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空港

波打つような屋根をした建物だと思い、そこを目指すと入り口がいくつもあり空いている所に車を止めてもらい降りると中は店らしき所と吹き抜けになっている上の階へと向かうとカフェや料理を食べる店がいくつかあるのが確認出来る。

「セントラルステーションみたいにこの建物の名前があったよな」

「何文字か取れてたけどね、西セントラル…」

「エ、なんとかトってあったな」

「どんな場所だろうね」

「んー…多分だけど」

上の階にも料理を出さない店があり、そこにまだ残されている物を見る限りは恐らくここは空港だろう。

「空港?」

「飛行機って空を飛ぶ乗り物に乗れる所」

「駅の空バージョン?」

「みたいなもんだな」

「じゃあ…ここにある乗り物に乗れば空を飛べるって事?」

「無理だ。操縦方法が分からないし…仮に飛べても空なんて危ない場所行きたくない」

「何だ乗れないのか…」

人間地面を走った方がきっと安全なんだよ言い聞かせてカイに店に残されていたある物を見せる。初めて見るそれに怪訝な表情をして受け取りあらゆる角度から確認している。

「それが飛行機」

飛行機の模型らしい。本物はこれよりも何倍も何十倍も大きいらしい。

「…これが?」

「だろうな。箱に書いてあった」

「へぇ…こんな形なんだ」

「飛ぶのに適した形がそれなのかもな」

「ここが何か…鳥の翼みたいだね」

「あぁ…それで飛ぶのか?」

飛行機の存在は認識出来たがそれが動いて飛ぶ姿までは知らないため想像で補う。この翼のような部分は羽ばたくように見えないし、やはり何か協力なエンジンを使って空を飛んでいるのだろうか。

「しかしそれにしても…」

「ん?」

「ここは随分情報が多いな」

「情報?」

「大きな写真に大きな文字、名産品の生クリームチョコレートだってさ」

「生クリームなの?チョコレートなの?」

「さあ?隣はごく厚名牛ステーキ」

「ステーキだけで良くない?」

「ごく厚も名牛も必要なんじゃないか?知らないが」

読めない程に破けていたり劣化しているのもあるがこの空港はなかなか残っている情報が多い。あちらこちらにこれが美味い、これが名産と書かれた写真と文字が多くある。

「あ、これ中身あるよ」

「飴が入ってるみたいだな。一つ食べよう」

“名産葡萄キャンディ”と書かれた飴の缶は固く開けるのに少し時間がかかったが何とか開けられて中から一つづつ飴を取り出すと同時に食べる。

「…あ、美味い」

「何か…今までで一番美味しい飴かも」

「確かに…一番だ」

「美味しい~」

口の中で転がしながら食べる飴は今まで食べた飴の中で一番味が濃い。その濃い味に少し戸惑いはしたがすぐに頭が“美味い”と書き換えてしばらく味わいながら飛行機の形を見ていた。

「もう一つ…」

「駄目、明日」

「はーい…」

「向こう探索しよう。また何か美味しいのあるかも」

「はーい……」

リュックを背負い直して再び歩き出す。他の店を探索すると今まで見てきた料理の写真や飲み物とは違い随分“名産”という物が多く使われているようだった。この土地でよく取れた物が積極的に使われているようであちらこちらにあるようだ。

「あ、地図だ」

「駅にもあったのと似てるな…」

「かんこーめいしょ」

「観光名所」

駅にあったのは大きな紙一枚で出来ていたがこちらは本になっている。捲るとその土地のかつての写真とここに行ったならここに注目と事細かく楽しむための説明が書いてあった。

「…美術館か…」

「美術館?」

「絵とか彫刻とか…芸術品が置いてある所だな」

「ここから近いの?」

「車で行くならこの距離は…丸一日かかるかな?」

「行ってみる?」

「あんまり興味無いけどな、残ってたら行ってみるか」

「残ってなかったら…ここに行こうよ」

「ん?神社?」

「うん。神様がいる所でしょ?」

「神様…」

「そんな人がいる場所なら守られて誰かいるかもね」

「…かもな」

本を閉じてリュックに仕舞う。再び探索を再開するとまだ上の階がある事に気付き階段を上がる。店やそういった物は無い。最上階は随分殺風景だなと首を傾げていると扉があり、そこを開けると空の下に出る事が出来た。

