ココ「私の投資の話です」
ココ「前回のあらすじ、オリンポスさんが女の子になってリーリアちゃんが暴走しました。元に戻りましたが後遺症が残ったみたいです」
ココ「えっと、投資、ですか?」
執事「はい、お嬢様の個人資産も増えてきたご様子。この際投資を行ってみたらいかがでしょう。」
ココ「えっと、何に投資を……あ、これ」
……
オリンポス「で、何に投資したの?」
ココ「お花です。春先に咲く生花を1年中作るってお話があって、素敵だったので……」
ロイド「花か、ココお花好きだったし良いんじゃないか」
オリンポス「投資なんて当たるも当たらないも運次第だからね。好きな物に使うのが良いんじゃないかな。」
エイジ「(生花かー。そういえばオランダのチューリップ投資ってどうなったっけなー)」
……
ココ「……えっと、オリンポスさん、ロイドさん、こないだの投資の件なんですが……」
オリンポス「あー、失敗しちゃったか。しょうがないね。生活費つぎ込んでたならまずいけど、どうせ貴族にもらったプレゼントの売却費なんだろうし、気にしない気にしない。」
ココ「えっと、これ見てください」
ロイド「ひーふーみーよー。1000万かー。読めた」
オリンポス「ロイド、ちゃんと大きな桁読める様になって偉いね。」
エイジ「うわー。当たっちゃったって奴か」
ココ「ど、どうしましょう。こんな大金」
オリンポス「臨時収入としては多いけど貴族の収入って考えればこんなもんだよ。お小遣いにしてみたら?」
ココ「ええ、お小遣い、なのでしょうか……後、その投資先さんから新製品の開発をしてみませんかって話があって、私の好きな雪花を商品化する事になったみたいなんです。あ、追加の投資をするのも良いのかな?」
ロイド「ココの雪花か。とても素敵だね。」
オリンポス「追加投資かー。泡銭の消費先には良いね。うまくいってるなら、もしかしてココさん大金持ちになっちゃうかもね」
ココ「私が好きってだけなので……」
エイジ「(なんか落ちが想像出来てきたぞ。)」
……
ロイド「読めた、10億だ」
ココ「2桁上がりましたね。」
オリンポス「あー、これは少しまずいかも……」
ロイド「何がまずいんだ?ココがお金を稼いだだけじゃないのか?」
エイジ「あー、確かに。これはバブルな感じになってきたな。」
オリンポス「とりあえず、アゾアラスの所に相談に行こうか。」
……
ココ「あ、アゾアラスさんの所にも雪花が置いてある。」
アゾアラス「ああ、最近貴族の間で流行っているようだ。ココの雪花という名だったな。」
アゾアラス「効能として消臭効果があるらしくてな。匂いのキツい香水からの切り替えが相次いでいるらしい。それでどうした?」
オリンポス「あー、アゾアラスはバブルの止め方は分かる?」
アゾアラス「バブル?異世界用語だな。詳しく話を聞かせてもらおう」
……
オリンポス「アゾアラスが難しそうな顔してるよ」
アゾアラス「経済的な自爆か、確かに今まで想定していなかった事態だ。」
エイジ「想定してなかったのかよ。今までは何でなんとかなってたんだ?」
オリンポス「あー、確かに王国は物価が安定していた。人口は増えてたけど過剰な余剰が発生するまでの経済的拡張は無かったんだ。」
アゾアラス「我々が魔王の討伐を完了させた事で世界規模の平和、さらに生産性の向上が見込まれるようになった。これは長期的には良いことだが、短期的にインフレが進んでしまう危険性を孕んでいた。」
ソレナリフ「ココちゃんの投資先がそのターゲットになっちゃったって事だね。確かに雪花は貴族から庶民まで使える商品だから、投資が過熱しちゃうのも分かるかな。どうしたもんかね」
ココ「ど、どうしたら良いのでしょうか?」
アゾアラス「ココには悪いが、接収するしかあるまい。幸い投資項目が1種なのは助かった。ココの雪花を王家の専売品とする。これで投資熱は収まるだろう。」
ココ「良かった……」(ほっとする
……
ロイド「ひーふーみー、100億、良かった。落ち着いたって話だろ?」
オリンポス「全然落ち着いて無いからね。指数関数的に資産増えてるから。」
ココ「何で1桁も増えるんでしょうか?王様の専売になってめでたしめでたしじゃなかったの?」
オリンポス「むー、経済は生き物なんだって感じるよ。多分、専売した事で、皆その価値に気がついたんだ。このうねりぶっちゃけどうしようもないよね。」
エイジ「うん、まあこれどうすんだ?多分これちゃんと資産を市場に還元しないとひでぇ事になるんだが……」
ココ「これ以上酷い事になるんですか!?」
オリンポス「あー、確かに。でもどうしようか?ココさんさらに投資とかする?多分世界を牛耳れる気がするけど」
ココ「世界を牛耳るなんて私には荷が重すぎますー」
ラト「じゃじゃーん、って事で私が解決策を提示するよー」
エイジ「ラト!!」
ココ「ラトさん、解決策ってなんなんですか?」
ラト「公共事業しようよ!せっかく平和になったんだし。」
ココ「公共、事業?」
……
オリンポス「あー、前言ってたね。平和になったらトラックの為に道路に投資して欲しいって話か。」
ラト「そーそー。王国に問い合わせたけど、お金が無いとか今そんな余裕が無いとかそんな回答ばっかりだったんだもん。」
ココ「えーっと、つまりこのお金を使って道を作る?」
ラト「そういう事、道路網は王国経済のさらなる活性に役立つし、トラックの本領も発揮できるようになるんだー。金人物が必要なんだけど、纏まった資金があると凄く助かるんだよね。」
エイジ「トラックの本領発揮が目的だけどな。」
ココ「ラトさん。これ全部使っちゃってください。」
オリンポス「あーなら、まずは王都とパッセの間を繋ごうか。パッセはアゾアラスの領地だし他国に繋がる幹線になるんだ。」
ラト「でも他国の道路も整備してもらわないとトラック走れないよ?」
オリンポス「いや、トラックが走れば他国も道路の価値を認めざるおえない。他国でも道路投資が活発化する。そうすると王国は泡銭で道路を作れて、他国はわざわざ資金を投入しないといけない。だから経済的に優位を作れるんだよ」
ココ「ほへー」
ラト「なるほど。経済の戦い方になるんだー」
エイジ「完全に異世界内政物だな。」
ラト「異世界内政物?」
エイジ「あー、異世界に転生した俺みたいなのが、国の内政に手を出して成功を収めるってストーリーだ。だがだいたいの作品は金の出どころが怪しいのが多いんだよ。」
ラト「うーん、エイジには無理じゃない?」
エイジ「まあ、俺もそう思うな。」
ココ「話はよくわからないですが、お役に立てて嬉しいです。」
……
アゾアラス「ふむ、道路網か随分大きな話になったな。」
オリンポス「あはは、アゾアラスも完全無欠じゃないってわかったのが収穫かな。」
アゾアラス「む、私も迷ったり悩んだりするものだ。無論失敗もある。」
アゾアラス「道路の建設計画はラトと協力して当たろう。道路の拡張は貴族間のやりとりが必要となる。彼女だけでは荷が重いだろう。」
オリンポス「そうしてくれると助かるよ。」
……
ココ「ふぅ、もう投資はこりごりです。」
ココ「あれは、カットールさんとナルメシアさん、どうしたのでしょう。まさか逢引!?」
次回に続く