罪には罰……そして救いたい俺……
「ミコさんとおじさんを返して貰う!」
俺は護符をばら撒き印を組む、
「水金地火木……万物に存在する元素の力よ!
魔を退ける盾となれ『五芒星結界』」
光の線が部屋全体に五芒星を描き悪魔の動きを制限する。
「そんな事をしても無駄だ!こんな結界など壊してくれる」
ミコさんの身体を乗っ取った悪魔は結界に触れるが
ジューと焼ける音と匂いがしてくる。
「言っておくが簡単には破壊出来ないよ!
さっきの護符は俺のとは違って一流の霊能力者が
書いたんでね。破れるなら破ってみなよ!」
「面倒な事してくれたな!だが良い破れない程ではない。
時間がかかるが我ら悪魔は無限の時間があるのだからな」
「はいはい、そうやって余裕ぶってろよ!
案外お前の命は短いかもしれないぜ!」
俺は筆で宙に印を描く!
「描くは水を司る神、『雨竜』
我に力を貸したまえ………招来」
俺の目の前に水の柱が立ち上がり、聖なる気で
空間を穢していた邪気を浄化し、現れたのは
前髪か切りそろえられたぱっつんカットでストレートの
長髪の10歳くらいの少年
「なんだ筆やっと呼び出す気になったか、
遊びたくなったか?」
「雨竜、前にも言ったけど単純に俺には依代を使った
招来でも雨竜を呼ぶだけの霊力が無いんだよ!
今は爺ちゃんから貰った霊石を使って補填したの!」
雨竜は目をパチクリさせ俺をジーッと見て、
「は〜筆は分かってないぞ!
秘められた霊力がまだまだある。修行が足りない!」
「えーー………すいません、頑張ります!」
なんか毎度雨竜に会うたびに叱られる。
内容は毎度一緒、ちなみに雨竜は若いけど神様なんだから
そんなに簡単に呼べるかー
「それで、呼んだ理由はあれか?」
雨竜は悪魔に指を差す。
「うん!そうなんだ雨竜、力を貸してくれよ!」
「仕方がない!筆、後でちゃんと寺に来いよ!
しっかりと遊んでやるからな!」
「分かってる。もちろん行くさ!楽しみにしてるよ雨竜」
雨竜は筆の方から悪魔の方へと向きを変え
う〜んと考えながら見る。
「雑魚だな……さっさと其の者から離れて逃げた方が
身のためだぞ!ま〜逃がすつもりもないがな!」
雨竜から強力な威圧が発せられ悪魔は一歩ニ歩と
後退する。
「まさか、神を呼ぶとは驚きだが、所詮依代を使った招来、
神の本体を呼んだわけではない!恐れる必要などない」
「ふん、だからお前は雑魚だと言っている!
今の私でも十分対応可能だ!バカモン」
雨竜が両腕を上げ悪魔に向けると、指を小刻みに動かす。
「ほ〜れほれ、なにをぼーっとしておる魔の者よ!
そんなことではすぐにかすめ取られるぞ!」
指を小刻みに動かしながら、
「お〜ここかな、ここもだな」と呟きながら続ける。
「これで良いな!」と雨竜が言った途端、悪魔の動きが
完全に止まる。
「お前………身体の中になにを入れた!?」
ミコの姿をした悪魔は痙攣したように小刻みに動き、
身体を上手く動かせないようだ!」
「雨竜、もしかして二人を助けられそうか?」
俺は雨竜の側に行き確認を取る。
「ん!ちゃんとあの二人は掴んだぞ!蜘蛛の糸ならぬ
水の糸だがな!あとはほ〜れ〜」
雨竜は両腕をヒョイッと上げると、大人の男性と女性が
ミコの身体から飛び出た。
「「お父さん!お母さん!」」
マコちゃんとリコちゃんが同時に声を上げる。
二人は離れた位置に着地させると、マコちゃん達は
慌てて二人のもとへと走っていった。
「釣れた!釣れた!大漁だな!どうよ筆!」
「流石雨竜だな!助かったよ!これであとはお前を滅する
だけだ!覚悟しろ悪魔バドリー」
俺は前へと足を進めた。今の俺はまだまだ未熟、
本来はこのクラスの悪魔を相手にするには力不足だった、
だが、それでも今回は俺がこいつを滅しなければならないと
俺のプライドが言っている。だからここからは雨竜の力では
なく、俺自身の力を最大限まで上げて挑もう!
