第3話:東京へ
「品川〜!品川〜!」
新幹線の車内アナウンスが響く。
るいは慌てて荷物を持ち、ホームに降り立った。
伯母さんの家には、二度遊びに来たことがあるので東京は初めてではない。
しかし何度来ても人の多さには圧倒されてしまうるいであった。
列車のドアが開いて、るいがの片足がホームに着いた途端ケータイが鳴った。
「ん?」
と、気を取られた瞬間、ドーンと右肩に痛みが走った。
倒れてしまうほど大きな衝撃ではなかったが、突然のことでるいは驚いた。
ホームを突っ走ってきた少女がぶつかってきたのだった。「あっ、ゴメ〜ン!」
少女は心のこもらない適当な謝り方で言った。
ブルーの髪が目立つ少女はちょうどるいと同じ年頃のように見えた。
「あ、はい」
おっとりタイプのるいはよほどの事でない限り怒ることはない。
「るいちゃ〜ん!!」
そこに伯母の声が聞こえた。振り返るといとこのカスミも一緒だった。
「るいちゃん!久しぶりだね!」
カスミがキンキンした高い声で言った。
「そうだね、中学くらいから会ってないもんね」
るいは、自然にカスミの手を握り締めて言った。 「るいちゃん、すごく可愛くなったね!まるでアイドルみたい」
「え〜っ!?またぁ!そんなことないよぉ。カスミこそすごく大人っぽくなったよ」
同い年のカスミとは昔から仲がいい。
「さぁ!早く家に行こう。今日はるいちゃんが久しぶりに来るからって、ご馳走用意してるんだから!」
伯母の和子が二人を促すと、ホームを降りていった。