悪魔の落し子
「18番、こっちへこい。」
ああ、また仲間が呼ばれた。あの部屋は確か…薬物の量がどれだけまで耐えられるかを実験する部屋だ。
あの子も、無事に帰って来られるのかな…。さっきも、51番がレーザー線の実験で耐え切れずに死んだ。
死体はぐちゃぐちゃ、そのままゴミ捨て場へと捨てられていった。ボクたちは死んでも墓は作ってもらえない。
当たり前だ、だってモルモットに墓なんて作っていたらどれぐらい土地があっても足りないよ。
「今度の世界はいつまで続くかな…確か、前は七歳までだったなぁ。」
一人、意味もないことをつぶやいてみる。いや、意味はある。ボクがまだこの研究所に来る前は、とある村に住んでいた。
ボクは、その村で〝悪魔の落し子″と呼ばれていた。理由?それは、ボクが…いや、ボクらが双子だったから。
その村には、双子が生まれると不吉なことが起こる、双子は悪魔だと風習があった。
生まれた時から悪魔と呼ばれたボク等は、すぐに親に捨てられた。それを拾って育ててくれたのはサナリア牧師だった。
サナリア牧師は、ボクらが双子だと知っていてもなお、実子のように育て、愛してくれた。でも、サナリア牧師はもう老人。ボクらが後妻のときに亡くなった。
サナリア牧師が死んでから、ボクらは毎日のように暴力を受け、蔑まれ、何度も殺されそうになった。
ある日…そこで、ボクらの世界に終を迎える事件が起きた。弟が、死んだ。
いや、違う!!!!殺された!!!!!!!村の子供たちに!!!!!!!!目の前で!!!!!!!!!!
その日はいつもどうり、また吐き出すような暴力ばかりが繰り返されてて。ボクは押さえつけられて背中を真っ赤に燃え滾る包丁で切られて。
血が出た。たくさん、たくさん。意識が飛びそうになるくらい。その朦朧とした意識の中で、かすかに…でも確かにボクに助けを求める声が聞こえた。
弟の声だった。かすれた声で懸命にボクを呼んでいる。顔が上げられない…!!
ガッ と髪の毛をつかまれて無理やり顔を上げさせられる。
「見ろよ、弟が燃やされるぞwww」
「っ!?!?!?」
そこには…全身油まみれでロープで縛り付けられ木の枝に吊るされた弟の姿。そのすぐ近くには、火のついた松明を持った子供。
…焼き殺すつもりだ!!ボクは弟を殺させまいと必死にもがいた。でも、怪我をして体力も残っておらず、その上十人以上の自分よりも体格のいい子供たちに太刀打ちできるわけなかった。
弟は…
「いくぞーーー!!せーのっ!!」
ボッ バチッ ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
焼け死んだ。