「筆に想いと命を乗せて書かせて頂きます」
筆に霊力が集まり毛先が青白く光
……………「破滅印 地獄『業炎』」
悪魔バドリーは青い炎の色が見えた瞬間、意識そして
存在が消えて無くなった。
俺にはまだ過ぎた力だったようだ奴の存在が消えた瞬間
俺の意識が飛び倒れてしまった。
………………▽
あれからどのくらいたったのだろうか、目が覚めると
目の前にはさくらさんの顔が、やっぱり美人だな〜と
ぼんやりと考えていると、その横に良く似た顔が重なった。
「あれ?起きた!」
「うわーー」俺は驚き、慌てて横にずれると、
同じように驚いているよく似た二人、何だよ
一花さんか〜と納得する。
「大丈夫!筆くん、何か怖い夢でも見たの?」
優しく声をかけてくれるさくらさん
「違うわよ!可愛いさくらが膝枕してくれたから
照れてるのよ!可愛いわね〜」
その横でからかうようなことを言う一花さん
幽霊だからさくらさんには聞こえていない。良かった。
俺は大丈夫だとさくらさんに言ってから周りを
見渡すと、良かった!ちゃんと全員居る。
マコちゃん、リコちゃん、ミコさん、そしておじさん
家族は会うことが出来た。マコちゃんとリコちゃんを
それぞれ抱きながら涙を流す親達、悪魔の催眠効果は
無くなっている。これで冷静な判断が出来るはず。
俺は家族を見ているとあちらも気がついたようだ、
マコちゃんとリコちゃんが走ってやってきた。
「お兄ちゃん身体は大丈夫?」
「お兄ちゃん痛い所はない?」
二人共倒れていた俺のことが心配で声をかけてくれた。
「あ〜大丈夫だし痛いところもないよ!ちょっと
疲れちゃったけどね!二人共、お父さんとお母さんに
会えて良かったな!」
俺は二人の頭を撫でながら話をすると、嬉しそうに
俺に抱きつき、「ありがとう」と言ってくれた。
そう、俺にとってこの一言を聞けだだけですべての
苦労が吹き飛び力が漲り気分になる。きっと今俺の顔は
ニヤニヤしてだらしない顔をしているに違いない。
「あの〜君にはなんと言ったらよいのか、まずは感謝を
述べるべきなのだろう、本当に助けてくれてありがとう」
俺はおじさんの顔を見たあとリコちゃん達をじっと見て
言うか言わないか悩んだが、言うべき事は言わなければ
ならないと思いおじさんに言った。
「おじさん!感謝の言葉は受け取った。意識が戻っている
なら分かりますね!貴方がこれまで行った事により
多くの罪なき人達が被害にあわれました。貴方はこの罪を
償わなければならない」
「……………はい、分かっています。頭の中にまだモヤのような
ものがかかっていますが、なんてことをしてしまってのかと
後悔しております。これは謝ってどうにかなるような
事では御座いません!私には罪を償う覚悟があります」
「…………そうですか……ご立派です!」
正直出来れば助けてあげたい!だけど罪には罰を
それがあの世の法律、おじさんは操られていたとはいえ
人を殺してしまった。この罪は大きい、きっとおじさんは
地獄行き、そしてリコちゃんとマコちゃんにもう会えない
かもしれない。それはかわいそ過ぎる。
「筆くん大丈夫、私のハンカチを使って!」
さくらさんに言われて気がついた俺はいつの間にか
涙をボロボロと流していた。
「筆くんは十分頑張ったよ!そんな顔する必要は
ないわ!貴方は素晴らしい事をやったのよ!
胸を張りなさい」
さくらさんの横から現れた一花さんが
俺を慰めてくれた。ふっ!そんなこと言って一花さんの
目にも涙が溜まってますよ!俺は心の中で笑った。
しばらく落ち着くまでにどうやらおじさんは
家族のみんなに別れの挨拶をしたようだ。マコちゃんと
リコちゃんは涙を浮かべている。
おじさんは一歩前に出た時、覚悟は決めた良い顔を
していた。
「別れの挨拶は済んだよ!この後私達はどうすれば良い」
「おじさんとミコさん達をそれぞれ成仏させます。
行き先は違いますので………本当にもう宜しいのですか?」
「あ〜どれだけ時があってもきっと別れは辛いし、
私は早く罪を償わなければならない。頼む成仏させてくれ」
出来ればこのまま一緒に居させてあげたいけど
それは許されない。やるしかないんだ!
俺……気合入れろよバカ、心の中で押し問答をしていると、
「お前達、私の眷属にならんか!」
雨竜が突然理由の分からない事を言い出した。
「雨竜……何言ってるんだよ!眷属って!」
「どうせウジウジと考えているのだろ!私はお前のそんな
顔は見たくない!できる範囲のことしかやらんが、
私の眷属にならば永遠に一緒にいられるし、私の所で
罪を償うこともある程度は出来る。そうすれば天国に
全員で行けるだろ!」
「……………………………うりゅ〜」
俺はあまりの嬉しさに雨竜に抱きつき
押し倒してしまった。
こうして一つの事件が解決した。
この話は俺にとって特別な出来事だったに違いない!
これからも色々な人を助けるために精進しないとな!
頑張れ俺!
この度なんとか完結することが出来ました。
ホラーを書くのは初めてでしたので、なかなか
自分が思う怖さが出せず四苦八苦しながら書きました。
ホラー好きがホラーが上手くかけるわけでは
ありませんでしたね!(っ˘̩╭╮˘̩)っ
しかし好きには変わりませんので、
またいつか挑戦したいと思います。
今まで読んで頂いた方には感謝です!
ありがとうございました!
ちなみにですが!この話を元に異世界ものを書いて
います。主人公の名前は変えていますが、
同一人物でさくらさんも一花さんも出ます!
お時間がありましたら是非とも読んで下さい。
作品タイトル
書道が『神級』に昇格!?女神の失敗で異世界転移して竜皇女と商売してたら、勇者!?聖女!?魔王!?〜「次々と現れるので対応(無双)してたら世界を救ってました」
冒険、成り上がり、ハーレム、無双などを要素として
書いています。宜しくお願いします(◡ω◡)
その小説のURLです。
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