「お…いい眺め」

「外見れるんだね…あ!」

「ん?」

「あれ!飛行機?」

カイが走り出して指差す方向を見ると確かにあの模型ではなく本物の飛行機があった。少々汚れてはいるがほぼほぼそのまま残されており想像以上の大きさに驚いてしまう。

「あれが…飛行機?」

「大きいね…あそこに降りたら中に入れるんじゃない?」

「入れるかもだけど…入った瞬間飛んだりしないか?」

「飛ばないよ…心配し過ぎだよ」

呆れた表情になったカイは背中を向けてあの飛行機がある場所まで走って行く。その背中を追いかけながらふと思う。

駅には電車がいくつもあった。

しかしここには飛行機が一つだけ。ここからどこかに行くならいくつかあってもいいはずだが、それが無いという事はどこかに飛び去って行ったのだろうか。

ならここ以外、どこか遠い場所に人類はまだ存在しているのだろうか。

「…まさかな」

そんはほんの少しの希望を持とうとしたが、仮にここから飛び去ってもこの世界はもう人がたくさん溢れていた頃のように機能していない。あの大きな飛行機に人を詰められるだけ詰めて飛んだとしてと辿り着いた場所が長く生きられる場所なのか保証出来ない。

それとも未だにそんな安寧を求めて空を飛び続けているのだろうか。

「…ま、俺達も似たようなもんか」

「何か言った?」

「いや…そこから行けるのか?」

「分かんない、でもここから降りれるね」

飛行機が残された場所へ行くために様々な道を進んだと思うと戻ったり、繰り返していくと外へと続く別の階段がありカイに続いて降りると重い扉がある。力を込めて開けるとそこは飛行機が残された場所へと繋がっていた。

飛行機が飛ぶためにここまで広い場所が必要なのかと感心しながら何も遮る物が無い外に出る。飛行機に向かって歩くと遠くからでも十分大きいと感じていたその乗り物は近くで見ると一層大きい。見上げる首が痛くなる程に見つめていると扉らしき場所が僅かに開いているのが見える。

「あそこから入れるのか?」

「高いね、どうやって行こうか」

「梯子があればそこにかけて行けるか?」

「大丈夫?梯子あってもそこそこ高いよ」

「…まあ、下を見なければ…」

何とかなるだろうと思い来た道を引き返しながら梯子を探す。思いの外あっさり梯子は見つかりそれと同時にこの飛行機を修理するための道具が多くあった。

「どこに使うのか分からない道具ばっかりだな」

「トンカチとかは分かるけどね」

「あの大きい乗り物をトンカチで直してたのか」

「細かい所も見てたんじゃない?大人数空に飛ばすなら小さい故障も見逃せないだろうしね」

「確かに納得出来るな」

何人でどれだけ道具を使ってあの飛行機を作り修理して飛ばしていたのか、過去の人類はこの一つの乗り物をどうにかするのにどれだけ時間を費やしたのかと考える。

「んじゃ行こう」

「そうだな…よっと…」

それなりに長い梯子を二人で持ち上げて再び来た道を戻って行く。自由の身で来た時と違いあちらこちらにぶつかりながら梯子を運び長いそれを僅かに開いた扉にかける。下で自分が押さえて先にカイを行かせると扉の開いた隙間から体を滑り込ませて中に入る事が出来たようだ。

