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裏方の一幕  作者: estimate
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第六話

 終戦の前日、『オリジナル』が奪われた直後、黒木たちを乗せたラプターは一路伊丹を目指していた。

 『オリジナル』が奪われてから国連軍の攻勢が激しくなり、伊丹へ向かう道中も何回もイーグルやホーネットやラプターに出会ったが、神林の『治癒天使(エンジェル)』の能力を黒木が倍加させた細胞超活性化能力によってパイロットたちを七孔噴血させ全てを落としてきた。そうして、無事に伊丹へ着いたはいいが、着陸した後に自衛官が数人寄ってきたかと思うと、黒木と神林はそのまま隊員たちに引き連れられ基地内に監禁された。今となっては殺したいほど憎い奴らだが、殺しても死ぬ奴らじゃない。なら、閉じ込めて餓死させればいいという判断によるものだった。実際、黒木たちもそうくるとは思っていなかったので少し焦った。少しだけ。部屋と言っても、ターミナルの控室的な所を急場に監禁部屋としただけなので、そこにあるお茶のポットや少しのお菓子は翌日米軍が来るまでの間飢えをしのぐには十分だった。

 上空で中性子爆弾が炸裂した1時間後、米軍の地上部隊が伊丹を占拠しに来た。放射線ごときでやられる黒木たちではないので、米軍がドアを開けた際、呑気にせんべいを食べている神林と、緊張感の欠片もなく昼寝をしている黒木たちを見て何事かと驚いた。

 黒木たちは目隠しと手錠をされ猿轡をかまされた上で、輸送機に乗せられて、中部国際空港へと移送された。中部に着き、目隠しと猿轡を外されると、そこで待っていたのは、国連軍の最高司令官達であった。国連の終戦使節団の面々はつい先ほど神風により吹き飛ばされたので、終戦調停は彼らが行うことになっていた。

「何で終戦調停の場に俺が呼ばれたんだ?」

「さあ?」

アウェーな場にいるにも関わらず相変わらず余裕を見せる二人に調停団や護衛兵の顔に緊張が走った。というのも、二人が能力者であり、今まで幾人もの友軍を葬ってきたことは確かなのだが、その能力も実力も一切日本独立政府のデータには載っていないのだ。まるで未知の相手と対峙するにあたり、調停団も護衛兵も全員が自衛隊から鹵獲したI.Sシールドを装着していた。

 当の黒木は、相手を少し脅してI.Sシールドを発動させてやれば、相手の能力圏を逆利用して能力暴走を起こさせ一瞬で全滅させることができるので有りがたかった。

「単刀直入に言おう。我々の側に就いて欲しい。」

今や能力者を3人、全世界の能力者の4分の3を手中に置いたアメリカにとって、4分の4を取ることは悲願であった。これを用いれば5年間日本が行ってきたような能力独裁を行える。この戦争の目的事態がそれだったのだ。能力が核の上位互換となった今、能力者を他国に取られる訳にはいかなかった。

「いいですけど、条件付きますよ。」

「何かね?」

「今後10年以内の日本の第3次世界大戦以後程度の独立主権の回復と、我々二人の自由です。」

前者の要求に調停団は顔を曇らせた。5年にわたり世界中でデカい顔をしてきた極東の小さな小さな島国を、それと同じレベルで復活させろという条件は、到底飲めるものではなかった。

「君らの自由は保障する。一生遊んで暮らせるようにもする。君が日本を守る理由は何処にあるのだ?」

黒木は一息ついて言った。

「別に、自分の祖国が消えるのが嫌なだけですよ。」

「それだけのために我々に日本を復興して更に主権回復させろというのかね?」

「北方領土も変換させ、米軍を全て撤退させた上で。そうそう、ラプターもまた下さいね。」

「くだらん!」

調停団の一人、米軍の極東指令が机を激しく叩いた。ロシア軍総司令も明らかに怒っている顔をしている。

「貴様らを今ここで殺してやってもいいのだぞ?」

「できるものなら。」

黒木は両手を広げて挑発した

「てか、お前らが俺の前で無事に生きてることを俺に感謝しろって話なんだよ。」

「なんだと?」

「それだけじゃない。あんたらあの『オリジナル』をいつまでも自分の手元に置いておけると思うなよ?あいつらは自分たちの自由を求めて戦った筋金入りの平和主義者だ。あんたらがまた軍事利用しようとしていることに気付いたらまた逃げ出すぜ。ロシアにでも逃げて見ろ、またパワーバランスが変わるぜ。」

ロシア軍司令官の顔がひくついた。

「今奴らはどこにも属さない。どの国もあいつらに首輪をつけることが出来ない。だが、俺にはあいつらに首輪をかけることが出来る。俺の逆利用能力を用いれば、『オリジナル』等脅威でない。アイツが傍にいるだけで、俺が『オリジナル』以上の能力を使う事も出来る。さあどうする?お前らが一番崇め奉らなければならない相手が、誰かもう分かったよな?」

そこにいる全員が言葉がでなかった。

「あんたらの賢明な回答を待ってるよ。」

そういって扉の前に立っていた兵隊を押しのけ、二人は部屋を出て行った。

 黒木の顔には、勝利を確信した笑みが浮かんだ。



さあそろそろクライマックス・・・。最後の方グダったなー

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