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計画



そして、夜。いや、本当は夜かどうかなんてボク等にはわからない。ただ、研究所の科学者たちがいなくなり、ガラス越しの部屋の照明が消える。ボク等はその時間を夜と呼ぶんだ。


とにかく、研究所の科学者がいなくなってから。その時間だけはボクらは自由になれる。といっても、やはりあの白い部屋だけなのだけれど。


みんなが思い思いに遊んだりしている中、ボクと24番、37番と3番とで〝脱走〟する計画を立てていた。


実は、ボク等はずっと前からこの計画を考えていた。誰もいなくなった夜、四人で話をしていたのだ。37番と3番、この二人は24番と仲がよかった子達だ。そして、ボクに24番がなついてからは必然的に彼らとも話すようになったのだ。


「で、科学者たちの注意をそらす所まではいいとして、それを誰がやるんだよ。俺は絶対に、嫌だからな!!」


そうだ、37番がいうようにこの計画は誰かが科学者の注意を惹かなければならない。こんな危険な役、誰もやりたくないだろう。下手すれば、仲間は全員逃亡できても自分だけは逃げ遅れて捕まる可能性だってあるのだ。


「それなら、私がいこう。私は足には自信がある。まず、私が研究者の注意を惹きつける、そして意識をこちらに向けている間に空いたドアから君たちが逃げる。私も、隙をみて逃げるから、あとから追いつくだろう。だが、研究所のセキュリティはどうする?赤外線や指紋検査等があるだろう?」


3番がそういう。なるほど、彼は足は早いな。彼ならきっと逃げられるだろう。それにしても、セキュリティのことは考えていなかったな…。我ながら不覚だった。と、不意に37番が話し出す。


「だったら、それは俺がなんとかするぜ。俺は暴れたりするのは得意だしな。それは任せてもらおうじゃなねぇか!!」


37番はいかにも体育会系。暴れるのが好きなのも頷ける。それに対して24番は対照的だ。きっと彼女は運動があまり得意ではないだろう。


「私は、運動はできないから頭脳戦を任せてもらうよ。11番と合わせればきっとすごい案がでるわ!!」


思ったとおりだ。それにしても、彼女が頭がいいことには最初、とても驚いた記憶がある。あの時はまだ、彼女のことなんてほとんど知らなかった。まぁ、それは今も変わらないのだけれど。


「じゃあ、ボクは24番と一緒に逃走経路なんかを考えておくよ。本番はなるべくボクと24番の指揮に従って欲しいけどたぶん、それは無理だと思う。だから、事前に経路を教えておく。なるべく離れないようにして、それが無理なら一人ででも逃げなくてはいけないからね。わかったかい?」


そう、釘を刺しておく。彼らのことだ、それは百も承知だろう。…24番を除いて。今は頷いているが、おそらく彼女は仲間を見捨てて自分だけ逃げるなんてできないだろう。ボクがしっかりしなくては。


みんなはそれぞれに返事を返す。と、研究所に明かりがともった。おそらく、夜が明けたのだろう。


「じゃあ、本番は三日後。それまでは絶対にこのことは口にしないこと。いいかい?悟られるような行動なんて論外だ。それだけ、じゃあ解散だ!」


本番は、三日後。自分で決めておきながらずいぶん早いな、と思った。しかし、善は急げ。それでいいんだ。今のボクは、もっと考えなければならないことがある。まずはそれが第一だろう。



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