「ジン!登って来て!」

「その前に梯子倒れないようにどこかとくくりつけてくれ!」

「倒れないよ!」

「出る時梯子無いと困るだろ!」

「も~…分かった!」

そう言ってカイは飛行機の中に消えて行き、少し待っていると中にあったのか布をナイフで割いて梯子と扉をしっかり結びつけている。

「これでいい!?」

梯子を揺らして確認し、大丈夫だと判断して下を見ないように上がって行く。扉の側でカイが手を伸ばして来るためその手を取り中へと入る。

「…狭いな?」

「ね、まだ入ったばっかりだけど…見てみて」

「ん?」

覗くと中は椅子が中に詰められるだけ詰められるように設置されていた。

「窮屈だな…」

「奥に行ってみて」

「奥?」

カイに押されるようにして奥に進むと前の方と違う形の椅子が並んでいる。更に進むとまた違う形の椅子がある。

「奥の方が前の椅子より小さいな」

「前の方の椅子は特別な椅子じゃない?」

「お金持ち専用とか?」

「うわー、ここでお金持ちかそうかじゃないか分かるのかー」

「つまり前に座ればお金持ち」

そう言って前の奥の椅子よりも広いそれに座る。後ろの椅子よりも広くしっかりした作りのそれはやはり想像していた通りに座り心地が良い。

「それじゃあ僕もお金持ち?」

隣の椅子に座りそう笑うカイに頷く。

「いいな、この椅子…ここに座ってるだけで飛んで行きたい所に行けるんだな」

「落ちたら怖いと思ってる人は車や電車で行けば良いし、すぐに行きたい人は飛行機に乗ればいいんだね」

「交通手段がたくさんあるんだな」

「…空もあるなら船もある?」

「船もあるかもな。どこかにあるんだろうなきっと…」

車や電車は陸を行き、飛行機は空を飛ぶ。そして船は海を渡るらしい。

しかし海は段々と枯れていきどこにも無い。かつては真っ青な海の水が広がるそれは全ての命の源だとそんな話を父がしていた。

「海がまだ残ってる所には船はあるかもな」

「どこが残ってるのか分からないねえ」

「でも…船だけならあるだろな。ここに飛行機が残ってたみたいに」

「そうだね…よし、探索しよう」

「すぐ終わりそうだけどな」

「それでもだよ」

座り心地が良いお金持ちの椅子から立ち上がりまずは後ろの方を見ていく。椅子の数も多く通路も狭い。こう見ると本当に前方のお金持ちの椅子は限られた人にしか座る事が出来なかったのだろうと感じる。いくつか扉があり開いてみると驚く事にトイレがあった。

「…トイレだ」

「あるんだ…」

「長い時間飛んでるかもしれないから必要なのか、そうか」

「これさ…ここでしたのはもしかして飛行機の外に」

「やめろ。そんなわけ無いだろ。こう…何か上手く処理してるだろ」

仕組みは分からないがまさか地上にそのまま垂れ流す事は考えられないため見えない部分できっと何かしているのだろうと話を無理やり止めた。

「…あ、何か色々ある」

「へえ…キッチンみたいだな」

「こんな狭くても色々出来るようになってるんだね」

「よく作られてるな」

感心しながら見ていると、この中で配っていたのかそれとも売っていたのか未開封の飲み物がある。透明な瓶に入っており綺麗なピンク色をしている。

「……これ飲めるのか?」

「綺麗だけど…初めて見る色だね」

「…スパークリングワイン…」

「何それ?」

「ワイン…ワイン……あ!お酒だこれ!」

「お酒?」

「大人が飲む飲み物」

「大人が飲む…」

直接見た事は無かったが存在は知っている。大人が飲める飲み物で飲むと楽しくなってしまいふらふらして赤くなる。そんな飲み物だと両親は言っていた。飲み過ぎると正常な判断や行動が出来ないため子どもには危険だとそんな風に教えられた。

「お酒…お酒」

「僕らって大人?」

「…十九歳と十七歳は……カイ、十七歳はまだ子どもの年齢だ」

「え?もしかしてジン…」

「俺だけ飲む。試してみる」

「嘘でしょ…飲んだらふわふわして熱くなって変になるって言ってたよ」

「一杯だけ、それで危険だと判断したら止める」

「…分かった。何かあったら僕も止めるね」

「頼む…」

十九年生きて来て今日が初めてのお酒だ。

何か注げる物は無いかと思うとカイがリュックから着替えに包まれた水族館でミナモから貰ったマグカップを差し出す。かわいい動物の絵が描かれたマグカップにこのスパークリングワインを注ごうとした。

