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74 厨二的考察あれこれ(笑)

「正解を引き当てても、結果その成果を見られるんは、その時立っとる自分らだけやって、浪漫も欠片も有れへんな」

「並行世界に自由に行き来できれば、その限りじゃないけど、な」

「因果率を越えなあかんやんな」

「時間の連続性と、存在という世界のことわりも超越して、あらゆる並行世界を俯瞰ふかんできなければ不可能じゃないか?」

「ですわね。その理屈なら、神様ですらそこからは逃れられないということですからね」

「但し、引っかかることがあるんだよな…」

「なぁ~にかなぁ?」

「前回、俺が渡った時、並行世界へ飛ばされた…これ如何に?だよ」

「せやな、時間の連続性は保たれとんねんけど、因果律がねじ曲がっとるんよな」

「そうなんだ、いま議論してもなんの意味も意義もないことだけど、どうしてそうなった?だ」

「恐ろしいのは、延々と繰り返される可能性もあるってことですね?」

「その通りです、ナゴンさん。まぁ、そういう世界線だから、違う世界線で討滅すれば良いとも言えますが…」


乾いてきた唇を舌で湿して、タクは続ける。


「俺と『卓』のように、心象世界的というか…そんな形のないモノの融合や超越があったら、どんなことをしても、どの世界線でも…奴を完全に滅することが出来ない、となる」

「そっか…物理的には並行世界についての、今話してる理屈が正しいにしても…」

「ミクが今言ったように、時間・空間・世界の理・因果律は物理的なものであって、形のない心象世界は、また違った法則なんかが存在するかもしれない」

「せやな…心象世界のこと言い出したら、極論、人の人数分…いんや、木や草に至るまで、個性のあるもんすべてに個々の世界が存在するっちゅうことやもんな」

「膨大な心象世界、膨大な物理世界、そのすべてに並行世界が存在する可能性…」

「所詮、ひとの存在は小さなものですわね」

「俺が若かった頃に、夜を徹して大真面目にそんな与太話をしたこともあったなぁ…なんてな」

「厨二全開だね!」

「うん。まさに中学二年の林間学校での出来事だけどな」

「とはいえ、出来ることをするしかないちゅうことやね」

「結論はそこに戻るさ。わからないことを議論しても始まらない」


さて、とタクは腕まくりする。


「まずやることは三宝物の本当のチカラの確認とドーマの所在探知の二つだな」

「そうね…」

「わかってる。ミュ・クーがかなめだから、起きてくれないと、だけど…起きたら起きたでミクが眠りにつくんだよな」

「あーー、それは仕方ないわ。身体一つだし」

うつわの問題なの?」

「それもあるけど、私はミュ・クーと相性がドンピシャなのよ」

「相性ってか…ミュ・クーの存在そのものは魂なんだよな?」

「そうよ」

「どうにもならないのか?」

「ごめん。言いたいことがよくわかんない」

「それな、別に器があったらそっちに移れんかってことかいな?」

「まぁ、器なんかないんだけど、さ。もしあったら?って…」

「空の器と相性が大事かな?」

「ちなみに『万感の太鼓』はミクじゃ所有者認定されなかったりするのか?ミュ・クーの魂が認定根拠なのか?」

「そこは不明だわ」

「てことは、仮に相性のいい器があっても、ミュ・クーの魂を移動させるのは、大きなリスクが伴うってことか…」

「太鼓の認定根拠が判らないから、そうなるわね」

「ふむふむ…まぁ、そういうおっかない賭けはしないに限るか」


苦笑いした彼に、ミクは嬉しそうに微笑んだ。


「でも可能性が全くないってわけでもない気はするな」

「なんでや?」

「トゥークではない、俺が認定されてるから」

「根拠のひとつかもわからんけど、タクはトゥークの転生体やんか?けどミクはちゃうねんで…白の一族でも、新皇国の末裔でもあれへん。」

「そうだよね…ミュ・クーの魂があってこそ、だもんね」


急にタクは沈思黙考モードに移行した。

そしてブツブツと何か繰り返し呟き始めた。


「どうされました?」


桜太夫がその様子を見て首をかしげた。


「うん。ちょっと考え事…」

「ま~た、なんか思いついちゃったぁ?」

「こういうときは、突拍子もないこと考えてるよね」


ユミンとアーネもツッこむ。


「破邪、覇王、そして万感…」

