第一章きっかけ
・20XX年4月僕は第一志望校であった高校に無事入学した。中学校のときの友達とは志望校が違ったため別れてしまったが、高校受験のために入った学習塾の友達とは同じ高校に入学することができた。これはそんな僕が体験した高校三年間のストーリーである。
・・・
「お~い!結城も合格したのか?」
そう僕に声をかけてきたこの男子は小西冬也。とても頭がよく、みんなからもよく慕われている人物だ。塾に行かなくても彼だったらこの高校は普通に合格できただろう。
「そうだよ。冬也も無事合格できたんだな」
「まぁな。正直大丈夫だとは思っていたが、塾で毎日俺に質問しに来てた結城が合格しているかヒヤヒヤしたぜ。」
「僕の学力もなめられたものだな。そこは受かると信じてたっていう所だろ。」
そう。僕たちが受験した明見高校は県内公立高校のトップ3の中に入る進学校である。
正直僕の学力ではギリギリ合格できるかできないかの境界線ではあったが、冬也と切磋琢磨しながら勉強したおかげで無事合格することができた。
「そういえば結城。お前部活何にするか決めたか?」
「いや、特にまだ決めてないけど。冬也はすでに決まってるのか?」
「俺は中学のときに吹奏楽をやってたから高校も引き続きやる予定だよ。ちょうどよかった結城。20日に吹奏楽部が校内で演奏会をするらしい。一緒に行くか?」
「10日後か。OK行くか~」
「そのまま吹奏楽部に一緒に入部してもいいんだぜ~」
「それはいいよ。中学校はテニス部だったし、僕楽譜読めないよ」
「大丈夫大丈夫みんな最初はそんなもんだ。とりあえず20日は開演が13:00~だから12:00に明高集合な」
「分かったよ。じゃっまた20日。」
吹奏楽部に入部することに自分はあまり気乗りしなかった。なぜなら明見高校は部活にも力を入れており、とりわけ野球部と吹奏楽部がキツイといううわさを耳にしていたからだ。それに吹奏楽は個人の戦いであるテニスとは違い、みんなで一つの曲を演奏するものである。楽器経験も皆無な僕が高校から吹奏楽を始めたとして他の人に迷惑をかけるだけではないか。そう頭の中で考えてしまった。
「演奏会を見たからって別に入部しなきゃいけないわけじゃないか。」
冬也と明高で別れた後、当たり前の独り言を発し僕は家へと帰った。