きのこのハンバーグ
これ美味しいですよね!
今日は腰を痛めたというおばあさんから、管理しているという山で毒のないきのこだけをカゴいっぱいに取ってほしいという依頼を受けた。
なんでもその山はどういうわけか魔獣が発生しやすいらしく、魔獣が増えすぎて人里に降りてこないように山菜やきのこなどを定期的に採って管理する必要があるという。その面倒な役割を一人で担っていたおばあさんだが、腰を痛めては動けない。
おじいさんはおばあさんの代わりに家事を行うので手がいっぱいで、息子さん夫婦は仕事で忙しい。まさか幼い孫には頼れない。
というわけでギルドに依頼したが、依頼料が安いためか中々依頼を受けてもらえずあまりにも低い依頼料に逆に興味を持った私が来るまでやきもきしていたらしい。役に立てそうでよかった。
たまにこうして安過ぎる依頼も受けておかないと、困った人が救われないためお節介を焼く気持ちで依頼を受けることがある。大口依頼が続いた時が多いけど。
ということで、山に登ってきのこを採る。食べられるきのこはこちらで判断するしかないので、鑑定魔法で判別した。これなら間違いなく毒きのこの収穫は防げる。
ひたすらきのこを採って、カゴいっぱいになったら風魔法で山を降りる。おばあさんにカゴいっぱいのきのこを渡して依頼完了。安いがおばあさんにとっては頑張って捻出したのであろう依頼料をきちんと受け取って、さらにお礼だと採れたてのきのこの中でも一番美味しい種類のものを選んでくれてプレゼントされた。有り難く受け取り、弟も喜ぶとお礼を伝えると良い笑顔で見送ってくれた。
村の子供達と遊んでいたリオルと合流する。リオルはその見た目からモテるらしく女の子に囲まれていて、引き離すのは可哀想かと思ったが私が迎えにいくとすぐに走ってきてくれたのでまあ良いんじゃなかろうか。
今日も乗り合い馬車を拾って進めるだけ進んで、違う方向へ向かう馬車から降りてキャンプ出来る場所まで歩く。
「最近キャンプにも慣れたぞい!」
「それは良かった」
キャンプの準備をリオルに任せて、こちらは料理を作る。今日はきのこを中に包む変わったハンバーグ。シスター直伝のレシピだが、これがなかなかに美味しい。
まずはライスを準備しておく。ライスが炊けていないと困るから。
次にきのこを一口サイズくらいに切って、玉ねぎはみじん切りに。切ったきのこを水分が軽く抜けるまで炒めて冷ましておき、次に玉ねぎを飴色に炒めてこちらも冷ます。
牛ひき肉をよく揉み込んで、ニンニクのすりおろしとケチャップ、塩胡椒とナツメグで味付け。再度よく揉み込む。さらにパン粉と卵を入れてまたよく揉み込む。そこに飴色玉ねぎを入れて揉み込んだら、炒めたきのこをこのお肉で包んで焼く。
焼けたらお皿に盛り付けてケチャップをかけて完成。
「おー、美味しそうなのじゃー!いただきますなのじゃー!」
「いただきます」
まずは一口。うん、美味しい。
「ふわー!中のきのこがハンバーグとすごく合うのじゃー!美味しいのじゃー!」
「この食感が良いのよね。美味しいわ」
「ごろごろ入ったきのこがプリプリして、旨味がいっぱいで美味しいのじゃー!」
「ライスが進むのよね、これ。ソースはケチャップで済むのも楽だし。そうそう、食後のデザートにプリンもあるわよ。買ったものだけど」
「やったーなのじゃー!」
きのこのハンバーグをライスのお供に二人で味わって、食後のために買っておいたプリンを出すとリオルがさらに笑顔になる。可愛いからつい甘やかしてしまうけど、このくらいは許してほしい。
ケチャップで充分なのが良いですよね!