「…これどうやったら蓋開くんだ?」

「え?引っこ抜いて取れない?」

「…取れない」

「何か専用の道具でもあるんじゃない?」

固い栓がされたスパークリングワインに四苦八苦しているとカイがナイフを取り出して恐らく正解のやり方ではないだろうが栓をほじくるようにして開けた。

「匂いどう?」

「…変な感じだな…嗅いでみな」

「…あんまり…美味しそうな匂いじゃない」

「…これがお酒の匂い」

頭が揺れそうな匂いの中身をマグカップに注ぐと炭酸のように泡が弾けている。恐る恐る舐めるように口に付けるとプラネタリウムで飲んだクリームソーダのように口のなかで弾けたがあの時のような甘い味はない。苦い、口の中で広がるそれは不思議な感覚だった。

「…どう?」

「…美味い?」

「そうなの?」

「いや、分からない…」

今度は一口含んで飲む。すると頭がふわりと浮かんで来るような感覚が体を包み体が熱くなる。何だこれはと不思議に思いながらもう一口飲むと少し楽しい気分にもなった。

「え?大丈夫?」

「だいじょうぶ」

「…顔赤くない?」

「何か熱い」

「ジン、止めておこう飲むの止めて」

「もったいない」

そう言ってマグカップの中身を飲み干すと何やら楽しい。不安そうなカイの表情が見えて大丈夫だと言って頭を撫でるとますます不安そうな表情になる。

「だいじょうぶだよ、かい」

「…すごい機嫌良いじゃん…こわっ」

「何がこわいんだよ。おにーさんがこわいかー?」

「めちゃくちゃ笑うじゃん!何これ!お酒ってこんな風になるの!?」

カイの不安そうな表情を和らげようとして子どもの頃のように撫でたりすると「座ってて!」と肩を押されて着席する。中身のまだまだあるスパークリングワインはカイの手によって回収された。

大人はこんな風に無理やり楽しい気分になっているのだろうか。

浮いた頭ではあるがどこか冷静さを残したままカイの後ろ姿を見てそう思った。

「カイくーん」

「なーに」

「何探してるのー」

「ジンが元に戻る方法探してるー」

「そうかー出来た弟だなー」

「…水あったから水飲んで、お腹の中でお酒薄めて」

「薄まるかー?」

呆れたような疲れたような表情でカイが差し出して来た水はこの飛行機の絵が書かれており蓋を開けようとしたが、滑って開かない事を楽しく笑いながら伝えると手袋を外したカイが蓋を開けて水を差し出す。リュックにも水筒があるのにわざわざ探して来た辺り、カイも自分がおかしくなっている事に混乱したのかもしれない。

「…どう?」

「…すごいぞ…ふわふわしてる。浮きそう」

「飛行機の中で浮かないでよ…そのまま座ってて、探索は僕がするから」

「本当に出来た弟…感無量…」

「…何でこんな風になる飲み物を大人は飲むのか…」

スパークリングワインを見つめながらカイはそう言った。椅子に座り飛行機の小さい窓を見つめながらカイが探索しているであろう音を聞く。後方は他にどんな物があるのか、ふと隣の椅子にある本を手に取り読むと、この飛行機の目的地であろう場所の情報が載っている。自然に溢れた土地でパワーを貰おうという何ともよく分からない文字が羅列している。

「……?」

その本の中に操縦士という職業について記されていた。どうもこの飛行機を飛ばすための存在らしい。

写真に写る彼等は何がどうなってるのか分からない機器ばかりの場所に座り微笑んでいる。

窓の形からするとこれは一番前の座席がそうだろう。本を片手に好奇心を持ち前へ前へ進んで行き重い扉を開ける。

「…おお」

写真の通りの場所がある。電車の時もそうだが何をどう押せばどうなるのか一つも分からない。一番前の席に座り前方を眺める。なるほど、これが飛行機を飛ばす操縦士の景色か。

