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筆物語 帰らずのビル  作者: 鉄馬 メウ
8/9

再戦 帰らずのビル


帰らずのビル入るのは2度目だか、

やはり良くない空気が漂っている。

この感じ人を呼び寄せているな!

先日の戦いで力を失った分、人を贄にして

力を取り戻すつもりか、早めに来て正解だった

これだけ早ければまだ被害者も出ていないだろう。

今回は前回と違って準備は万端、じいちゃんの

指導も貰ってる。負けてやるもんか!

マコちゃん、リコちゃんもうちょい待ってろよ!


俺は再びビルの中へと入って行く。


おいおいゾンビ映画かよ!

中に入ると多くの死霊が徘徊している。

この数はここで亡くなった人だけじゃなく

このビル周辺で亡くなった人もいるな。


近くに居た死霊が僕に気がつき襲ってくる。

僕はそれを躱し蹴り飛ばす。他の死霊にも

気づかれたようだ!集団で襲ってきた。

死霊はほぼ意識が無いため動きが散漫

ヒョイヒョイと躱し殴って蹴ってぶっ飛ばす。

一応格闘技も一通り習ってるんでね。その程度

余裕で躱すよ!死霊達を躱しつつ階段に行き着き

登り始めるとすぐに異変に気がつく。


げ!?嵌まった。

階段を登ると2階、次も2階、2階、2階、2階

永遠に2階、進めね~

完全に嵌まったぞ、これはどうしたもんか

この手の幻術みたいなの苦手なんだよな。


(ふで)くん何してるのよ!遊んでる場合

じゃないでしょ」


「別に遊んでる訳じゃ………って誰?」


振り向くと一花(いちか)さんが立っていた。


「なんで一花(いちか)さんが居るんです?」


「あ!またお母さんの名前言った!」


「うん?アーーーなんでさくらさんまで居るの!」

よく見ると一花(いちか)さんに重なるように

後ろにさくらさんが居た。


「私、守護霊だし、さくらが居るに

決まってるじゃない」


「そんなこと聞いてるんじゃないですよ!」


「ね~(ふで)くんそこに誰か居るの?

もしかしてお母さん?」


「いやいや、そんなこと……じゃなくて

なんで居るんだよ!今日来るはずじゃないよね」


「それは(ふで)くんも一緒でしょ!

それにね!思い出したのマコちゃんとリコちゃんの

こと、それでね!いても立ってもいられなくって」


さくらさん記憶が戻ってる………もしかして

一花(いちか)さんの影響か……何にしても

今はそれどころじゃないか、


「さくらさんここが危ないのは分かってるね!

だから急いで逃げて欲しい。もちろん入口までは

俺が一緒に行くから」


「いや」

「え!?」


「いやです!絶対帰りません!」

「え!?~~~」


さくらさんの顔がむすっとしている。

何を言っても帰る気がなさそうだぞ!


(ふで)くん酷い!確かに私は役に立たないかも

知れないけど助けたいのお願い一緒に行かせて!」

凄く真剣な目で見つめられる。

凛とした良い顔をするな!好きになりそうで

つい目線をそらし


「分かったよ、その代わり言うこと聞いてよ

本当に危ないんだから!」


「うん、分かった。ありがとう」

美人の笑顔は本当に強力だよ!まったくと

ため息をつきながら嬉しく思う。


「それじゃ3つお願いするね!

1つ目は必ず僕の後ろに居て、決して

僕の前には出ないこと

2つ目はできる限りの怯えないこと、正直

そう言っても怖いもんは怖いかも知れないけど

悪魔は相手の弱みにつけこんで支配しようと

するから怖がらず勇気をもって欲しい。

3つ目は………」


俺は懐から護符とちょっと長めの木の棒を

取り出しさくらさんに渡す。


「護符は肌身離さず持てるよう衣服に入れて

おいて、あとその木の棒はもしも死霊に

襲われたら使って倒しきることはできないけど

しばらく動きを封じられるから」


「分かった、うん私頑張るね!」

ちょっと強ばってるかな、変にプレッシャー

かけちゃったかも


「大丈夫、俺が基本的には相手するから

力を抜いて、気楽に行こう」


(ふで)くん、それは無理だよ!」


「アハハ、そうだね無理ない程度にね!」


話はついたけど、どうやって上の階に行くか、

なんか良いの会ったかな?」

持ってきた荷物をごそごそ探っていると


(ふで)くん何してるの?早く行こう!」


「あ、一花(いちか)さん、さくらさんが居るから

小声で喋りますね。どうしても上の階に

上がれないんで良い道具がなかったか探して

いるんです。ちょっと待ってくださいね」


「私分かるよ!上がる方法」

「ほんと!てすか?」

(ふで)くん分かんないんだ。私幽霊だからかな?

