春の実
掲載日:2024/02/11
真っ赤な実が見えた
鳥に食べられそうな
柔かそうな実だった。
庭の隅の南天。
冬を越えて膨らんで、
縁起の良い実に見えた。
そのままでいてよね。
思わず願っていた。
皆に良いことが
訪れるように。
皆が幸せだよと
感じられるように。
真っ赤な嘘じゃない。
時々思い出してる。
初めはそうじゃなかった。
嫌いになったなんて。
春を迎えて泣いていた
できれば死ぬまで一緒に
二人でいたかった。
春が繰り返すように。
出逢いに良いことが
混じってますように。
逢えて幸せだよと
言葉が出るように。
真っ赤な実は落ちて
命を繋ぐでしょう。
何気ない実の色、
聞こえそう実の音。
移ろいゆく季節は、
人の世に何を残す。
季節に寄り添うなら、
嘘の為らぬ実と為り。
乱れて良いことが
満ちてくるように。
乱れて幸せだよと、
眠られるように。




