鉄の母
足場が崩れてマリィに抱えられたまま落ちていく。同時に崩れた瓦礫も落ちていき自分の横を灰色の瓦礫が通り過ぎていく。
このまま落ちて固い床に叩き付けられて粉々になるんだろうか。そんな風に考える時間がある程に落ちる時間はゆっくり感じられた。この建物から見える青い空がどんどん遠くなっていきこれが最期の視界なのかと恐怖で声を上げると瞬間、青い視界が暗くなった。
レアから死にものぐるいで離れたが、カイとマリィが立っていた場所が崩れてしまった。火薬の匂いに僅かな煙、小型爆弾の名の通りにちいさな物なのに二人も落としてしまった。
落ちた。カイがマリィと一緒に、マリィがカイを道連れにして落ちてしまった。あまりに一瞬で落ちる瞬間のカイの助けを求めるような声だけが耳に残り足をふらつかせる。
「…嘘…?夢?」
「現実だよ」
自分を救うために放った言葉はレアの一言で一刀両断させられる。これは現実で間違いなくカイはマリィと一緒に落ちましたと叩き付けられる。
首の動かし方を忘れたように振り返りレアと目が合う。何て、罵倒をしてやろう。
口を開けて何かを言ってやろうと思ったが一人になった悲しみと寂しさと恐怖で感情がこんがらがり言葉が上手く生成されない。
「ジン」
そんな自分の代わりにレアが口を開いた。
「この世界をどう思う」
開いた口からはとんでもなく壮大な答えを求めていそうな疑問を投げ掛けた。
「俺は、この世界が好きだったよ。いくつも国が無くなってそれでも力強く生きているこの世界が好きだったよ」
「好き…だった」
「でも。この世界を好きになっても世界は俺達を愛してくれない。始まりは神からなのか、それとも偶然生まれた知性があるかどうか疑問の動物から始まったのか分からない俺達人間を、世界は愛してくれない」
レアが空に向かって言い続ける。
「どんなに祈っても、どんなに発展させてもどんなに必死に生きても結果はこれだ。ほんの少しの幸せを見いだしても辛い、悲しい、苦しいの方が上回る結果を見せてくる」
「……」
「ジン。カイ、お前達は不幸な子ども。愛されて守られて生きてきて希望を見いだしてもいるのにこれから待っているのは終わり行くこの世界を見つめるだけ」
「…勝手に、決めるなって」
「いいや。お前は不幸で可哀想だ。生まれる時代が違えば…若くて綺麗で内面も優れてる。悲しい事にそれが何の役にも立っていない」
指を差されて決めつけられる。勝手に言われてようやく立ち上がりレアを睨み付ける。
「…だから、今のままで終わった方がいい。今の綺麗なままで終わった方がいいんだよ。これから先、長く生きて、俺と同じようにならない可能性なんてどこにも無いんだ」
「だから…そんなのレアが決めつける事じゃないだろう!」
今まで生きてきて一番の大声を出した。
勝手に決めつけられて奪われて時間を戻せとレアがスイッチを押す前に戻れ思っても戻ることが出来ない。カイは落ちてしまった。
銃をレアに突きつける。引き金にかけた指が震えて定まらずレアは表情をほんの少しも動かさなかった。
「…そんな泣きそうな顔で向けるなよ」
撃つなら覚悟を決めて向けろ。
「…仕方ないだろ!人に向けた事なんて人生で二回目だぞ!」
「俺は数えない。数え切れない」
銃を向けたままなのにレアはこちらに歩み寄る。いつでも撃てるのにまるでそんな物見えないとばかりにこちらに近寄る。
「撃ってもいいぞ」
「……っ」
「大事な家族を殺した男だぞ」
「…あ、あぁ…」
「出来ないのか?」
お前は所詮その程度なんだな。
「……っ!」
レアの言葉に一気に頭に血が上った。
銃を固く握り締めて、そのまま迷い無くレアに向かって銃で頭を殴った。
