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筆物語 帰らずのビル  作者: 鉄馬 メウ
6/9

出口


「は~は~は~」

息が荒く立っているのもしんどい。


「ウ~ンナンダ、スデニシニカケデハナイカ」


悪魔は黒い大きな鳥のような姿をしている。

しかしこのニヤつき方は一緒だムカつく


「マーイイ、ズタボロ二シテヤロウ」


「は~悪いけどそう簡単にやられるつもりはないよ」


ポケットから小さな筒を取り出し蓋を開ける。

ポンと手に当てると丸い玉が手の上に転がった。

それを口に入れる。


「ゴクン」それを飲み込むと、

(ふで)の身体から湯気のような白いモヤが

発生する。


「ふ~これはこれでしんどいけど力は戻った。

今度こそお前をあの世に送り返してやるよ」


今飲んだのは『霊気玉(れいきだま)』非常用に作っておいた

霊気補充薬だ。俺の術は使う際に霊気と言われる

力を使う。これは誰しもが持っている力だが

訓練しなければ上手く扱うことは出来ない。

今の俺は術を使いすぎて霊気がすっからかんで

術が使えない。その為、霊気玉(れいきだま)を飲んだ。

お陰で回復した。けど無理やりの回復身体への

負荷がかかる為、使えるのは一回が限界だ!


「お兄ちゃん………」


「リコちゃん………マコちゃんと一緒離れていて

あいつはリコちゃんがいないとこちらには

存在し続けるのは出来ないはずだ!必ず

マコちゃんを狙ってくる」


「うん!わかったよ!絶体にマコちゃんは

渡さない」


リコちゃんはマコちゃんの手を強く握りしめ

走って離れていく。


「ゲゲゲ、イクナヨヤドヌシサマ~

ナカヨクシヨウゼ」


一歩一歩と近づいてくる悪魔


「本当にお前達悪魔の存在は許せないよ!

人の悲しみ、怒り、妬み等の負の感情を

欲し糧にする。

だから弱っている人を見つけ陥れ搾取する。


『いらね~んだよお前達はさっさと消えてくれ』」


悪魔は醜態な笑顔で言う。


「ナニヲイウ、ニンゲンガワレヲホッシタノダ

ワレハニンゲンノネガイヲカナエテ

ヤッテイルノダ、ウレシイデアロウ」


「そして騙して最後は魂を搾取するか、

リコちゃん達の父親が変わってしまったのも

お前のせいか?」


「ゲへへ、ケイヤクシャノオヤジノコトカ……」


「ああ!そうだ!お前達はあの家族を引き裂いた

これ以上はやらせない。言いな!!」


(ふで)から強い威圧を発する。

ゆっくりと悪魔の前まで歩き足を止める。


「動くな!」

瞬時に筆を振り悪魔に印を書く。


「裁かれし者は愚かなる者 悪魔よ!

お前は俺が裁く何故なら……………………!

テメェーが気に食わないからだよ!」


「浄化印 煉獄『炎』」


「アギャーーーーーー」

悪魔は炎に包まれ焼かれ浄化され徐々に

小さくなっていく。


「オマエ…ヲ…ノロイ…コロ…ス」


「チリチリ」と小さくなって塵と化した。



危ながった今ので殆ど力が無くなりやがった。


俺は片膝をつき息を整える。


「「お兄ちゃん」」

リコちゃんとマコちゃんが心配そうに

駆け寄ってきた。


「うん!大丈夫だよ!」

俺は出来るだけ優しく笑った。


「ごめん!リコちゃん、マコちゃん

まだ終わってないんだ!

あいつを倒しきれてない。

さっきのは悪魔の力の大部分だったけど

本体、その核となるものがまだ生きている。

そいつがいるかぎりは何度でも復活する。」


「お兄ちゃん気にしないで、私はマコちゃんと

会えたよ!すっごく今は嬉しいの、だから

謝らないで!」


「お兄ちゃん、私もお姉ちゃんに会えた。

寂しくて悲しくていつも泣いてたのに、

今は幸せで胸が一杯だよ!お兄ちゃん

本当にありがとう!」


リコちゃんもマコちゃんも満面の笑みで

応えてくれた。


俺はこの二人を助けたいと強く感じることが

できた。ならやることは決まってる。


「リコちゃん、マコちゃんもう少し待ってて

必ずまた来るから」


「うん!マコちゃんと待ってるね!」

「私、お姉ちゃんと一緒だから大丈夫だよ!

