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研究所



それからしばらくして、目が覚めた時。ボクは知らない場所にいた。


周りを見渡せば、白。白。白。白…


真っ白な場所だった。自分の服を見てみる。これも白…白以外の色がすべて遮断されたような空間だ。


(頭が狂いそう…ここはどこ…ボクは村のあとに立っていたはず。それから気を失って…)


そんなことを思っていた時、不意に思考回路を邪魔される。


「目が覚めたみたいだな。お前は今日からここで暮らしてもらう。ここは〝閉ざされた研究所″、通称シークレットブラッド。主に人体実験を行なっている場所だ。お前も、その研究のための実験台となってもらう。」


実験台?研究所?なぜボクが…?


そんな疑問が浮かぶ。当たり前だ、だって今まで何もない村のなかで何も知ることもできずに生きてきたんだから。ボクにはそれがどれだけ危険なことか分かっては居なかった。ただ、本能が告げていた。


逃げろ!!!ここにいては危険だ!!


しかし、ボクには逃げる術がない。ここは何もない真っ白な部屋。窓もなければドアだってどこにあるのかわからない。


「お前の名前は今日から11番だ。今までの名前は必要ない。今すぐ忘れるんだ。」


名前…ボクには名前があったのだろうか。それすらも覚えていない。でも、サナリア牧師や、キルトがボクのことをなにか特別な呼び名で呼んでいたはず。それがボクの名前…?


(○○○、こっちにおいで。またキルトと喧嘩したのかい?ダメだろう、仲良くしなくては。神も、二人が仲良くされることを望んでいらっしゃる。仲直りおし(微笑み))


(○○○兄さん!!一緒に遊ぼうよ!!今日はあのボールを早く持って来れたほうが勝ちだよ!!)


思い出せない。名前のところだけ、まるで霧でもかかっているように。なんだろう、この感じは…


「おい、11番。聞いているのか?」


「はい、聞いてます。」


「ならいい。今からほかの子供たちがいる場所に連れて行く。せいぜい仲良くするんだな、同じ境遇のものどうし。」


ここにはどうやら他にも子供がいるらしい。その子達も実験を受けているのだろうか。少し興味がわいてきたようだ。どんな子供たちがいるんだろう。


ウィーン、と音がして思考を現実に戻し、慌てて白衣の科学者のあとを追いかける。それにしても真っ白なところだ。あの村の夕焼けとは正反対だった…

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