「…いっ」
弾丸が体を貫くこと無く固い銃で頭を殴られたレアはよろめき、そのよろめいた体を蹴ると尻餅をついて倒れる。
殴られた頭を押さえたままにレアはこちらを見上げて目で“何故?”と見ていた。
「…ふざけんな」
「…何もふざけて」
「お前は俺に殺してほしいのか!?」
「…そんな訳」
「俺が銃を向けた時!嬉しそうな顔してたぞ!」
作り笑いの笑顔でも無く、何の感情も映さない冷たい表情でも無く。撃たれる姿勢になった時、どこか安心したような待っていたような表情を見せてきた。
ああそうか、レアは。
「本当は自分が死にたいんだろ!自分が死にたいために俺を利用するな!」
銃をレアに叩き付けて走って行く。螺旋階段を降りてカイの所へ早く早く。
「……銃はせめて持って行けよ…」
後ろでレアの呆れるような声が聞こえた気がした。
(落ちる)
悲鳴が聞こえる。耳元で切り裂くような悲鳴が響く。
(落ちていく)
抱えた熱の固まりは叫んでいる。父と母と兄の名前をすがるように叫んでいた。その声は低い、いや男の子にしては少し高いかもしれない声だ。
(私は)
私はこの腕の中の熱を知っているだろうか。
男の子を抱えたままに手を伸ばす。触れられる壁に手を伸ばして人工で作られた丈夫な爪を立てて行く。固いコンクリートの壁に阻まれて人工で作られた爪は剥がれて落ちていく。血は出ない。
人のためにあるようにと丈夫に作られた手をまた伸ばして掴める物を掴む。螺旋階段の手摺を掴んで落ちる速さを軽減する。手摺が折れた。それしたらまた何度と何度と爪を立てて壁に傷を何度も付けながら剥がれ落ちつ爪の枚数も数えずに丈夫に作られたはずの腕が人としてはおかしな方向に曲がっても。
(ああごめんなさい)
無傷で終われないかもしれないけど、私はあなたが生んでくれた可愛い天使を必ず守るわ。
落ちて床に叩き付けられて粉々になると、その恐怖と二度とジンに会えないかもしれない孤独に気を失ってしまうと、次に体にきた衝撃は確かに痛みは走ったが、この世界とさよならするような激しい痛みではなかった。
「……?」
何が起こったか上手く頭の中で理解出来ず土埃が舞う目の前に一度目を閉じて顔を上げると青空が見えた。あの景色は螺旋階段の頂上から落ちた時と変わらない空だった。
落ちた。間違いなくマリィに抱えられて足元が崩れマリィと共に落ちていった。死んでもおかしくないのに生きている人間が感じる体の痛みとこの世界を認識出来る意識がはっきりしていた。
「…何で?」
どうして無事なのか。訳が分からないでいるとふと、土埃が晴れて自分の下敷きになるように倒れている存在があった。
「……マリィ!!」
落ちる痛みを全て受け止めるように倒れたマリィがそこにいた。慌てて退けると固い床に叩き付けられたマリィは右腕がおかしな方向に曲がり足も一本失っていた。失った体の一部から露出したその中身は熱いぐらいに熱を発する機械が見えていた。
「…マリィ!マリィ!!」
壊れたマリィを抱き起こして名前を呼ぶ。レアに命じられるままに行動していた彼女がどうしてこうも体を張ったのか、落ちる瞬間にこうなったのかそれともロボットの彼女がレアに逆らうような意識があったのか。
光を宿さない金色の目を見てマリィの名前を必死に呼ぶ。名前を呼んでも起きないのならば、人間だったマリィが何度も聞いていたはずの母の歌を聞かせよう。平常心でいられないため音を外しておかしな音程になっているのを何度も歌い直してマリィに聞かせる。
「…カイ!!」
その時聞こえた来たのはマリィの声ではなくジンの声だった。今まで見たことの無い焦りと悲しみが最高峰まで入り交じった表情で目を合わせると走って来たジンに抱き締められる。