お兄ちゃん頑張ってね!」


「おう!行ってくる!」1階へと降りていく。


…………▽

少し時間を遡り


湊斗(みなと)達は1階を目指して階段を

降りていた。幸いさっきまでいた亡霊は

居なくなっており、2階に難なく行くことができた。


「ここからだよな」


拓海(たくみ)、ビビッてないでいくわよ」


「仕方ないだろもしここで、また5階だったら

おれ……………」


「大丈夫だよ!(ふで)君がいってたでしょ。

絶対に出られるよ。」


「……………そうだ!(ふで)が頑張ってるんだ

俺達がもたもたしてられね~みんないくぞ~」


湊斗(みんな)は先陣をきって階段を降りていく。


「えっ」

「嘘だろ」


「やったよ!さくら出られる」

「やったね!陽菜乃(ひなの)


階段を降り階表示を見ると5階ではなく

1階………あっさりと行くことができたのだ。


「今なら出られるよ!急いで!」

陽菜乃(ひなの)が声をだし入口の扉に向かう。


しかし、扉の付近に黒い霧がゆっくりと

立ち込めていく。


「何あれ!あの霧触れて大丈夫なの!」


「………でもあそことるしかないよ!さくら」


「お~俺はいくぜ!」


拓海(たくみ)は走って霧に突っ込むが、


「アアアアアアアア~」

霧に当たってすぐに拓海(たくみ)が倒れ絶叫がこだまする。


「なんだよ!どうした拓海(たくみ)ーー」


「痛い痛いタスケテくれー」

痛みに堪えるようにじたばたしてもがいている。


助けたいけど近づくと今の拓海(たくみ)と同じに

只なるだけで助けることが出来ない。

助ける方法が見当たらない為、動くことが全員

出来なかった。


「どうすれば良いの………」

さくらも動こうとしては止まりを繰り返し、

助けに行けなかった。


その時だった


「さくら!怖がらないでお母さんに任せなさい!」


僅かにささやくような小さな声だった。

けど聞き間違える訳はないこの声は………


さくらの横を風が流れ誰かが通った。

なにもいないけど確かにそう感じた。


黒い霧は吹き飛ぶように入口から離れた。


「良し!黒い霧が消えた今なら入口を通れる

行くしかない」


湊斗(みなと)拓海(たくみ)に近づき

無理矢理立たせた。陽菜乃(ひなの)

急いで湊斗(みなと)を手伝う。



「今のお母さんなの?」

さくらは周りを見回し母を探す。

でも、私達以外誰もいない。


「お母さん………助けとくれたの?」


「さくらーー急いで」

陽菜乃(ひなの)に呼ばれ入口を見ると

ドアが開いていた。このビルから出ることが出来る。


さくらは母のことが気になったが、

今はここを早くでなければ行けなかった。

後ろ髪を引かれる思いで入口へと走った。



…………▽


「さくら……良かった!怪我無いわよね!」

優しく笑い娘を見送る。



一花(いちか)さん!」


(ふで)くん、良かった無事なのね!」


「ギリギリでしたけどね。

一花(いちか)さんありがとうございます。

みんなを助けてくれたみたいですね!」


入口の両サイドを見ると亡霊が

ぶっ倒れてもがいている。


一花(いちか)さんはやっぱり魂力(こんりき)

強いんですね。これだけの亡霊を一蹴ですか?」


魂力(こんりき)なにそれ?ま~良いわ

(ふで)くん、でもそれは違うはね!」


「娘を守る母はね~無限の力が湧くのよ!」

ビシッと指を指してポーズを取る。


この人は相変わらず………


「さ~て俺もでよっと!」


「ちょっと無視~…………冗談はこのくらいにして

リコちゃんとマコちゃんは?………」


「すいません、まだ助けきれてはいません。

けどあの二人は絶対に助けますから!」


「そう、わかったわ!」


一花(いちか)さんは一言だけ言って、

俺を責めることはしなかった。


俺はそのまま出口のドアを開け外に出る。




…………▽

ここはとある一室

周りには人魂苦しそうな声をだし飛び回る。

その中央には綺麗な服を着た。

白骨化した遺体が鎮座している。


そばには一人の男が佇んでいた。


「くそ~まだだ!まだ足りない。

死ね!死ね死ね死んでしまえ!お前達全員餌だ!


あ~~~はやくはやく会いたいよ!…………『ミコ』


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