「それが何か?」

「違う、な」


彼は更に深く考える。

ナゴンはその様子を興味深く見つめている。

ミクも彩姫も、彼が何についてこんなに考えているのか、全くわからない。

それは太夫もユミン、アーネも君乃も同じ。


「ちょっと、タク?」

「タク?どないしたん?」

「た~く~??」

「タク…何を考えてますの?」

「え~っと、タク?」

「タク様?」

「どうしました?」


彼の呟きは、ちょっと呪文詠唱?念仏?のようになってきた。


「ふむ…そこにこだわらないかもしれないな」


なにか彼自身の中で結論付けられたのか、ニッコリ笑って我に返った。

現実に戻ってきた彼の目前には、全員の不審な表情が並んでいる。


「ん?どした?」

「どした?…じゃないわよ!」

「何を考えこんどったん?」

「名前、について」

「名前?誰の?」

「人の名前じゃなく、三宝物の二つ名」

「覇王、破邪、万感?」

「うん」

「それがどうしたの?」

「わはは…厨二な考え」

「今までだって、十分厨二じゃない」

「何をいまさら、やね」

「ミクさん、彩姫さん…ヒドイ」

「おっさんが拗ねてもかわいくないんだけど」

「ミクさん、追い討ちかけないでくれると嬉しいんだが」

「で、二つ名がどないしたん?」


きゅっと真面目な顔に戻した彼は、いやーほんと厨二なんだが、と前置きしながら言い出した。


「まず、破邪…邪論、邪気とかよこしまなものを破る。まぁ、読んで字のごとしだけど、平たく言やぁ悪いモノを打ち破る、ってな意味」

「せやな」

「次に覇王。これは徳 によらず「武力」や「策略」で天下を治める、って意味だ」

「ですわね…ああ、成程ですわ。邪を破って天下を治める…まさに聖剣と薙刀を作った匠馬様、紗耶香様の想いそのものですわ」

「うん。剣と薙刀はセットなんだ。それに現時点でわかってる効力は物理、なんだけど…」

「言いたいことはそれなんやな?太鼓は製作者不明やし」

「それと、万感の意味なんだけど、これは、ひと時に心に浮かぶ種々さまざまな感情?これはさ、覇王・破邪と違って、さっきの話的な表現すると心象世界にも効力があるように思えるんだよ」

「それなっ!確かにミュ・クーはんが打った太鼓の波動は、黒の遺跡だけやなく、『卓』はんの世界にまで影響してんから」

「元は神薙かんなぎの太鼓…神薙は神の 依り代 とか 憑依とか 、神との交信をする行為や、その役割を務める人…巫女さん的な意味」

「ほほう」

「こっからは俺の勝手な解釈で、多少チカラわざなところあるけど…言って良い?」

「ええで」


何気にみんな、タクが何を言い出すのかワクワクしている。


「万感…神の依り代があまねく全ての想いを乗せて、破邪…邪なモノを打ち破り、覇王…天下を治める」

「うわぁ…」

「太鼓の波動による万能後方支援。薙刀によって広範囲な敵を打ち払う。その後、聖剣で敵を打倒・圧倒、旗印にして世界をしずめる…」

「それだけじゃないと思う」

「?」

「鎮めたあと、使い手の想いを太鼓に乗せて、世界に伝える」

「ミク、やっぱ凄ぇな」


ほうっ…と、その場の全員が納得したように頷いたり、溜息ついたり。


「三宝物が三宝物である意味って、あるんやね」


彩姫が心底感心して彼を見ると、ニヤリと悪い顔。


「な、なんやの?その悪い顔」

「失礼な。そこでもう一つ気づかない?」

「ん?他にもまだあるん?」

「神薙の意味は?」

「神の依り代?憑依?交信?」

「まだ、わからないか?」

「え?え?」


タクが爆弾を投下した。


「神を魂に置き換えられないか?」

「ま、まさか!」

「しかも神、魂と交信とか、さ。でもって本体がそうなら、鼓手はミクが最適任だよな?」


ミクと彩姫は理解した。

そして彼をジト目でみている。

他のメンバーはもうひとつ理解が及ばない…


タクはドヤ顔で言い放つ。


「太鼓を器にしたら、ミュ・クーはそっちに移れんじゃね?」







【続】

お、俺の語彙力~~~(´;ω;`)

読んでいただいて、ご理解いただけるのでしょうか…すっげぇ、心配。


そして、意味不明だったり、理解不能でしたらごめんなさい…深く陳謝いたします<(_ _)>

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