「…良かった…良かった!良かった!」
「…ジン?」
「俺だよ!ジンだよ!良かった!生きてた…!」
「…ジン…!」
膝の上にマリィを乗せたまま二度と会えないかもしれないと思ったジンとの再会を喜んだ。
「本当に…駄目かって…」
「多分、マリィが助けてくれた」
「…マリィが…?マリィ!?」
落とした本人が助けた事に首を傾げたジンがマリィの姿に気付き未だに動かないマリィを覗き込む。
「…どうしてマリィが助けたんだ?」
「分からない…でも、ステラみたいにマリィにも自分の意思はあったんじゃないかな?」
「自分の意思…」
「レアには逆らえないけど…マリィは隅から隅までそうじゃないのかも…」
「……だから、土壇場で助ける方に意識が向いたのか?」
「…かもしれない?」
真意は分からないけどと、呟いてマリィに歌を聞かせる。ジンはマリィの片方の足を見つけるとどうにかくっ付ける事は出来ないかと考えていた。
「テープでぐるぐる巻きにするか?」
「動かせないよね…」
「そうだよな…」
「ねえ。それよりも早く逃げよう!レアは?レアはどうなったの?」
「……拳銃で殴って蹴って置いてきた」
「…絶対追いかけて来るじゃん!」
「…撃つ勇気が無かった…ごめん」
「大丈夫!一目散に逃げよう!」
ジンがマリィを抱えて立ち上がり辺りを見回す。一番下まで降りて来たならここに外に出れる出口がある。ジンと僕、マリィと向かおうとすると機械音が聞こえて彼女の声が響く。
「置いて行って」
マリィの声が聞こえた。
腕が折れて足が無くなり自分に銃で撃たれても彼女はまだ動く事が出来る。その何とか動く体で置いて行けとふざけた願いをこちらに言う。
金色の目と至近距離で目を合わせてその願いは聞き入れられないと首を振った。
「置いていかない。一緒に行こう」
「体がろくに動きませんわ。私の体に予備はありません。歩く事も手を使う事も僅かにしか出来ません。私は重いお荷物ですわ」
「…カイを助けた恩人を、ここに置いて行きたくない」
「そうだよ。マリィ、大丈夫だから」
「助けた。私の、意思では無い」
「マリィの意思だろ。誰が自分以外に自分を動かせるんだ」
「私は、私は、私は」
「マリィ。しっかりしろって」
「意識をしっかり!」
マリィの口からは出る声がぶれて聞こえる。人が声帯から出す音ではない。段々と震える声がおかしくなり、マリィの高い声を失っていく。
「…マリィ。お礼ぐらいさせてくれよ」
「そうだよ。生きてなきゃお礼の声も聞こえないよ」
「………」
マリィの声が途切れた。まだ金色の目は生きている事を示している。喋る事を止めてこちらを両目で捉えて目でひたすら置いていけと訴え始めた。その度に聞こえない振りをしてマリィの体を引き摺るようにして運ぶ。
後方で足音が聞こえる。きっとレアだ。早くしないといけない。そもそも出口まで来てもあの日記にあった鍵が本当に出口の鍵なんだろうか。ここに来て開かなかったらどうしよう。それに銃を置いて来てしまった。頭に血が上って冷静な判断が出来なかったと言ってレアの元に置き去りにするような事をするなんて馬鹿なことを。
「ジン」
ハッと顔を上げる。
「大丈夫」
カイが真っ直ぐこちらを見て落ち着かせるように母が歌っていた歌を小さく歌う。
「……うん」
大きく頷き息を吐く。立ち止まり後ろを振り返る。
「……どうして無事なんだよ」
レアが立っている。
自分が殴った部分を未だに押さえながら自分が持っていた銃を今度はレアが持ちながら。
「…もっと馬鹿であれよ。毒入り料理も食べない。追い詰めても真っ直ぐこっちを見る。高層から落としても……何でマリィが」