「ジン!」

「お、いらっしゃい」

「いらっしゃいじゃないよ…座っててって言ったのに」

「見ろよカイ。これが操縦士の景色だ」

「はあ?」

心底意味が分からないという表情をしているカイの手を引いて隣の椅子に座らせると本を渡して事情を説明する。

「…なるほど飛行機を飛ばす人の席…」

「操縦士のジンです」

「やかましいよ」

「冷たいな、カイ…何それ?」

いつもならはしゃいでくれそうなカイに冷たくあしらわれてしまっていると、カイの手に小さな箱があるのが見えた。

「食べ物あったよ。後はもうこれ以外無いみたい」

「へー?何?」

「チョコレートだって、箱に書いてある」

「開けてみて」

「はいはい」

カイが開けるとそこには食べ物と言うより飾って楽しめそうな甘い香りのチョコレートがあった。まるで絵のように茶色の小さなチョコレートに白やピンクで模様が描かれているのもあれば、この飛行機を描いた物もある。

「俺これ」

その中で一つ、鮮やかな花の模様が描かれたそれを手にすると他のチョコレートも取られると思ったのかカイは慌てて飛行機のチョコレートを取った。

「一人占めしないよ。安心しろ」

「そんな状態で言われてもね…」

そう言ってカイと同時にチョコレートを口に含む。甘い、口の中で蕩けていくのが何とも美味しい。

「絵がこんな風に綺麗に描かれてるから…本当はこの絵を楽しんでから食べるのかもね」

「口に入れれば見えないのになー」

「…はー…このチョコレート作った人に謝って欲しい」

「ごめんなさい」

「もういいよ、暗くなって来たしここで寝よう」

「狭くないか?」

「ここ出て一番広いお金持ちの席で寝るよ。毛布もあったから」

カイに手を引かれてあのお金持ちの椅子に座ると、後ろに倒れるらしく限界まで倒すとほぼ寝られらような状態になり飛行機の天井がよく見える。

「これここまで倒したら後ろの人に迷惑だよな」

「…いない時限定じゃない?ここまで倒すの」

「俺達しか乗ってないもんなー」

「今は僕達しか乗ってないけど…昔はこの後ろまで人で一杯だと思うと本当に飛ぶのかなって疑うかも」

「飛べるからあんな大きな翼があるんだろうな...」

「そうだね、それに操縦する所もたくさん機械があって大変なんだろうね」

「そう…簡単じゃない…」

「長い時間飛ぶからこんな風に食べたり飲んだり読んだりするのがあるんだろうね…」

「……そうだな」

「…眠いの?」

「んー…」

いつもよりも早い時間、まだまだ探索しがいがありそうだが目蓋が重い。カイがそんな自分を見て持って来た毛布をかける。何だか今日はカイが兄のように振る舞っていた。二歳も違うが成長した今では二歳しか違わないになっているような気がした。

「おやすみ」

「…おやすみ」

暗くなった飛行機の中で目を閉じる。

飛ばない飛行機の中で眠るというのは飛ぶ姿を知っている人から見れば不思議なものだろう。その人達からすれば何とも貴重な日を過ごしたかもしれない。



「…酒という物が分かった」

「うん。控えてね」

朝食代わりに昨日の水とチョコレートを食べる。今回はチョコレートに描かれた絵を鑑賞しながらゆっくり食べて昨日の失態を冷静な頭で思い出しながら反省する。

一晩お世話になった飛行機から降りるともう一度空港の中を見回り十分探索が完了したら車に戻る。

次の目的地は美術館。

「空港楽しかったね」

「見る所がたくさんあったね」

「これはここに飾ろう」

「あの飛行機のミニチュアか」

「あとこれも」

「…持って来てどうする」

飛行機を車のフロントに飾ると同時に出して来たのはまだ中身があるスパークリングワインだ。無理やり開けてぼろぼろになった蓋はなくなり代わりにこの空港の名前が書かれた蓋がされている。

「僕が大人になったら飲むの」

「どうなっても知らないぞ」

「ジンよりはマシだと思う」

「飲んでもないくせに」

そう言ってお互い当たり前にこの先の未来の事を話して次の目的地へと向かった。



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