所々見えるんだよね。罠っぽい所、多分そこを

踏まなければ進めると思うよ!」


「そうですか、それは助かります」

一花(いちか)さんには霊気溜まりが見えるんだ。

霊気溜まりは特定の力が加えられている部分

ここを起点にこの現象が起きてるはずだから

そこに触れなければ上の階に行ける可能性はある。


「さくらさん今から階段昇るけど、僕が足を

置いた位置を覚えてそこに足を置いて

上がってきて!」


「分かった!」

一花(いちか)さん指示のもと俺達は

階段を登って行く。予想通り今度は3階に上がれた。

このまま目的地の5階に向かいその奥にある

秘密の空間へと足を入れた。


そこには一人の男性と綺麗に着飾れた女性の遺体が

寝かせられていた。

男はぶつぶつと女性の遺体に声をかけ

笑っている。こちらには気がつきもせず。


「人がいるけどあれって」

さくらさんが怯えながら聞いてきたので

答えようとすると、


「お父さんとお母さんだよ」

足元から声が聞こえた。

「リコちゃん、マコちゃん」

僕達は揃えるように声が出た。


さくらさんと一花(いちか)さんは涙を

流しながらよしよしと2人の頭を撫で

抱き締めた。しばらくして落ち着いた所で

俺は2人に声をかける。


「良かった2人とも無事みたいだね!

あの時助けられなくってすまなかった」

俺が頭を下げ謝っていると、2人は不思議そうな

顔をして、2人は目を合わせてから笑顔で、

「お兄ちゃんなに言ってるの私達はスッゴく

感謝してるんだよ!今ねマコちゃんと一緒に

居られてスッゴく幸せ」

「マコもお姉ちゃんと居られてもう寂しくないよ!」


2人から一切俺を責める気配はなく

むしろ感謝している。不甲斐ない俺なんだけど

頑張ったかいはあったかな!


(ふで)くん絶対に2人を救おうね!」

さくらさんからものすごいやる気を感じる。

ちなみに後ろで同じくお母さんも気合い

入りまくりである。


さてと完全にこっちを無視してるけど

あの人が契約者だな。ならあの人に

契約を破棄させるのが一番手っ取り早いんだけど

話聞いてくれるかな


「あの~すいませんお話良いですかー」


「………………………」

聞こえてないのか?ぜんぜん反応しないぞ

奥さん大好きなのは分かるけどぶつぶつと

ひたすら話しかけるなこえーんだよ!


「そんじゃーちょっとごめんよー」

さくらさんに渡した棒と同じものをだし

思いっきりおっさんの頭を叩いた。


「ぐあ~」頭をさすりながら悶えるおっさん。

俺はおっさんの首根っこ掴んで持ち上げる。

「よ~おっさんちょっと話聞いてくれや!」

ちょっと強気で話しかける。

「なんだお前出ていけ」

虚ろな目をしている。薬をやったみたいに

トランス状態になってるんだろう

話が聞こえてるようでまだ聞こえていない。

なら悪いけどもう一発喰らっとけ!


俺はおっさんの顔面を殴りつけ、

たまらずおっさんは尻をつきまだボーゼンと

している。


「ダメか!目を覚ましてくれないと話に

ならないんだけどな」


(ふで)くんちょっと待ってくれるかな」

さくらさんが驚きながら止めようとしている。

理由は分かってる。いきなり暴力を振るえば

止めたくもなる。さらに子供の前だ、当然のこと

でも今は出来るだけ急ぎたいアイツが出てくる前に

おっさん早く目を覚ませ!


マコちゃんとリコちゃんがこちらにやって来た。

これは怒らせちゃったかな。


そう思ったが、2人は俺の前を通り過ぎ

おっさんの前に立つ。

「お父さん、お父さん聞こえる?」

「マコだよ!お父さんこっち見て」


おっさんは顔を上げ2人を見て無表情にも

関わらず目から涙が流れた。


「マコー、リコー、父さんはどうしたんだ、

頭がボーとするんだ何も考えたくない。

2人の顔を見るとな、なんでだろうな

悲しくて悲しくて見ていられないんだ

アア、アアどうしてなんだーー」

おっさんは顔に手をあて涙を流し叫んだ。


2人の声がおっさんの心にしっかりと届いている。

まだ時間がかかるかも知れないが意識が

戻るかも知れない。これは1度外に連れ出した方が

良いかもしれないな。


(ふで)くんあの人変よ!」

一花(いちか)さんが指を差した先には

2人の母親の遺体がいつの間にか

部屋の隅で立っている。しかも遺体の姿は

生前の姿となり生きているかのように見える。


「あ~ミコ、ミコー生き返ったんだね!」

おっさんは立ち上がり走っていく。


「待て、おっさん行くな!」

おっさんは俺の声など無視してミコさんを

抱き締める。

「ミコー会いたかった!生き返ってくれたんだね!

すまなかったこれからはずっと一緒だー」


「え~一緒よ!どこまでも1つになりましょ」


「グフッ………バハー………ミコどうして」

おっさんの背中から黒く鋭い刃物が飛び出ていた。

大量の血を吐き絶命した。

「ほんの一瞬だが妻と会わせてやった契約は

成立だな!お前の魂を頂こう」

ミコさんから醜悪な声がこの声は悪魔だ!


「「お父さん」」

マコちゃんとリコちゃんが叫び駆け寄ろうと

するが、一花(いちか)さんが険しい顔をして

2人を止めてくれた。


ありがとう一花(いちか)さん

アイツをなんとか止めないと、契約を果たした

悪魔は異界に戻るかこちらの世界に止まり

新たな契約者を捜す。こいつは恐らく後者

ここで野放しにすればまた被害が出る。


俺は懐から護符と筆を取り出す。


は~これ以上お前の好きにはさせない。

ミコさんとおっさんを返して貰う。




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