何でマリィがそっち側に立っているんだ。
指で差すように銃をこちらに向けるレアに少し体を固くする。
「…マリィが助けてくれたぞ」
「何で、マリィが助けるんだよ」
「マリィにも自分の意思があったんでしょ。レアを止めたい。僕達を助けたいって意思が!」
「だとしたらとんだポンコツだよ!ご主人様の命令に従えないならスクラップになれよ!」
ここで初めてレアが声を荒げた。銃をマリィに向けたため庇おうと前に出ようとするとマリィが突然動き出しそれを拒むように自分達の前に出た。片足しか無いため立てず片方の足で膝立ちになりながら何とかある両手を広げて守ろうとしていた。
「マリィ!?」
「マリィ!下がれって!」
「……」
マリィの前に出ようとするとまだ残っている手で力強く押さえられてそれを阻まれる。その光景にレアは息を荒くしたままに見つめていた。
「……私は」
「…マリィ?」
『私は必ずあなた達を守るから』
「……え?」
マリィの金色の目が生気を宿してこちらを見て笑った。
『だってナギがこの世界に生み出してくれた大事な大事な天使だもの』
「…ナギさん?」
声が、声はマリィだがその声に体温がある。ロボットのマリィではなくまるで生きている人間のようにマリィが優しく話していた。
「え?ママ?」
「お母さん…?」
「……え?」
レアの表情が変わった。
生前の、人間だった頃のマリィがここにいるように存在している。レアに向かって足を引き摺るようにして少し近付き語りかける。
『レア。この世界に絶望しないで。私とあなたを迎え入れたようにどんな世界になっても受け入れる人はいるわ。』
マリィの機械の声帯から人間のマリィの声が流れる。レアは手が震え出して銃をろくに握る事が出来ないでいた。
『いないなら。受け入れる側に私達がなりましょう。そしてナギやキリヤさんがそうしたように生まれで決めつけないようにどんな人間かを見つめましょう』
「…、俺は、俺はもう」
『まずは私はいつか会えるかもしれないナギが生んだ二人の天使を受け入れるわ。とびっきりの笑顔でね』
レアが銃を落とした。頭を抱えて呻くように声を上げる。
「出来ない…俺にはもう…」
『どんなに遅くてもやり遂げましょう。いつか会える日まで』
レアが感情の限り叫んだ。
『愛しているわ。ずっと』
マリィの声がここで止まり機械音がする。
「…夫へのメッセージの再生を完了致しました」
再び機械のマリィの声で人間のマリィからのメッセージは再生を終わった。
銃を落として頭を抱えながらマリィを見つめるレアの目は、今まで見た事の無い程に人間味に溢れていた。愛したマリィからの声に今までの行動の後悔か、かつて持っていた人間としての温かさを思い出して苦悩しているようだった。
肩に痛くないぐらいの石が落ちてそれを振り払いレアに歩み寄ろうとするとレアの目がこちらを見て見開かれる。
「…え?」
「ん?」
その次の瞬間音を立てて崩れる音がする。その方向を見るとマリィがカイと共に落ちた場所が更に崩れてこちらに人を潰せる程の瓦礫が落ちてくる。ゆっくり落ちてくるその様子に驚き何も出来ないでいると強く体を引っ張られてマリィの元に倒れ混む。
大きな音と共に瓦礫が床に叩き付けられて轟音を起こすと一気に舞い上がった土埃に目を閉じる。
「…レア!?」
「レア!!」
土埃が晴れた目の前の光景に青ざめる。
胸から下を瓦礫に押し潰されたレアがいた。自分達が立っていた場所に落ちた瓦礫に体を押し潰されて口からは真っ赤な血を吐き出していた。
マリィを抱えてレアの元に行くと何とか息をしているが押し潰された体を見て半端に医療の知識があるせいで頭の中に“助からない”と言う言葉が浮かぶ。
