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90 会議

黒牙都市――


タク、彩姫、ユミン、ナゴンをはじめ、同盟を結ぼうとする各国の使者・使節が集っていた。


北部三国は西から

玄冥げんぶ公国』からタイガ・蘭達と傭兵団

黄龍こうりゅう聖国』からマカラ隊長他 遊撃隊

甲亥こうがい盟国』からカラーラ団長以下 特務兵団


中部二国、西から

『ショーモン新皇国』の興世と桔梗

楼華音ろうかのん女王国』王女ヒタカ、ヒギリ


南部五国、西から

大道たいどう王国』からは外務大臣フォール

三碧さんぺき皇国』の特使としてイフェル女史

黒玄こくげん覇王国』はユナル王子、ヒラリー王女とその親衛近衛中隊

朱雀すざく公国』の全権大使 セオリ女史

赤龍せきりゅう神国』シュラ筆頭枢機卿、リール海軍卿と神護衛士隊


黒牙都市の都市長クランはその錚々(そうそう)たる顔ぶれに、冷や汗の乾く暇もなく、ちょっと気の毒なほど緊張の面持ち。


「揃ったねぇ」


と割り当てられた部屋で嬉しそうに笑った。


「クラン都市長さんには申し訳ない感じだけどな」

「で、現状、どないなっとんやろ」


部屋を訪れたのは興世と桔梗だった。


「その、タク様…」


小さくなっている興世だったが、タクは苦笑を交えて


「もう大丈夫なんだよね?」


とねぎらいともとれる表現で握手を求めた。

はっとしてその差し出された手をじっと見て、そして顔を上げてタクの手を両手で握り返した。


「興世殿、これでもう水に流そうや」

「は、はい。感謝します」

「いいって、で、そちらが?」

「はい。私の世話を焼いてくれている桔梗と言います」

「桔梗さん、タクだ。よろしく」


彩姫達も各々挨拶を交わす。


ヒラリーの許に覇王国都から商会主コクブから連絡が来ていた。

コクブはリョージキ、メイジ、イトチュ、ドンツといった、大陸に名だたる商会との連携と情報網を構築して、各地の状況をユナルとヒラリーに報せて来ていた。


「黒玄、朱雀、赤龍の南方に広がる未開地に侵攻の動きがあるようです」

「最南端断崖の城ってやつからか?」

「はい。 その城も着々と戦いを予測した準備がされているようだとの報告もあります」

「やっぱ、それって、ドーマっぽい?」

「です」


各国のメンバー揃った会議の席上で、ヒラリーが情報を共有。

タクが応じた。


「今は、その先住民の人たちが防波堤になってくれている、ということなんだね」

「そうです。彼らは私たちとは異なる異種族になります」

「異種族かどうかはこの際問題にはならないと思うけど?」

「そうでしょうか」

「あーーー、気にする人もいるかぁ」

「はい」

「となると、ちょっと考えなきゃだなぁ」


タクは眉をひそめて腕組みした。

彼自身はそういった偏見はほとんど持ち合わせていないが、国・種族・信仰などといった部分での排他思考は否定できない。


「そこは仕方ないんだよな」

「せやな。こればっかりは」


彩姫自身、魔術師というだけで奇異の目を向けられた経験をもっている。

宗教的には赤龍が、他の宗教に対して攻撃的だったりする。

会議は連日続けられ、二週間かかった。


「極力そのへんの摩擦は避け得る編成をしないと、戦う前に自滅・瓦解しかねない」


シュラが申し訳なさそうに軽く頭を下げながら言う。


「南方森林地帯を行軍するのに、大軍は動かしにくいよな」


議論百出、各国の思惑もありやなしや…とはいえ、迅速な編成と出陣は喫緊きっきんの急務だ。


「海は赤龍さん頼みになっちゃうけど、大丈夫ですか?」

「問題ありません。朱雀の皆さんを可能な限り運び、海からの砲撃を目指します」


赤龍のリール海軍卿が請け負い、セオリ大使が同意した。


「西からの迂回路では、私ども大道と三碧」

「機動力のある黄龍・甲亥が向かいます」


フォール外相、イフェル特使そしてマカラとカラーラが同意した。


「ショーモン、楼華音、黒玄と玄冥傭兵団で、南方森林を直接南下する感じですね」


興世がヒタカ、ユナル、ヒラリー、タイガを順にみて頷いた。


「俺たちは準備完了次第、その異種族さんと合流して遊撃に徹するよ。で、開城させたらドーマを討つ」


タクは気負うことなく飄々(ひょうひょう)とそう言って、ニカっとわらった。




「ミクは間に合うやろか」

「ま、最悪は抜きでもいいじゃないか」

「せやなぁ、けど、それで対抗できるんか?」

「まぁ、厳しいとは思うけど、焦らせるようなことはしたくないし」

「そんな時間はかからんような気ぃはするんやけど、こればっかりはなぁ」

「ま、無い袖は振れないっしょ」

「ちゅうことやんな」

「ユミン、疲れてないか?」

「だ~いじょ~ぶ♪」

「悪いんだけど、先行してひとっ走り太夫のところへ頼めるか?」

「い~よぉ~♪ 内容はぁ、今日の決定事項を伝達、で良いかなぁ?」

「うん。それと済まないが交代で雪村を黒の遺跡へ来るように頼めるか?」

「は~い」

「ナゴンさん」

「はい。私は隠里ですね?」

「お願いします」

「あちらの準備を進めます」

「話が早くて助かります」

「一応、一国の王妃家業してましたからね」

「俺は一旦、彩姫と一緒に黒の遺跡で雪村と合流、その後、異種族チームと合流する。ツナギは雪村とユミンに活躍してもらうよ」

「「了解です」」


いよいよ動き出した!






【続】

次回更新はちょっと間が空きます<m(__)m>

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