経ってないので、私は何気なく答える。

 でも、マスターは直ぐに店頭で選別しだした。

 バス停に並ぶお年寄りたちは、露店販売かと興味津々に見、話のタネにしている。

 幼稚園帰りの子供たちもマスターと私がキャベツをさばくのを興味津々に見ている。

「甘い匂いがします」

 思わず顔をほころばせて上気した声で言ってみる。

「そうだよなぁ、うんうん。でも……」

「?」

 首を上下してこたえるマスターだが、なにやら真面目な顔で「除湿剤(コーヒー豆を炒って時間が経ったもの)」を私に渡す。

「甘いものには出るから…… お嬢様方が苦手なヤツ」

 私はやはり「?」としか答えられない。


「あみちゃん、目の前の『殻なしカタツムリ』に物凄いブラックコーヒーご馳走していいよ?」

 その後、1時間の間にお灸をすえたようなものがが、結構な数出来上がった。


―― 数日後 ——

「お祭りバヤシ~♪ ??」

 私は、鬱陶しい目で腐れ縁を見つめた。

「??」

 青年は店の中のある場所を見ている。

 出汁だから山車ときたか、とか突っ込んだら負けなのだろう。

「?? 新手の盛り塩??」

 あの後、ネットで調べたら、コーヒーは直接振りかけないそうだが、もうすでにどうでもいい。


 彼に忠告した。

「この店の結界壊すと、不幸になるよ」

 それを聞いて頷きながら、

「君が言うと本音臭い」

 柄にもなく彼は何やら考えていたようだった。

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