「…ジン!」
「…え!?」
「瓦礫退かして!手伝って!早く!」
「……」
「早く!」
「わ、分かった!」
呆然とする自分にカイが叱咤する。慌ててレアの体を押し潰す瓦礫を退けようとするが大きくて重い瓦礫は二人で必死に退けようとしても動かない。その下でレアの呼吸が小さくなっているのをマリィが見つめている。
「だんなさま」
「……マリィ」
「そのまま!マリィ!レアに話しかけ続けて!意識を途切れさせるな!」
「レア!しっかり!」
マリィがレアに声をかけ続ける。旦那様。しっかりして下さい。今日はとても良い天気です。ご覧になって下さいな、空がとても。
「…綺麗だな…」
「そうだよ!今日も快晴だよ…!」
「明日はどうなるだろうね…!」
今死んだら明日の空を見れないぞ。
必死にそう言ってレアに声をかけているとマリィが服の袖を引いた。
「…何?」
「旦那様が、およびです」
「…レア?」
口から吐いた血が増えていく中でレアは自分達を呼びかけた。瓦礫を退かす手を止めていいのかと思ったがマリィが何度もこちらに来るように呼び瓦礫から手を離してレアの側に座り込む。
「……本当だ……ナギさんと…キリヤさんの顔に似てるな」
「…今頃気付いたか」
「まともに見てなかった…、ただ綺麗な…赤ん坊みたいな…子どもだと…」
「止めてよ。僕達十七歳と十九歳だよ?」
光を失いかけてるレアが目線だけ自分とカイを見つめて途切れ途切れにそう話す。
「…疑問だったんだ…俺達を最初から殺すつもりなら…こうなる前にもっと機会はあったはずだ。それこそ来たばっかりの頃の食事の時とか」
思惑が分かるまで泳がせて、何故かと聞くとレアは震える手で自分の顔に手を伸ばして触れる。
「……言ったろう…何も知らない赤ん坊みたいな……純粋な目をしてて……それと、誰かに似てると…思ってたんだ…」
「……俺達の」
「そう…お前達の…両親……」
それが分からずずっと疑問のまま踏みとどまっていたがようやく分かった。かつての自分達に分け隔てなく接した二人だ。
頬に触れるレアの手を掴む。熱のある自分の手とは逆に冷たくなっていく。
「…レア」
「……」
「…何か、何かしてほしい事はないか?」
「……何も…いや」
「ん?」
「……俺がお前に言った事は……全部忘れてくれ」
「…それは出来ない。何もかも覚えてる。言っただろう?俺は完全記憶能力の持ち主なんだ」
そう言うとレアは僅かに口角を上げて笑った。マリィと自分にカイに見守られてレアの息は止まり動かなくなる。
頬に触れていた手をゆっくり下ろしレアの胸の辺りに置く。
「……レア」
「旦那様」
「マリィ…」
「旦那様の心臓がとまりました。せいめいはんのう、ありません」
「マリィ…レア死んじゃったんだよ」
「存じてますわ」
「……」
「…うっ」
「ジン?」
目を閉じたレアの顔に自分の涙が落ちていく。止まる事無く落ちていき両手で押さえようとしても指の隙間からすり抜けて耐えられない漏れだした嗚咽と共に泣いた。
レアが言う赤ん坊のように感情の制御が効かないままに声を上げてレアの死に泣いているとマリィが折れていない手を背中に触れてこちらを見ていた。
「マ、マリィ…」
「泣いているの、ですね」
「マリィは…」
「私には涙が出る機能が無いのです」
マリィは首を振ってそう答える。そして死んだレアを見つめながらこう言った。
「それが何故か、とても不快におもいますわ」
機械のマリィは確かにそう人間と同じ様な感情を持って言った。
「…うん。だから、俺がその分泣くから」
未だに流れる涙を乱暴に拭い、失った悲しみをマリィの分も流すようにレアの側で泣いた。
次回で最終回




