(二百字小説)彼と私の或る日の会話
「仕方のない話だと思わないか?」
「いいや、もっと違う方法があった筈だ」
「なかったさ」
彼は冷たい眼で言った。
私は恐ろしさを隠す様に、顔を背けた。
私と彼の間には、どんどんと熱を失って行く彼女の体が横たわっている。
「馬鹿な事だ。嫌になったのなら殺すのでなく、巧い言い分けを考えて別れるものだ」
「嫌ではないさ」
「では何故」
「殺したい程好きなのに、彼女は解ってくれなかった」
彼の内に、激しい狂気が渦巻いていた。
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二百字小説習作。
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