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第6話

映画を見終わって

悠と葵は、イオンモールを

歩き回った。


人混みの中、

アクセサリーショップや

洋服、靴屋など

ウインドウショッピングをして

特に買うわけでもなく

こういうのがあるんだと

変わった商品を見合った。


「休憩がてらカフェに行く?」


 悠が提案する。

 気疲れが半端なく

 人混みが苦手な葵は

 あっちこっちと眺めて

 疲れていた。


「うん。」


 葵は悠の腕にしがみついた。

 迷子にならないようにするためだ。


パンケーキが推しのカフェに着いた。


「ハチミツかけて

 美味しそうだな。」


出入り口の看板に見惚れる葵。


「中、入るぞ。」


「うん。」


 席に着いて

 向かい合った。


 メニュー表を眺めて

 マジマジと見る。


「ご注文が決まりましたら

 ベルでお呼びください。」


 2人は店員にぺこりと頭を下げた。

 テーブルに置かれた水の入ったコップを

 それぞれに並べる。


「あのさ、悠、

 私、悠と付き合うのやめようと

 思って…。」


「え、なんで?

 そんなに見た映画つまらなかった?」


「そういうんじゃなくて…。」


 悠は水を一口飲んで

 お店の調理場を眺める。

 パンケーキの美味しいそうな

 匂いが漂う。


「もう、私といると疲れるでしょう?」


「え?そうかな。

 俺は楽しんでるけど。」


「知ってるよ、もう。

 私の中に他に違う人がいるって。

 毎回毎回、面倒じゃない。

 対応するの…。」


 悠はコップを触る葵の手に触れた。


「確かにね、変わるもんね。

 俺はそれでもいいって思ってるよ。

 名前は変わっても、葵は葵のままだろ?

 女優のたまごだと思って接してるから

 気にしたことないけどな。

 むしろ、いろんな人と

 付き合ってるみたいで

 面白いじゃん。

 同僚の齋藤に言われたことあるし

 また違う彼女連れてましたねって。」


「悠…

 ごめんね、ありがとう。」


「それが嫌だったら

 5年も一緒にいないって。

 気にするなよ。

 いつか、

 葵がずっといてくれると

 願うよ。

 それまで楽しんでるから

 今の状態を。」


「悠…。

 本当に私でいいの?

 他にもたくさん

 彼女になってほしいって

 言ってくる人いるんじゃないの?」


「だって、

 仕方ないだろ。

 葵を好きになっちゃったんだから。

 一緒にいたいって思って

 何が悪いんだよ。

 言い寄られて来ても、

 彼女いるって言うよ。

 葵って言う彼女が。」



「……うん。

 こんな私でごめんね。」


 葵は泣きながら謝った。

 悠は葵の頭をヨシヨシと撫でた。


 表の顔と裏の顔。


 お互いに

 どちらの顔も知って

 分かり合えたとき

 本当のパートナーと

 なる時が来るのだろう。


 幼少期の頃から

 人はいろんな顔を持ってる。


 両親と一緒に過ごす顔。


 祖父母の前で見せる顔。


 学校で過ごす顔。

 

 放課後児童クラブで過ごす顔。


 はたまた保育園や幼稚園で過ごす顔。


 習い事をしている時の顔


 この中で

 安らいで過ごしている子どもたちは

 どれくらいいるだろう。


 

 大人も子どもも

 どんな場所でもいい。


 素顔で過ごせるあたたかい

 ホームポジションがあれば

 生きやすい世の中になるのだろう。


 悠と葵は

 お互いに素を見せあえる。


 安心して呼吸ができる。




 顔を変えても生きていけるのだ。


 

 あなたにはどんな顔がありますか?





 【 完 】




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